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入学式がやって来た-1

 ぱちりと目を覚ました。

 そして私はリオネルに抱きしめられていることに気付く。

 リオネルと一緒に寝ると大抵こうなるんだよなと私は思いながら、いい年してこれはあまりよろしくないと思う。


 やはり、リオネルも婚約者が寝取られたとはいえ、年頃なので新たな婚約者を呼ぶ必要がある。

 そう考えると私は何となく変な感じがするけれど、リオネルが王子様だからその辺りは考えないと。

 などと私は思いながら、リオネルを私は揺さぶる。


 すると薄く瞼が開いて、寝ぼけたようなまなざしのリオネルがそのまま私の手を引き、私に覆いかぶさるようにしてベッドに押し倒した。

 何が起こったのかと思い呆然としているとリオネルの顔が近づいてくる。

 間近で見るとリオネルは昔と変わらずきれいな顔をしていると気付く。


 初めてであった時は女の子かと一瞬思うくらい綺麗で可愛かった。

 あの頃の面差しがまだリオネルの中に残っている。

 と思いつつ私はじたばたするが抵抗する手が気付けばリオネルに抑えられていて動かせない。

 な、何でと私が思っていると、抵抗を感じ取ったのか代わりに私の首筋にキスを……。


「や、やめ、リオネル!」

「……うにゃ?」


 私がそう大きな声で叫ぶとリオネルが変な声を上げた。

 そして少し体を起こして私をじっと見降ろしてから、顔を赤くした。


「ご、ごめん。夢だと思って……」

「前からリオネルは寝癖が悪かったけれど、一体私を何だと思っているのよ」

「ご、ごめん、寝ぼけてただけだから、それ以上意味はないから」

「うんうん、でないと、私、ここに来れないしね。それよりそろそろ起きて支度をしないと遅刻しちゃうよ。初日は私服でよかったはず」

「……こうまで反応されないってどうなんだろうな」

「え?」

「いや、何でもない」

「まだ寝ぼけているのかな? でも支度しているうちに目が覚めるよ。ほら、早く着替えよう」


 そう私は答えながらベッドを下りて支度をし、リオネルと一緒に朝食を食べに向かったのだった。









 入学式は好きな席に座れるらしい。

 大きな講堂の中の座席に私は座る。

 もちろん隣はリオネルだ。


 と、おこでリオネルの隣に可愛い感じの少年が座るが……この人、この前のギルドで私達を見ていた人だなと思った。

 そして私の隣には、


「うう、何でクロスは隣同士で座ってくれないんだ」


 と、ぶつぶつと愚痴を言う少年というか、セレンというこの前見かけた彼女が座っている。

 だが、あまりにもぶつぶつ何か言っているので声をかけるのもはばかられて私は見なかったことにした。

 そこそこ席が埋まっていくのを見ながら、私たち二人が並んで座れる良い時間に入れたなと思う。


 そして席の殆どが埋まっていて入学式が始まった。

 この学校の先生らしき人が始まりの挨拶をしてから、何でも今年から新しい学園長が来ることに急遽決まったらしい、と説明した。

 その説明が終わってから、その学園長をその先生が呼んだまでは良いのだが、


「ははは、よく来たな愚民どもよ! この私がこの学園の新しい学園長であり次期国王、クラウド様だ!」


 そう言って、顔の上半分に仮面をかぶり、赤いマントを翻し……私やリオネルの非常によく知っている人物が現れたのだった。


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