第三十壱陣:お留守番の話
番外編、日常編は小説仲間でもある夜風車 朱珠様のリクエストです!読まなくても物語には影響ありません…かも?
マスター達の日常を楽しんでもらえたら嬉しいです!
場面は第壱陣、第弐陣の日本風屋敷。
「ちょっとそこの土産物屋まで出掛けてくるから。悪いが一人で行ってくる。留守番していておくれ」
そう言ってマスターが出て行って早2時間半。マスターが絶対着いて来るなと念を押すので彼らは着いて行くのを断念した。マスターが行く土産物屋はこの日本風屋敷の少し離れた所にある。街の中にあるのでなにかあったらすぐ分かる。
「それにしてもお留守番ってヒマ〜」
四季が全員が集まった部屋で言いながら、テーブルに突っ伏した。テーブルを囲むように兄弟達が座っており、目の前には疾風が淹れたお茶と中央には同じく疾風が作った特性の和菓子が山盛りに皿に盛り付けられている。
その和菓子を一つ取って頬張りながら四季の隣に座る海が苦笑いしながら言った。
「もう2時間半も経ったしねぇ…」
ちなみにこの部屋に時計はちゃんとある。古いが。この屋敷自体が古い。空き家だったのでご拝借した。
「時間的には早いですが怪談話でもしますか?」
お茶を飲みながらテーブルの反対側に座る夜征が笑って言う。それに四季と海は怪談話が苦手なのか2人して震えている。だが海の隣に座る左眼丸はワクワクとした様子だ。
「夜征兄、怪談話は早いよ」
「やはりそうですか」
夜征にやめるように言う彼の隣に座る疾風が言った。それに四季と海はふーっと安心したように息を吐くが左眼丸はしょぼーんと残念そうだ。
「ごめんね左眼丸。怪談話は夜に頼んで」
「………大丈夫……寝る前にでも、頼む…」
左眼丸がニィと楽しそうに笑うと今夜に怪談話があると知った四季と海は再び、震え上がった。
「うぬん…覚悟しとっか、四季」
「そうだね、海」
「ふふふ、お楽しみに」
夜征が言い、和菓子を摘まむ。楽しみそうに左眼丸は笑い、お茶を口に含んだ。それに今まで黙ってお茶を飲んでいた響が湯飲みを置いて微笑ましそうに笑った。
「みんな、仲良いねぇ」
「響兄も僕らと仲良いでしょ?」
「兄さんですものね」
響がそう零すと兄弟達が笑う。それに響も笑い返す。
「あ…和菓子、なくなった」
左眼丸が和菓子を取ろうとしたがなくなったようだ。それに疾風は皿を持って立ち上がる。
「まだあるから足してくるね」
「分かった。疾風の和菓子はついつい手が進んじゃうんだよね」
「そうだよねー!さすが疾風兄!」
兄弟達に褒められて疾風は嬉しそうに頬を赤く染めながら和菓子を足しに行った。それを見送って海がテーブルに右肘をついてそこに顎を乗せながら言う。
「疾風兄ってさ、前から料理上手いの?」
「嗚呼、そういえば!オレ達が来る前からなの?」
「……どうなんだ?……」
それを皮切りに三兄弟が聞く。その答えを響は答えたがっているように見えた弟に譲った。夜征はそれに気づいたようで兄に軽く恥ずかしそうに頭を下げ、三兄弟に説明した。
「君達が来る以前から疾風は料理が上手いですよ」
「そーなんだ!…夜征兄はどうだったの?料理上手いの?」
夜征に四季が質問を言う。それに夜征は苦笑してお茶を少し飲み、言った。
「私は…和食しか料理出来ません。兄さんなんか凄いですよ?料理した物が高確率で炭です」
「何それぇ?!」
「ホント?!響兄!」
「……驚きだな…」
「夜征?!言わないでよ?!一応気にしてんだから!」
「おや、兄さんの弱みゲットですね」
「夜征ー?!」
夜征の発言により料理話は高確率で炭になる響に飛び火した。響は三兄弟(主に四季と海)にからかわれてかそれとも気にしてる事を暴露されたからか響は顔を赤くしてその顔をテーブルについた右肘の右手で隠すようにして俯いている。響はケラケラと笑う夜征をキッと睨む。
「覚えとけよ…夜征」
「ふふふ、覚えておきますね兄さん」
響の睨みに臆する様子も無く夜征は笑った。多分、稽古で本気出す、と云うことだろう。多分。
