日記拾弐頁目:アンチノミーとうそつき〜転生〜
「「新しい未来」」
「ん…」
明るい光と暖かさに目を覚ました。
「あ、起きた。起きたよー」
男性がひょっこりと視界に入る。そして誰かを呼ぶ。目を覚ましたその者は起き上がる。そこは何処かの布団の上で近くの別の布団には
「……千鶴?」
千鶴に‘よく似た’少年が寝ていた。その者は驚いたように目を擦り、自分の手を見た。とそれを見ていた男性が優しい笑みを浮かべて言った。
「そうだよね。最初は驚くよね」
「…?どういう事ですか…?」
「私が説明するよ」
その声の方向を見れば、そこには頭からすっぽりとフードをかぶった人がいた。声色的に女性…だが、男性?わからない。
フードの人物はその者がいる布団の前に座る。その隣には男性もいる。
「まず最初に、君達は死んだよ。それは合ってる」
「死んだ…なら何故此処にいるんですか?」
「ごもっともな質問だね。簡単に云うと君達は転生したんだ」
「転、生?」
言葉を繰り返すと「そう」と頷くフードの人物。
「君達は〈蘇生転生〉と呼ばれるごく稀な体質なんだ。死んだにも関わらず、魂も体も世界から離れず、放置し続けると二度と転生も出来ない…私はそのごく稀な〈蘇生転生〉を転生いるんだ」
「……………つまり、私達は助けてもらったんですか…ありがとうございます」
頭を下げて礼を言うその者にフードの人物は「いいよ」と頭を上げるように促す。それにその者は頭を上げる。
「俺も入れて3人目だね、〈蘇生転生〉は」
「え?どういう事なんですか?」
男性に突っかかるように問う。それに男性は快く答えた。
「俺もこの人…マスターに助けて貰ったんだよ。それで今は居場所もないし救ってくれた恩人だから一緒に旅してるんだ」
「そう、ですか…」
その者はしばらく考えてから言った。
「私もお供させて貰ってもよろしいですか」
「それは何故だい?」
優しく問うマスターと云う人物。その者はこう答える。
「私も居場所はないと言っても等しいです。それに私は…君に着いて行きたいと思った…それでは駄目でしょうか?」
その者の言葉に男性とマスターは顔を見合わせ、にっこりと笑い合う。
「じゃあ、もう一人の子が起きたら、決めようか」
***
しばらくして目覚めた少年にも同じ説明をして2人はマスターに着いて行くと決めた。そしてマスターは着いて行くと忠誠を誓った2人に〈力〉を与えた。「使ってみたら分かる」と秘密にされてしまった。
「うむ。それでは名前を決めようか…あ、響」
「あーあれ?待ってねー」
男性の名前は三日月 響と言った。響はマスターが言わずともなんだか分かったらしく懐から何かを取り出した。そしてそれらを2人に渡す。それは龍を模したイヤリングと黒い紐だった。それは、あの2人の。
「はい、君達の証」
それを懐かしむように受け取る。笑みが零れる。
「ありがとうございます」
「ありがとう」
「おっ!決まったぞ!」
それを渡してちょうど。マスターが名前を決めた。マスターはイヤリングを受け取ったその者を指し示して言う。
「桜舞 夜征」
紐を受け取った少年を指し示して言う。
「疾風」
「いいじゃん、いいじゃーん!よろしくね、夜征、疾風」
新しい名前と新しい体。新しい…何もかも新しい。此処から新しい生を始めよう。何もかも新しい世界で。
その者、夜征はイヤリングを右耳に、少年、疾風は紐を首に付け、2人に向かって言った。
「「よろしくお願いします」」
「うん、よろしく。私の愛しい新しい子達よ」
にっこりと、フードの下でマスターが笑った。
過去編第一部(ある意味)終了!まだ続きますので読んでくれるとありがたいです!てか本当ありがとうございます!




