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異世界戦争  作者: Riviy
第参部隊:反乱ト政府ノ作戦
28/126

第二十伍陣:世界管理センター最上階手前


「撃ちまくれぇええ!!」

「ったく、うっせぇ」


廊下の先でマシンガンを持った化物2体に狂ったように指示する政府の者。それに従い化物はマシンガンを乱射する。物陰からその様子を見ながらゼイガは呟き、2本の短剣を抜き放った。3人がいるのは最上階の1階下の19階。此処には反乱軍に味方する人はいないようだ。政府側しかいない。

カルは今にも走り出しそうなゼイガの肩を掴んで止めるとマスターを振り返った。行くぞと云う合図だろう。それにマスターは軽く頷く。


響達は無事だろうか…いや、絶対に無事だ。

マスターは自身にそう問い聞かせて、胸の辺りに握り拳を置く。大丈夫、私の愛しい子達だから。


「行くぞ」


カルが言い、3人は物陰から銃弾の嵐の中に飛び出した。それに政府側の銃弾の嵐も強くなる。器用にかわし、武器で銃弾を弾きながら迫る。一番最初にゼイガが化物の元に辿り着き、一体の化物の首筋に一気に迫った。そして、ピッと一線した。その途端、首筋から血が溢れ出し、マシンガンを乱射したまま化物は仰向けに倒れこんだ。それをマスターがガッと足で蹴って蹴り上げ、手に収めるともう一体の化物に向かって乱射。化物は蜂の巣になって倒れた。慌てふためく政府側の者にカルが迫り、腹を蹴り上げた。政府側の者はその途端に意気消沈。カルは政府側の者に敵意がないのを読み取り、先へ進み、扉を開けた。


ーバンッー


「最上階への階段は何処だよ…!」


ゼイガが苛立ちを隠す様子も無く言う。3人が入った扉の先には淡い光がそこら中から漏れているコンピュータールームだった。何台もの大型テレビに何台ものパソコン。それら全てが起動した状態のまま、取り残されていた。


「?此処にいた奴らは…?」

「逃げたんじゃねぇの?さっさと階段探そうぜ」


カルの疑問をゼイガが打ち消す。カルはズボンのポケットからレシーバーを取り出し、それに何かを喋りながらゼイガと同じように階段を探す。一方、マスターは階段を探すよりもあるものに釘付けになっていた。それは壁にはめ込まれた液晶パネルだった。大きさはあまりないがそのパネルに映し出されていた情報にマスターは面食らった。水色の画面の中心に黒文字で書かれた言葉。


〔“彼”と〈NGRLIネグリィ〉について〕


「…っ!」


求めていた情報が手に入る。喉から手が出るほど欲しかった“彼”の情報。異世界を創った創造主。異世界で起こる『災い』。“彼”が消えた意図。異世界の滅亡。全てがわかる気がした。

マスターは震える指でその液晶パネルを下にスライドした。そこには黒文字と重要な所は太文字となった文章が連なっていた。


**…


〔“彼”と〈NGRLIネグリィ〉について


このパネルが動いたと云う事はまだ私が生きていると云う証だろう。

私が調査し、そして独自にまとめた書類を此処に残す。


私は数十年間、“彼”について調査して来た。政府の者に聞いてみたり、反乱軍に潜り込んで聞いてみたりした。そこで手に入れた情報はあまりなかった。しかし、駄目元だめもとで世界管理センターにある巨大図書室で調べてみた。まさかだったがそこで“彼”について記載された書物を見つけた。そして独自にだが巷で噂されている〈NGRLIネグリィ〉についても調査していた調査書と一緒に読み直した。


そこから浮かび上がったのはにわかに信じられない真実ばかりだった。


“彼”は自分の想いから異世界…私達の世界を創ったとされる創造主だ。近年、突如として現れた化物は“彼”が消息を絶ったがために現れたと云う事が判明した。そして、別世界パラレルワールドと思い込んでいたのは異世界だったと云う事も。私達は創造主である“彼”の怒りに触れてしまったのだ。“彼”を忘れ、異世界を忘れ、感謝を忘れ、平穏に浸り切っていた罰なのだ。化物が現れたこの世界とは別に存在すると云う異世界でも何か起こっているのだろうか?