「足して来たよ」
「わーい!」
「…それ、食いたい」
そこに和菓子を足した疾風が帰って来てテーブルに皿を置くと一目散に四季と左眼丸が手を伸ばす。それを微笑ましそうに見ながら疾風は座り、なんで響兄は俯いているんだろうと思いながら自身も和菓子を手に取った。
そして兄弟達は和菓子が再びなくなるまで楽しそうに話していた。
**…
マスターにお留守番を言い渡されて早くも5時間が経とうとしていた。マスターが出掛けたのは今朝なので今は午後だ。
「寝ちゃいましたねぇ」
そーっと夜征が持って来た掛け布団を横になって寝ている海と左眼丸にかけてやる。
「そうだね」
疾風がそれに返しながらテーブルに突っ伏したまま寝てしまった四季にこちらも掛け布団をかける。時間的にはお昼寝の時間。なので三兄弟は寝てしまった。
「こんなにマスターが遅くなるなんて…迎えに行った方がいいかな?」
響が湯飲みに残ったお茶を飲み干して心配そうに言うと夜征が同意するように響を見て言う。
「そうですね。迎えに行きますか」
「…大丈夫そうだよ」
疾風が安心した声色で言う。それに2人の視線が集まる。が疾風は別の所を見ている。2人は疾風が見ている方を見ると「シーっ」と口元に人差し指を立てたマスターが帰って来ていた。
「おかえりマスター。遅かったね」
「嗚呼、ちょっと悩んでしまってね」
「?悩んだ?」
「まぁ、3人が起きたらにしよう」
そう言って帰宅したマスターは響の隣に座ると留守番中何をしていたのかを響、夜征、疾風の3人から聞いていた。
**…
「はい、これをみんなに買いに行ってたんだ」
そう言って三兄弟が起きたのを見計らってマスターが懐から何かを取り出す。それを彼らはなんだろうと見ている。マスターがテーブルの上に出したのは6つの小さな小さな小瓶。その中には砂のようなキラキラとしたものが入っており、その中でも金平糖のようなものがとても目立っている。
「?何これー?」
「これはな、土産物屋の店員によるとこれを持っている者の願いを叶えると云うボトル・スターだと云う物だ。私はこの6色がお前達にそっくりだと思ってな。それにいつも頑張ってるお前達にと思ってね」
マスターが「ふふっ」と笑い、言う。自分達のために買って来てくれた事に彼らは嬉しそうに微笑んだ。
「この青色の金平糖が入っているのは四季」
「ありがとうマスター!」
マスターが一つの小瓶を四季に手渡すと四季は嬉しそうに小瓶を胸に抱きしめた。
「この桜色の金平糖が入っているのは海」
「ありがとう!嬉しい!」
マスターが次は別の小瓶を海に手渡す。海はそれを受け取り、頭上にかざしてみたりし、嬉しそうに笑う。
「この水色の金平糖が入っているのは左眼丸」
「………ありがと…マスター」
マスターがまた別の小瓶を左眼丸に手渡すと左眼丸は嬉しそうに笑い、両手で小瓶を握りしめた。
「白い金平糖が入っているのは疾風」
「…ハハッありがとマスター…嬉しい」
マスターが別の小瓶を疾風に手渡すとそれを嬉しそうに疾風は見つめる。
「黒い金平糖が入っているのは夜征」
「おや、私ですか。ありがとうございます」
マスターが別の小瓶を夜征に手渡す。夜征はマスターににっこりと笑って頭を軽く下げた。
「で、最後にこの黄色の金平糖が入っているのが響」
「ありがとう」
マスターから最後の一つを受け取り、響が笑う。
「これは非常時には食品にもなるらしい。お前達の願いを叶えておくれ」
「わぁー何お願いしよー!」
「…俺、願いとっとく…」
「それでは私も大事にとっておきましょうか」
「えーもったいなーい!」
「人それぞれなんだから文句言わない」
「うーん…迷うね。まぁ、でも」
響が言葉を切った。それにマスターが不思議そうにしていると彼らがマスターを見て笑顔で言った。
「「「「「「ありがとう(ございます)マスター」」」」」」
「!…いいえ」
その後の夜は予告通り、夜征の怪談話で四季と海の悲鳴が響き渡ったらしい。




