第六十捌陣:2人の対戦相手
今日も2連続投稿!
響はマスターを背後に隠すようにしながら目の前の自分にそっくりな青年に刀を向けている。
「………何故、その人を守るの?」
青年の問いに響は当たり前と言わんばかりに即答した。
「俺を、俺達を助けてくれた、救ってくれた。その恩を返すため、忠誠のため。そして…」
その後の言葉を聞かなくとも青年はわかった。だから、遮るように言い放った。
「ホント、ムカつくしっ!!」
そして大きく跳躍し、頭上から響に向かって刀を振り下ろした。ガキンッ!と重たい音がし、火花が散った。
「響!!」
「大、丈夫っ!」
響は背後のマスターを気遣うように叫び、青年を弾く。青年は空中で一回転しながら元の位置へと戻る。マスターが響の隣に出て「自分も闘う」と武器を構える。それに響は敵わないなと内心、微笑んだ。それを見て青年は小さく顔を歪ませたように見えた。そして青年は素早く駆け出し、攻撃を仕掛けた。その攻撃はマスターに向けられ、マスターは2振りの刃を交差させて防ぐ。響が横から刀を青年に向かって振ると青年は突然、しゃがみそのまま後退。押し合いをしていたものがなくなったマスターが前方に前のめりになる。がシュッとそのまま青年へと迫り、2振りの刀を切りつけた。それを紙一重でかわす。と今度はマスターと入れ替わりに響が刀を振る。驚愕し、動きが遅れた青年の左頬に一線が刻まれた。それを青年は2人と距離をとった後、その刻まれた一線に触れた。そして、ニイと嗤った。来る、瞬間的に2人は感じ取った。
「じゃっ、行くよ?」
バッと青年は跳躍し、響の前へと躍り出た。そして刀を振り下ろした。鈍い音と重い感触が刀を通じて響の手に伝わる。ビリビリと伝わるその感触を感じながら響はそれを防ぎ、何度も何度も弾いては防ぐのを繰り返す。と、響を弾き、その腹に一蹴り入れると青年は一線。響の左腕に傷がつく。が響はそれをものともせずに刀を振る。紙一重でかわす青年に今度はマスターの小太刀が向けられる。
「…嗚呼」
「?」
「ホントに………あははは!!」
青年はマスターのフードに隠された顔を刃越しに覗き込んで不気味に嗤うと目を見開いているであろうマスターの小太刀を持つ手首を蹴り上げ、その首筋目掛けて刀を振った。がマスターはそれを片方の大脇差でギリギリで防ぐ。弾こうにも女と男では力が違い過ぎるし、先程、小太刀を持つ方の手首を蹴られたために片手は痺れて使えない。それも計算のうちなのか青年はマスターの首筋に刀をめり込ませようと力を入れる。首筋に刃が少し当た…
「マスター!」
「チッ」
ブンッと響が青年に刀を振る。間一髪。マスターは改めてそう思い、ジンジンとまだ痛む手首を武器を持ちながら包んだ。響はそれを心配そうに尻目で見るが目の前の敵に視線を向ける。青年は刀を手首で弄びながら機会を伺っている。
「響」
「分かった」
その一言で響はマスターの言いたい事を察する。そして、シュッと青年の真ん前へと迫ると刀を振った。青年は刀を横にして防ぐ。
「〈明鏡止水・演舞〉」
響が淡々と告げると見えない波紋が広がり、それは青年を捕らえた。その波紋は響の刀に纏う。響は動きの封じられた青年にその刀を振った。波紋が破れ、青年の胸辺りに傷を刻み付ける。青年はその傷を抑えながら後退し、響を睨む。
「失礼するよ?」
「え?!」
青年がその声に驚く。何故ってマスターが突然、青年の前に現れたからだ。驚く青年を横目にマスターは回復したばかりの小太刀で攻撃した。青年は防ぐ事をせずに跳躍して後退した。
そして2人を睨みつけながらゆっくりと刀を、胸の前に掲げ…ブンッと振り払った。すると刀は不気味な光を纏った。まだ、やる気か。瞳以外でも、感じ取れる。
「………」
そして両者は再び刃を交えるために、跳躍した。




