日記拾肆頁目:許してとは、言わないけれど〜千夜丸〜
「楽しかったんだよ?アンタとの思い出」
「千夜」
「久遠」
その日千夜丸と久遠の2人はある部屋に向かって歩いていた。楽しく、楽しくお話ししながら。
「千夜の武器って大きいけど使い辛くない?」
「イヤー?もう慣れちゃった。アレ以外の武器だと手にしっくりこなくてさー」
「分かるーぼくもー」
そう2人は笑う。2人は兄弟だ。同い年であるが双子ではない。此処では一番の仲良しかもしれない。
「あ」
「……え、何久遠」
久遠の不穏そうな声に千夜丸の顔が歪んだ。嫌な予感しかしない。
「大将さんから今日の要請入ったら行けって言われてたんだった…しかもぼくが隊長…ううううう、やだぁああ!!」
「あららー」
久遠が「うがああ!」と荒ぶる。それを千夜丸が完璧に他人事のように「どうどう…」と落ち着かせる。と疑問が浮かんだらしく今日の隊長である久遠に問った。
「てかさ、誰連れてくつもり?オレは行くつもりだk「ありがとう千夜ーー!!」…うん、耳元で大声はやめろやうるさい!!」
久遠が自ら行くと言ってくれた千夜丸に抱きついて喜ぶが千夜丸の耳は大打撃を食らった模様。久遠が申し訳なさそうに千夜丸から離れる。千夜丸が痛そうに右耳を押さえる。
「……で、誰連れて行くつもり?」
「うーん…とりあえず後方支援系は絶対一人は欲しいなぁーとりあえずさ」
「あ、放置した」
久遠はその話題を忘れようとしているらしい。にっこりと笑って呆れ顔の千夜丸に言った。
「早く行こ」
***
その男性は自前のお茶セットでお茶を楽しんでいた。
ーバッターン!!ー
「霧雨いるー?!」
「いきなりはダメでしょー?!」
突然、扉が大きな音を立てて開かれた。そこにいたのはニコニコと笑う久遠と呆れ顔の千夜丸。この2人の登場に男性は穏やかに笑った。
「おやおや…いらっしゃい、千夜丸、久遠」
「おっ邪魔しまーす!霧雨!」
「……おじいちゃんおっひさー」
「おじいちゃんは聞き捨てならんからな………やめろ」
「うっす」
男性に‘おじいちゃん’と呼んだ事で千夜丸が彼の黒い笑みを食らった。それに久遠はクスクス笑った。
「……ホント、霧雨、そこ気にするよね」
「まぁね。ほら、入って入って。お茶淹れるから」
男性の促しに2人は素直に従った。
男性、霧雨は紺色のショートで瞳は金色。左耳に青の小さな扇を模したイヤリングを、右耳には青のピアスをしている。服は髪と同じ紺色の狩衣の上のみを着用し、下は黒の長ズボン。鮮やかな模様が白や黄色などで描かれた紺色の着物を羽織っている。靴は室内なので脱いでいるがヒールが低めのブーツ。
千夜丸と久遠は部屋に入り、霧雨が淹れてくれたお茶を飲んでホッと一息つく。それを孫を見るような温かい眼差しで霧雨は見守る。
霧雨は“荒神”の中でも大昔に造られた古参中の古参“荒神”である。そして、此処では誰もが恐れる攻撃力と発言力を持つ。が彼はそれを自覚していないため、周りの者達が勝手に『最終兵器』として隠している。多分、大将は気づいていない。まぁ気づいていても容易に霧雨を壊せは出来ないが。
「で、何の用なんだい?」
「あ、うんとね。今日、要請入ったらぼくが隊長なんだ。それで連れてく人探してて…」
「オレは行くこと決定済み」
久遠を手助けするように千夜丸が横からお茶を啜りながら言う。霧雨はうむと頷いて久遠に問った。
「それで、久遠は誰を連れて行きたい?」
「え、えーと…後方支援系は絶対欲しいけど…霧雨、来てくれない?」
久遠が心配そうに霧雨を上目遣いで見ながら頼む。霧雨はにっこりと穏やかに笑ったまま、2人の頭を撫でた。
「良いぞ。2人の頼みだ、引き受けるよ」
「やった!!」
「良かったね久遠!」
「うん!ありがとう霧雨!!」
承諾の答えに久遠は嬉しそうに微笑み、それにつられて千夜丸も自分の事のように喜ぶ。そんな2人の微笑ましい光景に霧雨も笑みがこぼれた。霧雨は2人にお茶のおかわりを淹れ、要請が来るまでゆっくりと会話に花を咲かせていた。
***
「やだよーぼくが隊長なんてー」
「文句言わない!オレは久遠の事信頼してるから安心だけど?」
「………」
戦場で千夜丸がそうグダグダ言う久遠に言うと久遠は千夜丸の言葉が恥ずかしくなったらしく顔を両手で覆った。それに気づかない千夜丸は「どうしたー?」と顔を覗き込む。
「そら、そこのお2人。緊張感を持とうか?まぁ、それが2人の良いとこだがの」
「「褒めてる?」」
「褒めとるよ」
回復した久遠と千夜丸が背後にいた霧雨に問う。そしてにっこりとわらうとスゥ…と表情を変えた。そして化け物の群れを見て武器を構える。千夜丸は大鎌を、久遠は大剣を。霧雨も真剣な表情になり、右手を顔の前に持って行くとスッと振る。とそこに扇が現れる。“荒神”の武器は基本的に保管庫行きだがまだ駒となるには不十分だった大昔に造られた古参中の古参メンバーは保管しなくてもよく、何処でも武器が取り出せる。それ故、使役者、大将からは古参と知られると問答無用で警戒される。
深く深呼吸をした後、久遠は敵を見据える。
「行くよ!」
そして彼らは化け物に向かって大きく跳躍した。
知らないうちにまたブックマークが増えてる。
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ちなみに霧雨じいtyゲフンゲフンの容姿、めちゃくちゃ悩んだんですよ…って言う話です。すいません




