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異世界戦争  作者: Riviy
第壱部隊:妖ノ乱
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第肆陣:朱護神社と癒し傷

「此処が朱護あかもり神社」

「へーなんか神秘的だね」

「そうだろ?」


先に集合場所に着いたのは疾風&香ペアだった。

朱護あかもり神社は鳥居の向こうに建物が建っており普通の神社となんら変わらないが独特の雰囲気が漂っている。


「そーいや、お前達とマスター?ってどんな関係なんだ?」


香の問いに疾風はサラッと答えた。


「僕達はマスターの〈武器〉にして仲間。そして、命の恩人」

「……大切な大将あるじなんだな」

「大切と云うよりもかけがえのない存在だよ。僕達にとってマスターは」


そう、綻んだ笑みを浮かべる疾風に香も笑う。

2人が探したエリアでは連れは見つからなかった。範囲を広げることも考えたがこれ以上広げてすれ違いになってしまっては元も子もないので集合場所に来たのだ。


「香にとって夜姫さんは?どんな人?」

「俺か?うーん…俺にとってのお頭はお頭だな!それしか言葉が思いつかない」

「いい人なんだね」

「嗚呼。疾風もな…そういえば疾風」

「ん?何?」

「お前って何処かで「おーい!」」


香の問いは誰かの声によって掻き消された。声の方を見ると探し終えたマスター&響&夜姫ペアがこちらに歩いて来るのが見えた。手を振っているのは夜姫のようだ。


「来たみたいだね」

「だな」

「さっき何か言おうとしてなかった?」

「いや…なんでもねぇよ」


香は聞きたかった事を無視した。聞いてはいけない気がしたから。きっと、すぐにわかると思ったから。

2人は3人が来るまで無言だった。


「収穫はあったかい?」

「いや、なかった」

「こちらもだ」

「月姫ちゃんの連れもこっちの連れも見つかんない!」


夜姫が諦めたようにため息をつく。それにマスターが「まぁまぁ」と肩を叩く。そんな時だった。


「マスター!」

「姫様!」


夜征&青藍ペアが大慌てで集合場所にやって来たのは。2人は荒い息を整え、顔を上げた。汗が額から零れ落ちる。


「どうした夜征」

「あおちゃん?どーしたの?」


その問いに夜征が勢い良く叫んだ。


「左眼丸がっ!負傷しました!今、こちらに向かってますっ!」

「?!どういう事だ。説明を頼む」

「う、嘘でしょぉおお!!」


慌てふためく夜姫とは反対にマスターは冷静に2人に問う。香は夜姫に「落ち着け」と肩を叩く。響も疾風も驚愕している。


「…俺達は話を聞いただけですのでなんとも…ですが、如鶴ゆずややまる、イノリが目撃してます。彼らの連れが〈血狂骸身ちきょうがいしん〉に囲まれて攻撃されたのを」


マスターは理解した。響も疾風も理解した。あの三兄弟はこの異世界の『災い』である〈血狂骸身ちきょうがいしん〉に襲われ、対抗した結果、左眼丸が負傷したのだと。


「ったく!いつも通り過ぎるよ全く!」

「まぁまぁ。夜征、四季と海は無事なのかい?」

「ええ。無傷です」

「今、俺達の連れが彼らを連れて来ています…」

「分かった。夜姫、すまないが開けておくれ」


マスターが的確に指示を出し始める。まず最初に、道を開ける。とそこにちょうど長身の青年に抱きかかえられた左眼丸がやって来た。痛みに歪む顔が傷の酷さを物語っている。その後ろからは小さい少女と男性、そして四季と海が着いて来る。


「此処に」


青年にマスターが言う。彼は困惑したように夜姫を見た後、マスターに従い、冷たく固い、コンクリートの上に左眼丸を下ろした。


「マスター!ごめんなさい!」

「僕らが悪いんだ!」

「お前達は悪くない。そして左眼丸は大丈夫だ。安心しな」


慌てる2人に冷静に言うマスター。それに少し2人は落ち着きを取り戻したように見える。四季を疾風が、海を夜征が「大丈夫」と落ち着かせる。マスターは痛みで苦しむ左眼丸を見る。


「左眼丸、聞こえるかい?」

「………………っ……あ、マ…スター…?…」

「そうだ。今からお前の傷を治す。いつものように治すから少し、我慢してくれ。できるね?」

「(コクリ)」

「良い子だ」


マスターは左眼丸の頭を一撫でした後、彼の傷口にきつく縛られた布を外すと彼の傍らに立つ。みんなも2人の周りを囲んで心配そうに見守っている。マスターは深く深呼吸をし、左眼丸が横たわる上に両手をかざす。マスターは両手に神経を集中させる。するとマスターの両手に薄い黄色の光が集まり始めた。それはゆっくりと螺旋を描きながら左眼丸に向かって降下して行く。光は左眼丸を包み込み、右肩の傷を治していく。傷が治るにつれて左眼丸の顔は安らかな表情になっていく。


「ふぅ…左眼丸、どうだ?」


光がマスターの両手から消え、左眼丸を包んでいた光も消える。マスターの問いに左眼丸は軽く頷いた。それに安心したのかマスターはふらりと体が揺れる。それを響が当たり前のように支える。


「左眼丸!大丈夫?!」

「もう痛くない?!」

「2人共!」


左眼丸を心配する2人が駆け寄り、疾風が慌てるな的に叫ぶ。左眼丸は上半身を起こすと2人を引き寄せて「大丈夫」と抱き締めた。それに2人の兄弟は今度こそ安心したように、彼の存在を確かめるように抱き締め返した。


「マスター…大丈夫ですか?」


夜征のマスターを心配する声に夜姫は我に帰った。今だマスターは響に寄りかかっている。


「月姫ちゃん…大丈夫?」

「嗚呼…」

「お頭、使わせてやったらどうだ?」


夜姫にそう提案する香。それに青藍も賛成だと頷く。どういうことかと彼らが見守っていると夜姫がマスターの手を握って言った。


「此処、今私達が住処として使ってるの!だから…休んで!連れも見つかったし!」




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