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これが何だか知っているの?

 生徒の悲鳴が、私達から少し離れた場所から聞こえた。

 尋常ではない悲鳴。

 マップで方角を見ると、声のしたその先で、魔物と生徒数人が接触しているのが見える。


 一応はこの森は学園の近くでもあるため、それほど危険な魔物はいないはずだった。

 現れたりしても、常に魔法の腕が鈍らないようにという理由もあり警備も兼ねて先生たちが回っていて、それらは狩られているはずだった。

 だが、この地図で見る限り、危険な魔物のように見える。


 リオネル程度の力があり、そういった事になれているのならば全く問題のない程度の相手だが、まだまだ修練を積んでいる、そんなタイプの魔法使いがここには多いのだ。

そう思っているとそこで、また一つに多様な魔物が現れる。

 今度は私達のすぐ近くだ。


シャーッ


 音がすると同時に、その音の方向から木々の隙間を羽飛ぶように、私達の方に……セレンの方に向かって、頭が二つある蛇が飛んでくる。

 この動きから風を操る能力、もしくは魔法に長けているのだろうと推測する。

 けれどそう考えたのは一瞬。


 その魔物が何か魔法を使うか、セレンへとかみつく前に私は、


「“大地の槍”」


 小さく呟いた。

 鋭く魔力で強化された槍のようなものが数本ほど地面から突き出て蛇の頭を串刺しにする。

 その魔物は声を上げることなく地面に落ち、コロンと石のようなものを落とす。


 だがその石は、魔物を倒した時に落とす魔石では無い。

 地面に落ちると同時にひびが入り、四つほどの欠片に分かれた。

 その破片からはすうっと魔力が抜けて行く事で、その石に施された魔法が消失する仕掛けになっているようだった。


 でも私はその石の効果ををよく知っているので、わざと私の特殊能力チートを使いそれ以上魔力が抜けないように手を打つ。

 するとそのかけた石に文様が残った状態になるが、それを私が拾うとセレンが、


「なんで、石がそのまま……」

「これが何だか知っているの?」

「……」


 黙ってしまったセレンの様子に、私は……これが何だか知っている私はちらりとセレンを見て、次にリオネルに目を移して、


「……これに狙われるような人を私も知っているから聞いたけれど、セレンもそういった“何か”があるんだね」

「……」

「別に聞こうとは思わないよ。でも、気になるからあとで、お守りのような物を上げるね」

「……え?」

「私の大切な人と似たようなものであるらしいから、放っておけないや。さてと、こいつら執念深いから、どうしようかな」


 私は呟いてリオネルに目配せする。

 リオネルは待っていましたというかのように頷いた。

 私としてはこのような状態になるのは好ましくなかったけれど、


「リオネル、セレンとスールが怪我をしないように結界を張ってほしいんだ」

「……まだFランクの最弱なのか?」

「うん。そして目立ちたくないんだ」

「……でも手助けはしたいのか。……今回の件は、兄さんとは別件……になるのかどうかも分からないし、ここで一つ、潰しておいた方がいいか。……分かった。これから結界を張るからそこから出ないように」


 私のお願い通りリオネルは結界を張ってくれて、スールとセレンにあとで話を聞かせてねと手を振られながらその場を後にしたのだった。


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