第四十伍陣:夢中、霧中…思考
ウチの子達が可愛いすぎる…過去編書きてぇえええ…失礼しました!
「なんで俺達が…いや、正確には俺が寝ずに此処に来ることが分かった」
「疾風のおかげだよ」
響は鳴時の問いに答え、疾風の頭を撫でる。
鳴時の心中に何かが蠢く。そんな事じゃない。
心中に蠢く何かを聞こうとすると頭にモヤがかかる。思い出せまいと頭が拒否する。
『鳴時?大丈夫?』
「え…?」
櫻に言われて鳴時はようやく気付いた。自分が左手を握り締めすぎて血を出している事に。鳴時は慌てて手を開き、何か布がないかと辺りを見回す。
「動かないで」
と夜征が駆け寄り、鳴時の左手に自身の手をかざし、〈力〉を使って治して行く。鳴時はそれに従う。ジリジリと火傷のような痛みが左手に広がり、脳に伝わる。
その様子を見ていた櫻が唐突に言った。
『会った事あるっけ?』
「?…はい?」
夜征が素っ頓狂な声を上げる。それに自分の気のせいだと気付いた櫻は『なんでもない』と勘違いが恥ずかしいと思ったらしく刀に戻ってしまった。ちょうどその時、鳴時の傷が完璧に治った。
「良いですよ」
「……嗚呼、ありがとな…」
鳴時は左手を握ったり閉じたりした後、突然、顔を上げた。
「なぁ!」
「?なんですか?」
「………いや、やっぱなんでもねぇ…先行っててくれ」
だが閉ざした。そして先に行けと促す。まだ聞き足りないのではと思っていた3人だが鳴時がそう言い、櫻も戻ってしまったのでないと思ったらしく、先に部屋へと戻って行った。それを見届け、鳴時は壁に背をつけて座ると両足を抱え込み、そこに顔をうずめた。
「…………思い出しかけたのに…」
しばらく、その体制でいた。
**…
朝になっても本に情報は記載されない。響達3人は昨夜の事をマスターと兄弟達のみに話した。だがそれでも本には何も書かれなかった。
〈レイドクリーチャー〉の亡骸が消え、旅館を後にした一行。行く当てなどないがそれでも進む。
昨日のせいか鈴蘭は口数が少なかった。鳴時はいつも通りでマスターと響に話しかけていた。
廃墟となった街を目的地なく進む。人などいない。生き物の気配がするのは自分達だけ。人間は全て〈レイドクリーチャー〉に狩られてしまったのではないかと疑うほどだった。
しかしちゃんと生き物は存在した。
「!!またかよっ?!」
最悪の物語が連れて来ていた、昨日よりも多くいる〈レイドクリーチャー〉によって。
「きっも!キモいわ!!」
「同感!」
「うっわー…」
多すぎて頭の部分であろう色んな色をした物体が蠢いている。ハッキリ言ってキモい。てか昨日の倍はいる倍。何処まで続いてるんだってくらいの〈レイドクリーチャー〉の絨毯が出来ている。嬉しくない。要らないお届け物だ。
げっそりと兄弟達がしている。が全員、武器を持ち、闘うしか道がないのは分かり切っていることだった。全員が闘う準備満タンで相手も満タンなのに相手は〈レイドクリーチャー〉は一向にこちらに攻撃する様子はない。と云うよりも誰かを待っているようだった。
「?どういうこと?」
「……もしかして、『神』か?」
響が代表して言った疑問に鳴時が予感を口に出す。
嘘だろう?誰もが(と云うよりも蘭丸や天、鳴時や鈴蘭)そう思った。その予感は嫌な方で当たる。
突然、〈レイドクリーチャー〉が一斉にこうべを垂れた。それに全員がギョッと後退する。
「誰に向かって頭を下げてるの?」
「一つしか答えなどないでしょう?」
天がまだ困惑した表情で首を傾げる。それに夜征が武器を手に答える。〈レイドクリーチャー〉、〈神の使徒〉。〈レイドクリーチャー〉が従うのはその名の通り、
「『神』しかいないだろう?」
マスターが上を睨み付ける。それに全員が習って見る。とそこには空中に浮く、顔のそっくりな少年と少女がいた。2人はニヤリと嗤った。その笑みは冷たく、残酷だ。人を殺すことさえ躊躇しないのだろう。その無機質で凍り付くような瞳に天は怯えたようで兄の蘭丸に抱きついた。蘭丸は天と同じ高さになると彼女を安心させるように抱きしめた。ブルッと左眼丸が体を震わせるとそれに気付いた四季と海が彼を落ち着かせるように隣に行く。それに左眼丸は落ち着いたようだ。鈴蘭はいつかのように身を固くして震えた、が瞳を一度閉じ、決意したように開いて少年と少女を真剣な眼差しで、金色になった瞳で見据えた。




