日記漆頁目:パラドックスとアンチノミーの思い出〜陽戒〜
「愛情ト憎シミハ、紙一重ト、教ワッタ」
『陽戒』
『ん?何赫袮?』
『愛してる』
『!!ボクも愛してるよ。この戦争が終わったら、弟達も連れてどっか行こっか』
『!えぇ!楽しみ♪』
そんな話をしてたのに
『赫袮…?』
どうして赫袮は血だまりの中でピクリとも動かないのですか?
『最初から奪った方が楽だろう?駒である“荒神”から何もかも!!!』
お前が…赫袮を…?許さない。殺してやる。
プツリと、ボクの中で今まで張り詰めていた憎しみの糸が切れた。
大将は何をした?
『ボクの弟達と仲間に暴力を加えた』
『赫袮を殺した』
憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ…………赫袮ガイナイノハ、寂シイヨ。悲シイヨ。
コンナ思イヲサセル大将二、弟達ト仲間ヲ奪ウ大将二、復讐ヲ。復讐ヲ!!
アレェ…?ボクガ殺シタカッタノハ……
『誰ダッケ……?』
『………陽戒の事、恨んでないから-スパッ-』
広がる血だまり。そこに立っていたのは狂った陽戒と、消え行く仲間。そして、薄っらと笑う大将のみ。
***
「なんだと?!奪われた?!………役立たずっ!」
「うっ」
大将の部屋。戦争後の報告にて。報告に行くのは大体が戦争に行った時の軍隊の隊長。大将から隊長に任命される事はない。彼らが自ら決めるのだ。
そして今回の隊長は小さな小さな少年。彼の報告に大将は怒り、立ち上がると少年の頬を叩いた。その衝撃で少年は倒れこむ。彼の体にも今までつけられた暴力の跡が見え隠れしている。大将の背後には虚ろな瞳の陽戒がいた。その手には手入れもされずに放置された、誰かの血で真っ赤に染まった刃物。武器は普通、保管庫に保管されるが例外で保管から外される事がある。それが今の陽戒、“荒神”になりつつある者である。
「なんと衝突するか…勝利を奪われた、だなんて…」
「………申し訳ありません。こちらの…ミスです」
「嗚呼そうだなお前らのミスだな!!」
「………………人間のくせに(ボソ」
「?なんか言ったか?」
「いえ」
ドカッと少年を蹴る。少年が痛そうに蹴られた腹を抑える。大将は痛み苦しむ少年を見下す。
「……駒が俺に逆らおうとするのか?駒ごときが?……ハハハ、そうかそうか……おい」
「?!」
大将は陽戒を振り返る。それに少年が目を見開く。大将が陽戒に…いや、陽戒と云う名の駒に命じる。
「殺せ」
「やだ……やだやだやだ!!」
ゆらりと陽戒が刃物を痛みによって動けない少年に振りかざす。少年は懸命に逃げようとするが体は言うことを聞く気はないようだ。少年は諦めたように大の字になると陽戒を見上げた。その少年の左目には赤紫色の痣があった。
「………陽戒さん、貴方の事は知ってるから何も言えないけれど……貴方を憎んでないよ…それと…一瞬で終わらせて」
「…………………………」
「…こんな時でも何も言わないのか…」
「殺れ」
少年の命の期限切れの合図が下される。陽戒は‘何故か’優しく微笑む少年の心臓めがけて刃物を振り下ろした。
「さようなら」
ーグシャー
闇に囚われた者をどうか、癒しますように………




