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あの声の主  作者: 猫大長老
1/3

座敷わらし

寒い冬にもホラーは必要!

僕は今、風呂にいる。怖くて動けない。視線を感じるのだ。どこから見られているのか分からないが、見られてる。とりあえず風呂を出よう。出たら出たで、もっと怖いことが待っていた。庭の方から2歳児くらいの子の笑い声が聞こえるのだ。12時を過ぎているので、うちの庭に2歳児なんているはずがない。

つまり、幽霊だ。幽霊確定だ。


どうしようか........。この脱衣所から居間までの間に玄関がある。怖いなぁ........。

振り返らずに行けばいいか。


僕は体を拭いた後、服を着た。そして、振り返らないと心に決めて歩き始めた。


「きゃっきゃっきゃ」


やっぱり玄関の外に何かいる........!

でも振り返ったらダメだ。

そのまま居間まで歩いた。そこには、父がいた。


「どうしたヨシオ、顔色がアレだぞ、あの........何だっけか」


「庭の方から子供の笑い声が聞こえるんだよ」


「なんだと!お前だって子供だろうが!」


はい。父はちょっとおかしい人です。情緒不安定というか、精神不安定というか。この前は浴槽を一日中眺めていました。その時は「ニュートリノ」がどうとか言っていました。本当によく分からない人です。


「ヨシオ、教えてやろうか?」


父は何を知っているというのだ。まさか........!隠し子か!


「多分それは、座敷わらしだ。」


座敷わらし!?意外な答え!


「え、でも父ちゃん、座敷じゃないじゃん」


「だったら見てこればいいだろ!アホー!」


すぐ怒るんだから........。

どうしようかな。怖いけど気になるよな。


よし!行こう!


ガチャッ!と鍵を開けて、引き戸をひく!


ぬ!?開かん!誰かが押さえとる!


そこには、大きな影が映っていた。僕は全力で開けようと試みた。


ふん!!!ぬわぁああ!


「うはぁ〜」


ガラッ


開いた!........と思ったら目の前に見知らぬオッサンがいた。


「どなたですか」


「ど、どうも、座敷わらしです........」


見た感じ40代くらいのオッサンだ。ただ、声がめちゃくちゃ高い。どれくらい高いかというと、赤ちゃんと言われても違和感が無いくらい高い。


「座敷わらしって........。漢字で書いたら座敷童子ですよ」


「はい。」


「座敷と童子の意味分かって言ってますか」


「はい。」


何このオッサン!庭にいるオッサンがどうやったら座敷童子になるの!意味わからん!


「じゃあ聞きますけど」


お、見知らぬ不法侵入のオッサンの分際で、この僕に質問とは。


「あなたの名字は森中ですよね。」


「はい。森中ヨシオ14歳ですが」


「私が座敷に居なければならないのであれば、あなたは森の中に住むべきだ。それと、ヨシオ14歳とは、また珍しい名前ですね」


確かに........。確かにそうだなぁ。でも、名前で珍しい勘違いされてる........。


「確かにそうですね........」


「分かりましたか?私は座敷わらしなんですよ?」


座敷は座敷でいいとして........童子はどうした!

「お前オッサンじゃないか!だいたいなんでうちの庭できゃっきゃ言ってたんだよ!」


「こらヨシオ!年上の人に向かってお前とはなんだ!」ペシ!


痛っ........父ちゃん!なぜここに........!


「ここからは父ちゃんが対応するから黙って見てなさい。........ところで、どちら様で?」


「私、座敷わらしなんです」


「へぇー、やっぱりそうだったんだ。じゃあ安心だ。福の神みたいなものだよね?」


父ちゃん........!アホか!それか、子どもにでも見えてるのか!


「ヨシオ14歳くんのお父さんですね?一日中浴槽を見ていてもニュートリノと原子核の衝突は見れませんよ?」


「なんだって........!?なんだ、ヨシオ14歳くんというのは!」


父が入って来てからゴチャゴチャがさらにゴチャゴチャになったので、そろそろ整理したいと思う。


僕が脱衣所で笑い声を聞く→父に相談→見に行く→オッサン→尋問←今ここ


「お父さん、カミオカンデはご存知ですか?」


「お前にお父さんと呼ばれる筋合いは無い!もう帰る!帰ってCD茹でる!」


良かった、自分から引っ込んでくれた。


「お前の父ちゃん怖いな、いろんな意味で」


いやいや、お前のほうが怖いわ。父ちゃんはもう慣れてるし。


「もう座敷じゃなくても童子じゃなくてもいいから、何で庭に居るのかだけ教えて!あと、できれば何で1人で笑ってたのかも教えて!」


「ふっふっふっ、どうしよっかなぁ〜。教えてもいいけどぉ〜、ん〜」


んー、これが殺意というものか。ものすごく殺したい気分だ。


「教えてあっげなーい!」


これで殺人事件になっても僕が悪いっていうのが気に食わないな。誰でも殺したくなるだろこれは。


「なになに、どうしたの〜?そんな怖い顔して」


最初とずいぶんキャラ変わったな........。


「座敷わらしがきゃっきゃ言ってるのって普通でしょー?」


あ、そうか。何も考えなければいいんだ。それと、聞かなければいいんだ。


「今度は私のターンだ!ゆくぞ!」


なんだこいつ!聞きたくなくても聞こえる!声高すぎだろ!


「最初から思ってたけど、ヨシオ14歳くん、なんでフリちんなんだーーー!!!パンツ履けーー!!」


はっ!恐怖のあまり履くの忘れてた!


「公然わいせつ罪の現行犯で逮捕します」


なっ!?こいつ、座敷わらしじゃなかったのかよ!捕まるのはまずい!


「こんなことで捕まったのがクラスのみんなにバレたらどうなるかな〜」


くそっ!なんなんだこいつ!本当になんなんだ!勝手に人の家の庭に入って来て、変な声出して、変な会話させて!


「........あんた警察なのか」


「警察じゃない、だが、現行犯逮捕なら一般人にも出来る!」


「そ、そうなのか!?」


「いや、本当か分からんけど........、どこかでそう聞いた気がする」


くそー!もうダメだー!ボカッ!


つい全力で殴ってしまった。座敷わらしは倒れて、頭を打って血を流している。おそらくすぐに死ぬだろう。


僕は悪くない。こいつが悪いんだ。僕を捕まえようとするから。僕は自分を守っただけだ。とにかく家に入ろう。真冬にフリちんは寒い。


冷えたなー、おしっこ漏れそう。履いてないからそのまま楽に出来るな。


僕はフリちんのままトイレに入った。


........あれ?向こうの家、電気点いてるな。


「父ちゃん、向こうの家が電気点いてるんだけど」


「うちも点いてるだろ」


それもそうか。


もう1時か。そろそろ眠い........。


「父ちゃん、おやすみ」


「おう、おやすみ」


階段を一段一段踏みしめて上がっていく。おそらく、もうこの階段を歩くことはこの先無いだろう。


はぁ........。明日警察来るのかなぁ。

刑務所嫌だなぁ。クラスのみんなに知れたら、もう友達とか居なくなるんだろうなぁ。

まあ、わいせつ物陳列罪よりはマシか。


明日は日曜だから、一日中漫画読み放題だったのに........。刑務所って漫画持ち込めるのかな。あ、眠っ。。。。。。。

感想待ってます(*´∀`*)

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