第三十肆陣:お昼寝の話
場面はご想像にお任せ。
「……眠い」
ゴシゴシと疾風が目をこする。それに近くにいた左眼丸が駄目だと慌てて止める。疾風が不満そうに左眼丸を見上げる。
「眠いんだもん。しょーがないでしょ?」
「………昨夜…遅かったのか?」
「うん。見張りの最中に星座見てたら時間過ぎてた」
「………馬鹿なのか…?」
「左眼丸に言われたくないよ」
プイとそっぽを向いた疾風。疾風は左眼丸よりも背が小さい。左眼丸は何を思ったか彼の頭に手を乗せ、撫でた。
「や、めんかっ!」
「……ちょうど、良い…高さだったから…」
「それ僕の背が低いって言ってる?」
「違う…けど……すまん」
疾風が怒ったと思ったのか左眼丸はシュンとなった。それに疾風はハァとため息をつくと左眼丸の背後に回りつつ座れと促す。それに従い、左眼丸が座るとその背に疾風が自身の背を預けて座った。
「…?疾風兄…?」
「ちょっと寝るから背中貸して。これでチャラ」
トンと自身の背中に重みがかかる。そしてしばらくして「スースー」と言う寝息が聞こえて来た。そんなに眠かったのかと左眼丸は思いながら兄に許して貰ったので動かないように座っていた。
「あれ?左眼丸?何してるの?」
「先程まで疾風と一緒でしたよね?」
そこに夜征と海がやって来た。左眼丸は「シーッ」と口元に人差し指を当て指示するとどうして?と首を傾げている兄弟のために自身の背を指差した。そこには先程から左眼丸の背中で寝てしまった疾風がおり、良い夢なのか口元が楽しそうに笑っている。
「嗚呼、なるほど」
「…えぇー疾風兄寝てるの?つまんない。僕も寝る!」
「…え」
ふてくされたように海が言い、左眼丸の隣に座るとちょうど近くにあった彼の肩を借りて寝始めた。左眼丸が慌てて止めるが一足遅く、海は疾風のように寝息を立てて寝てしまった。寝るのが早い。
「……寝ちゃった…」
「おやおや。左眼丸が大変ですね」
「………夜征兄も……寝る、のか…?」
「いいえ、私は寝ませんよ」
にっこりと笑って夜征はポンポンと左眼丸の頭を撫でた。それに左眼丸が疑問を漏らす。
「……さっき…疾風兄の頭…撫でたら……怒られた……なんでだ…?」
「うーん…知っていますが秘密です」
にっこりと笑って人差し指を口元に当て夜征が言う。それが何と無くマスターと響が「秘密」と言い合う表情に似ていると左眼丸は思った。左眼丸は眼帯ごしに右目に触れる。何か思った時に無い右目に触れると落ち着くような気がした。
**…
「あれ?…ははは」
四季は一向に動かない兄弟達を心配し、様子を見に来ていた。そしてその様子を見て微笑ましそうに笑う。そしてマスターと響を呼び、静かにと動作で言う。
「マスター、響兄。見て見て」
四季に呼ばれて来た2人は驚いたように目を見開いたが次の瞬間には四季と同じように微笑ましそうに笑った。
「おやおや」
「仲良しだね」
「だよねー」
3人の視線の先には左眼丸の肩を借りて寝る海と左眼丸の背中を借りて寝る疾風。そして夜征に寄りかかって眠る左眼丸の姿があった。夜征も寝ているらしく寝息が聞こえる。
全員、あまり眠れなかったのかそれともただ単に一緒に寝ようと思っただけか。何にせよ微笑ましい。
「オレも入れるかな?」
「限界だろうね」
「まぁ、寝かせておいてやろう。四季は響の肩を借りて寝ると良い。まだ空きがあるようだからね」
マスターの言葉に四季の目が輝く。響はマジかーと云う感じで苦笑したが嫌がっている様子はない。響が夜征から少し離れた場所に座ると四季が嬉しそうに彼の左肩を借りて寝始める。最後、残ってしまったマスターは少々寂しそうでありながらも戸惑っていた。それに気づいた響が右手でマスターの手を引いて自身の右肩に頭を乗せる。クスリとマスターは響を上目遣いで見た後、夢の中へと旅立った。響も軽く目を閉じ、夢の中へと旅立った。
彼らのちょっと平和なお昼寝タイム。
少ないですけど一応、これで番外編、日常編は終了です!何個か章をやった後に過去編をやる予定です!
次の章から話が長くなりますよ。注意かもです!




