第四十弐陣:敵との対戦と逃げ道
ーガキンッ!!ー
「兄さん!!」
「俺は大丈夫!」
狭い廊下に響き渡る刃物同士が交差する音。夜征は壁を支えに立ち上がりながら攻撃された響を心配して叫ぶ。それに響は相手の刃物を防ぎ、叫ぶ。夜征を安心させるように少々余裕ぶって言っているように聞こえる。響は相手の刃物を刀で弾くとさらに追撃を加える。それを相手はひらりとかわす。
「俺もお忘れなく」
「っ」
バッと鳴時の薙刀が相手に振り回される。相手、敵は薙刀をかわした反動で跳躍し、壁を走る。ガッとその壁に夜征が槍を突き刺す。それを避けるように敵は一度着地。夜征が短刀を右手に出現させるとブンッと首筋目掛けて振った。ガキンッと何度も刃物が交差する音が響き渡る。敵の足元に向かって鳴時が薙刀を振る。それを敵は夜征の攻撃と共に後方に一回転してかわす。と今度は背後から響の刃物が迫る。しゃがんで回避した敵は3対1ではさすがに分が悪いと思ったのか壁に背をつけた。それに3人は降伏したのかと武器の切っ先を突きつけて一瞬思った。
だがそれは、
「……?…!夜征!鳴時!伏せろっ!」
「「?!」」
いっときの安らぎに過ぎない。
敵がニヤリと口元を歪めた。響の指示で伏せたと同時だった。ズバッと良い音を立てて何かが頭上を切り裂いた。数秒前までそこに頭があった。まだあったら頭と胴体はおさらばしていた頃だろう。恐る恐る鳴時が壁を見ると見事に何かによってパックリ割れが出来ている。
「これは…一体…?」
「さぁ…俺も寸前で気づいたからなんとも言えないけど。一つ、分かるよ」
夜征が驚愕したような声を上げながら首を傾げる。響は2人に説明するように言いながらゆっくりと刀片手に立ち上がる。敵はそんな響をただ見つめている。響はそんな敵を睨みつける。
「……こんな大物、隠してたって事がねっっ!!」
そう響が叫ぶと敵は満足そうにニィと口元を歪めて嗤った。敵の手の中には先程とはまるで違う輝きと鋭さを讃えた一振りの刀が握られていた。
「………………さぁ、もう一戦交えようか…?…時間は、まだある…」
その何やら不穏な空気を醸し出す言葉に響は背筋が凍るのを感じた。
まさか……まさか!!??
「兄さん?!」
響が踵を返して廊下の奥へと大急ぎで走りかける。その顔は焦りと恐怖で覆われていた。響の行く手を何処からともなく現れた〈レイドクリーチャー〉が塞ぐ。
「どけっっ!!!!」
「おい!どうしたんだよ?!」
「私にもわかりません!」
〈レイドクリーチャー〉と交戦を始める響に狼狽える2人。だが次第に分かって来る。響が向かおうとした奥には誰がいる?いるのは蘭丸の妹、天と響達と一緒に来たマスター…そして保護したばかりの鈴蘭。
それに気づいた2人の顔がサーッと青くなる。こんなとこで悠長に敵の相手をしている場合じゃない!
「………相手はこっちだぞ?」
「っ!どけっ!」
だが敵はきちんと邪魔をする。イライラしながら3人は道を開けるため武器を振るうしかなかった。
**…
風呂場の隣の客室に逃げ込んだ3人。
「ミカ姉」
「ん、なんだい?」
天がマスターのフードの裾をクイッと引っ張る。マスターは天と同じ高さになって問う。天は心配そうに言う。
「お兄達、大丈夫かな?」
「そ、そうだよね!!さっきおっきい音したし!」
天に同意するように鈴蘭が両手を握り締めて叫ぶ。
マスターには先程した爆発音の正体が分かっていた。四季の〈力〉だ。
マスターはにっこりと安心させるように笑いかける。
「大丈夫だ。心配ない」
それに天は安心したようでにっこりとこちらも笑った。一方、鈴蘭は何か言いたそうだったがこの戦闘前に鳴時に無神経な発言をした事が後ろ髪を引いたらしく口を閉ざしてしまった。
そんな事は知らないマスターは立ち上がると天と鈴蘭を客室の中央に集まるよう指示した。
「ミカ姉!いざとなったらアメも頑張るねっ!」
フンッと鼻息を荒くしてネックレスを掲げて見せる天。それにマスターはクスリと笑ってありがとうと彼女の頭をポンッと叩いた。
「あのっ!僕も微弱ながら頑張るんで!」
「……ふふふ、君達は優しい子達だね」
そうマスターが優しい笑みを(見えるのは口元だけだが)2人に向ける。それに2人も笑う。とその時だった。マスターが突然、険しい顔をして2人に覆いかぶさった。
「え?!」
「うぇ…?!」
驚く2人を尻目に客室の扉が弾け飛んだ。真っ二つに裂けた物体と化した扉は3人の近くの壁にぶつかって落ちた。マスターは入り口付近にいる敵に十分警戒しながら2人からどくとその両手に月光や月などを纏わせ、小太刀と大脇差を形作らせるとそれらを握り締める。扉を吹き飛ばした人物、敵はゆっくりと客室へと歩を進めた。マスターは敵を睨みつけ、その背後から天と鈴蘭が顔を少し出して同じく睨みつけている。
「誰だ?あの子達がロビーと廊下を固めてるはず…どうやって?」
マスターの問いに敵は答えず代わりにとでも言うように何故か鈴蘭に視線を移した。鈴蘭が慌てたように冷や汗をかく。
「……〈神の花魁〉
「ふぇええ?」
「は?」
敵が無機質に言い放った言葉に思わず何言ってんだこいつと云う顔でマスターと天の女性2人組が見る。がそんな彼女らとは真逆に鈴蘭は目を見開き、恐怖に一瞬怯えたが毅然としていた。
「何を言って…?」
「ミカ姉、この人アタマイカれてるの?」
「コラ、そんな事言うんじゃないっ!!」
敵であろうが天が失礼な事を素直に言ってしまい、マスターが諭すと彼女は「ごめんなさい…」と謝った。果たしてそれが敵に向けられているのかいなや。
敵は口元を歪めた。
「…やっと……こうしてお会い出来ました……」
無機質な台詞が客室に響いた。
小説家になろうで小説を読んでいると「学園モノ書きたいなぁ…」ってなります。だがしかし、まだ終わっていない。これを書きながら早くも次回作を検討中…←(早いわ!)
もう一つ言うとこの章、多分一番作者のお遊びが多いかも…←と言いつつも次の章もお遊び要素を入れる気です←




