第六十漆陣:兄達の対戦相手
見たかったPVがなくなっちゃったんです…どうしよ響兄さんや…(←知らんがな)
はい、失礼しました!忘れてくれて結構です!
夜征と疾風はある青年と対峙していた。疾風は無言で白虎に変化すると低姿勢で唸る。夜征の手に刀と短刀が握られる。それに青年は薙刀を構える。
そして、暫しの沈黙の後、誰と云うわけでもなく両者は跳躍した。
ーガキンッー
夜征の刀と青年の薙刀が交差し、青年の背後を取るように疾風が鋭い爪を振り上げる。
「俺を侮るな」
青年がニイと嗤うと薙刀を持っていた片手を爪を振り上げる疾風に向ける。人差し指を彼の爪に軽く当てる。その途端、人差し指から光が放たれ、疾風を包んだ。
「疾風!」
「…え?」
その光が晴れると疾風の白虎化が強制的に解けた。夜征は青年を弾き、元の姿に戻った疾風の元へと後退した。
「疾風、大丈夫ですか?」
「うん…何が起きたのやらさっぱり…でも良いや。夜征兄、短刀」
「どうぞ」
驚く疾風は落ち着きながら夜征の武器を借りる。疾風は短刀を手首の周りで弄び、構える。再び、戦闘態勢になった両者は素早い動きで敵に接近した。再び交差する両者の刃物。青年は薙刀で2人の攻撃をうまく防ぎつつ反撃する。一方、夜征と疾風も交互に攻撃しつつ、夜征が青年の反撃を防ぎそこに疾風が攻撃するという戦法をとっている。
青年が夜征を弾き飛ばした。夜征は地面に足をついて飛ぶのを防ぐ。そこへ疾風が青年に向かって跳躍し、短刀を顔面に突き刺す。青年はそれを紙一重でかわすと薙刀を振る。今度は疾風が薙刀を足で防ぎ、弾いた。夜征が後方へ弾かれた反動で仰け反った青年に刀を突き刺した。刀は青年の右肩に突き刺さり、青年が後転して後退するとヌルッと不気味なほどに抜けていった。
青年は片膝をつき、右肩を抑えると2人を睨む。右肩からは血が流れ出る。夜征は片手にもう一振りの刀を出現させた。
「……っ。はぁ…しょうがない」
青年は立ち上がり、結ばれた長髪を払う。2人は身構えた。来る。
「変更」
「「?!」」
いつの間に目の前に?!見えなかった。青年はいつの間にか疾風の真ん前に躍り出ていた。そしてそのまま驚く疾風の脇腹を横に蹴り飛ばし、続けざまに夜征に薙刀を何度も振る。それを夜征は2振りの刀で器用に防ぐ。ガッ!と突然の力任せの攻撃に夜征は面食らい、防御を緩めた。これ幸いと青年が薙刀を振り、夜征に傷をつける。振り下ろされた薙刀をとっさに足で夜征は抑える。青年は案の定驚いている。夜征はそのまま2振りの刀を振った。かろうじて薙刀を外し、防ぐ青年に夜征はクスリと笑った。
「疾風!!」
「任せて」
「?!」
夜征の頭上から短刀を振りかざした疾風が現れた。頬には赤い一線が刻まれている。疾風は紙一重で短刀の攻撃をかわし、夜征を弾いた青年に空中で横蹴りを食らわせる。それを避け損ねた青年が先程の疾風のように飛んでいく。が地面に足をつき、速度を落とし、体制を整える。両者が再び、睨み合う。
「夜征兄…」
「なんです?」
「左肩、ザックリ切られてるよ!?」
「…おや」
疾風の切羽詰まった声に夜征は青年につけられた傷をようやっと見た。疾風の言う通り、左肩がザックリと切られている。深くはなさそうだ。こういう傷には慣れているといえば慣れているので言われるまで気づかなかった。夜征はあまり気にしていないようで2振りの刀を振る。それに疾風も大丈夫だと確信したのか短刀を構える。そして両者、跳躍。最初に交差したのは疾風の短刀と青年の薙刀。疾風は短刀を青年に押し付け、それを青年は押し返す。
「〈白粒演舞〉!」
「?!」
疾風がそう、叫ぶと彼を円を描いて白い粒子が包み込む。それは天女の羽衣のように美しい。そしてそれらを纏いながら疾風は踊るように青年に攻撃した。青年には白い粒子の意味が分からない。が、次の瞬間には意味を捉えた。疾風が青年に踊るように攻撃するたびに白い粒子が疾風が攻撃したかったであろう場所を切り裂くのだ。疾風の短刀を防ぐと粒子が攻撃する。小さな傷が青年についていく。青年は白い粒子から逃れるように後退し、薙刀を構える。…と疾風がニヤリと笑ったのを見て首を傾げた。そして気づく。もう一人は、何処へ行った?
「後ろですよ?」
「!いつの間にっ?!」
夜征が青年の背後にいつの間にか回っていた。青年が驚きながら薙刀を後方に向けて振るよりも早く、夜征は淡々と言う。
「〈桜剣演舞〉」
夜征の背後に桜の花びらを舞い散らせながらたくさんの武器が現れ、青年に切っ先を向けた。そしてそれらは桜の花びらとなって一つに纏まる。それは大きな大きな、桜の剣。それを夜征は持っていた2振りの刀を手放して持つとこちらも踊るように、スローモーションのように遅れて薙刀を振り上げる青年に向かって素早く振った。
「くっっ?!」
青年に闘い中に出来た右肩の傷から左脇腹へ一線が刻まれた。青年は腹を抑え、再び背後から来た疾風の攻撃を上へ跳躍してかわすと2人と距離を取る。2人は並んで青年を睨みつける。青年は自分を嘲笑うかのように嗤うと薙刀を垂直に持つ。と薙刀が不気味な光を纏う。相手はまだやる気のようだ。それに夜征と疾風も顔を見合わせる。
「……」
そして両者の武器が再び、交差した。




