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入学式がやって来た-8

 こうして大変そうな敵と戦う事になりそうな目になっている私は、


「どうして私の平穏な学園生活はみ出されてしまうのか。目立ちたくない……」

「でもあれだろ? ラノベなんかで目立ちたくないって言うと、それが“ふらぐ”になって目立つんだろう?」

「……それは物語の“お約束”です。現実にそんな事が起こってたまるかと」

「でも起こっているんじゃないかな~」


 リオネルが気楽そうに、私の心をえぐる。

 そもそもリオネルだってここにいるはずではなかったのだ。

 私はただ一人、誰も知らない新天地でFランク魔法使いとして剣との関わりもなく、平凡な魔法使いとして学園生活を楽しみはずだったのだ。


 それが、それが……。


「どうしてこうなった」

「ん ̄、そもそもルカの能力も含めて一人で野放し何てそうは出来ないと思うぞ~」

「そんな……」

「だってそのような理由で、お願いで、場所を教えてくれない人は一発で落ちたからな~」

「う、うぐ……」

「でもここだと他の人の目もないし、要るのはせいぜい兄さん達位だし、後はそこそこ周りに現れそうな人物もいるが、ルカと俺はここだと二人っきりだからな?」

「え? なんで? リオネルと私が同じ部屋とは限らないんじゃ」


 私は不安を覚えて聞いてみた。

 だがそれにリオネルは、とてもいい笑顔で、


「この俺を寮で知らない人間のいる部屋と一緒にすると思うか~」

「……クラウドさんなら、それくらいのミスはするかも? というか女の子だし」

「兄さんああ見えて実はやり手だから、その辺りは抜かりないだろうな。それに俺の護衛もルカはかねさせるだろうし。ほら、俺って一応王子だし、信頼できる人がいないといけないからな~」

「……」


 リオネルが私の希望的観測を次々と叩き潰していく。

 何のうらみがあってそんな事をするんだと私は問い詰めたかった。

 だから問い詰めることにした。


「何の恨みがあって私にこんな事をするの」

「恨み? 恨みはあるぞ~」

「ど、どんな!」


 私はリオネルに恨みがあると言われて衝撃を受ける。

 少なくとも私は昔からリオネルには優しく接してきたし、一番初めだってリオネルを助けたのだ。

 それなのに一体どんな恨みが……。


 私は衝撃を受けて凍り付いているとリオネルが、


「凄く驚いた顔をしているな、ルカは」

「だ、だって思い当たらないし。私、そんなにリオネルに恨まれるようなことをしたかな……」


 私がうつむくと、そこでリオネルの手が私の頬に触れる。

 それから軽く私の頬を撫でてから、嗤った。


「ルカは本当に可愛いよな。自分から俺を捨てようとしたくせに、恨まれるとは全然思っていないんだものな」

「す、捨てようなんて思ってないよ。で、でもリオネルと一緒に居たら目立つし」

「平穏な魔法学園生活と俺を天秤にかけて、学園生活を取ったんだから俺を捨てたようなものだものな。……もっとも俺はルカを逃がすつもりなんて全然ないからな~」

「うう、うぎゅ……」

「……これからの学園生活が楽しみだよ。その分の“恨み”は、きちんとこれからルカで晴らすから、楽しみにしていろよ」

「な、何をする気ですか!?」

「何をするんだろうな~、あ、寮が見えてきた」


 そこで私達の目の前にレンガ造りの寮が現れる。

 そして、当然のごとく、私とリオネルは同じ部屋だったのだった。



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