ギルドカードを手に入れよう-5
こうしてギルドカードを手にれた私達は、その後は周辺を見て回る。
もちろん依頼を受けて、だ。
ちょっとした木の実やキノコ、薬草等。
この町周辺にある森やダンジョンで取れる物や出てくる魔物などをガイドブックを参考にしながら、依頼の品物を取りに行く。
とってくるだけの簡単な依頼とはいえ、自然に生えているものであるためかそこそこ量が必要なのでお値段もなかなかいい。
こういった依頼を受けてお小遣いを稼ぐのはなかなかいい方法だ。なにしろ、
「こうすると普通っぽいし。魔物倒しだと攻撃魔法が……とかいって面倒になるから」
そう、今回は目立たず、何処にでもありそうな樽か何かのように私はなるのだ!
そう決意して私はリオネルのガイドブックに記載された森に、依頼のものを採りに来ていた。
“ララシャの森”と呼ばれるその場所は明るい森で、手入れがそこそこ行き届いている明るい森である。
とはいえ目的のものを探すには、そこそこ見通しが良くても雑草や低木などが茂り見えにくい、広い森である。
だから私は特殊能力……の派生の魔法を使う。
「“探知”っと。まずは“コロナ草”っと」
「ルカはいいよな、そんな便利で変わった特殊能力があって」
「異世界人ですから」
「異世界人にばっかりそんな能力があってずるいよな」
「でも現地人なリオネルだって、あれだけの力があれば特殊能力なんていらないんじゃないかな? この前も、私が特殊能力だけで戦いを挑んだら私が負けたし」
私にだって負けて悔しい気持ちがあるのでそういい返すとリオネルは、
「それでもぎりぎりだったしな。出来れば圧倒的実力差で勝ちたいんだよな」
「……誰がそんな差で負けてやるものか」
「でも、Fランクの平凡魔法使いにルカはなる予定なんだろう? それでいいのか? 対抗心を燃やしてその実力を見せても」
「う、うぐ……」
「確かにそれを言えば、ルカは俺に抵抗できなくなるか、なるほど」
そこでリオネルが何かに気付いたように頷く。
だが私がリオネルに抵抗できなくなるとどうだというのだ、と思う。だって、
「リオネルに抵抗できなくても、別にかまわないよ。リオネルは私に危害を加えないし」
「……この信頼感は、喜ぶべきか、悲しむべきか」
「? 喜べばいいじゃん」
「いや、こう、男として……」
「? 私達、幼馴染の兄弟みたいなものだよ?」
聞き返すとリオネルは微妙な顔になって、それ以上何も言わなくなった。
そして周囲を歩いていくと食べても大丈夫な、“マルマルの実”などがあって、それをおやつにしながら他愛もない話をリオネルとしながら、目的のものを集める。
散歩を兼ねた散策で、気づけば夕方になっていた。
急いでギルドに集めたものを持っていき換金をして、信頼ポイントを貰う。
これによって、この冒険者がどれくらい信頼できるかが数値で分かるようになっている。
そして手に入れたお金で今日は美味しいものを食べようといった話になり、私はガイドブックの少し高級なお店に向かい、そこで料理を楽しんでから……またみられているなと思いつつ宿に戻り、
「明日が楽しみだね。入学式だっけ。その日に制服やら教材が支給されるんだよね」
「そうだな、楽しみだな」
そう言って話してから私達は、眠ったのだった。
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