入学式がやって来た-7
クラウドの沈黙にリオネルも真顔になり、
「そんな危険な状態なのですか」
「危険な状態だな」
「……それでどの程度危機的な状況に?」
「まだ分からない。行動を今は観察しているだけだ」
だから動きはまだないとクラウドは言う。
けれど注意を払わなければならない相手がいるのは確かなようだ。
どうしてこんな辺境に来てまで問題が、と私が思っているとそこでリオネルが、
「とまあ、それだけは伝えておこうと思ったのだよ」
「忠告は頂きましたが、そうなるとますますクラウド兄さんが危険なのでは?」
「どこも危険だが王宮の方にいるのも退屈で、しかもリオネルとルカがこんな辺境に行ってしまったからな。ささやかな俺の楽しみがいなくなるのはな~。しかも二人とも強いし、俺よりも」
「兄さんも十分強かったでしょう」
「分かった、本音を言おう。城の仕事から逃走できると思った。そうしたら相手が一枚上手だったが、こうして誰も手出しができない所でイリスを押し倒せるのは良かったよ」
そこでイリスさんがむ~、む~言っている。
だが、逃げられないようだった。
とはいえ、邪魔が入らないと言っているがと私は思いながら、
「私達、蹴破って入って来たのに邪魔が入らない?」
「正確にはイリスが逃げられないだな」
「……そうですか」
そういえばイリスさんは、クラウドから逃げ回るためによく邪魔が入るよう人を呼んでいたように思う。
というか、私達が呼ばれたのもこれを予想していたからなのだろうか?
忠告よりも、微妙にこじれた仲の方を重要視しているのか?
だがそういったものに関わると大変な目に遭う事を私はよく学習していたので、逃げることにした。
また何かあったら、連絡するといった話と、クラウドが私とリオネルを見て、
「もしもの時のために武器を新調してもいいがどうする? 実はこの辺境には有名な武器を作ることが出来る、ドワーフがいるらしいが」
「ドワーフ……背が小さくてかわいい手先の器用な妖精族ですよね?」
私は、以前見たドワーフを思い出しながら、私は呟く。
大昔は魔族側についていたり、背が小さく手先が器用であまりい美しくない……といわれていたが敵側の情報出会ったので人間側ではそういわれていただけであって、実際はとても可愛い。
それにより可愛い物が大好きなエルフという妖精族が好きになってしまう事が多く、好きな子に意地悪をしてしまうというあの思春期特有のそれが発動して、エルフとドワーフは仲が悪い、よくケンカをする、エルフは高慢……などなどといった話が伝わっている。
ちなみに男女ともにドワーフは凄く可愛い。
見ているとほのぼのするのだ。
だがその一方で、凄い力を武器作成などで発揮する。
しかも、ここには名工がいるらしい。
「ぜひ会ってみたいかも。そんないい武器なら、杖とか、他にも……」
「この学園に通っているお前達の同級生のスール、という可愛い少女がそこの家の娘だ」
「あ、やっぱりいいです」
私はクラウドの言葉に速攻で遠慮した。
彼女と関わっては目立ってしまう。
平穏な学園生活のためには、少しの窮屈さは必要なのかもしれない。
そうして、また何かあったら話すと言われて私は、入り口の扉を治してからリオネルとともにその場を後にしたのだった。
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