そして、これこそが最大の疑問であり、真実だと私は思う。

政府によって体を改造された人間。彼らは命からがら政府から逃げ延び、反乱軍に入った。彼らは驚異的な身体能力と攻撃力、防御力を兼ね備えていた。彼らは〈NEXTネクスト CROSSクロス〉と呼ばれた。彼らが反乱軍として初めて、独立部隊を発足する。

そして、私達の世代がやってくる。化物が現れて数年、それは私が15歳になった時だった。彼らは現れた。〈NEXTネクスト CROSSクロス〉同士の子供、〈NGRLIネグリィ〉。〈NGRLIネグリィ〉は新たな独立部隊を結成し、親世代の意志を受け継いだ。〈NGRLIネグリィ〉は強力だ。

だが、私が調査した内容では“彼”と〈NGRLIネグリィ〉が同じと云う事が判明した。〈NGRLIネグリィ〉の身体能力などの全ては“彼”が持つ〈力〉と同じだと書物には記載されていた。物的証拠がないがもし、それが事実だとしたらこれは“彼”の消息の意図がつかめるのではないか。しかしそこまでは調査出来なかった。邪魔されてしまったがためだ。だがこれは貴重であり、重大な事実だ。


さて、此処まで記入したが記入漏れはないと信じたい。此処までの情報を提供し支えてくれた友に感謝の意を此処に書き示そう。〈NGRLIネグリィ〉であり、反乱軍の独立部隊・滅竜めつりゅうのメンバー…彼らはすでにコードネームを所持し、本名を捨てたと言っていた。いやしかし、本当に捨てた訳ではないだろう。その印を私に教えてくれた。私は彼らの本当の名前を此処に書き残す。反乱軍の独立部隊・滅竜のメンバー、吉良きら ヒカル浪流なみる 璃軌リキ出翁でおう 衣恩イオン有河ありかわ 音琉ネル…そして是在ぜざい 織夏オルガ。君達ほど、良い友人に恵まれた事に感謝する。


一番感謝したいのは私の…いやオレの双子の弟である響薬きょうやだ。彼はオレと一緒に様々な事を探り、真実を教えてくれた。本当に感謝している、自慢の弟だ。響薬にとってオレは自慢の姉になれただろうか?


そして気にかけている人がいる。オレの友人であった山茶花さざんか 大騎ダイキだ。彼はこの世界を牛耳る政府側の最高責任者。つまりラスボスと言ったところか。彼を正しい道へ導けなかったのは私の責任だ。私に彼を止める力は無い。だから私は…無責任だが〈NGRLIネグリィ〉に彼を頼みたい。彼らの意志はきっと大騎を揺り動かすと私は信じている。


最後にオレは此処を弟と共に脱出する。心残りがある事は痛感だがオレ達は故郷ふるさとに帰らねばならない。こちらも非常事態だがあちらも非常事態なのだ。

彼らの武運とこれからの平穏を願い、此処に書き残す。

もしオレが死んだらこの情報は永遠に提示されないようにしてある。復元は不可能だろう。


オレの名前を最後に明かして去る事にしよう。此処では弟と共に雷葉ライハ刃伊良ハイラと云う偽名を使って来たが本当の名を明かすのは久しぶりだ。オレの名は響薬の双子の姉、零慈れいじ。またの名をレイと云う。〕


**…


全ての文章を読み終え、マスターの中にたぎるものがあった。手に入った情報。この異世界の仕組み。そして、この名前。


「嗚呼…運命とは因果なんだな…」


そう小さく呟くとマスターは震える体を自身の両腕で抱きしめた。興奮が、震えが止まらない。また一歩、真実に近づけた。そして、別の真実にも…


「おい!上へ行く階段らしきもんは見当たらねぇ!」

「こっちもだ…何をしている?」


ゼイガとカルの言葉にマスターは我に返り、液晶パネルに背を向けた。そして素早く懐から本を取り出し、後ろ手で液晶パネルにページを押し付けた。本に情報が流れ込む。いつ役に立つ機能だと思っていたがこんなところで役に立つとは…

マスターは写し終わった本をまた素早く懐にしまい、平然を装って言った。


「なんでもないよ」

「……本当か?」

「嗚呼」


訝しげな顔をするカルの横を通り過ぎる。カルが先程までマスターがいた所を見るがそこにはただの壁しかなかった。


「ん?」


ゼイガが突然、扉を振り返った。その顔には緊張が宿っている。


「ゼイガ?」

「誰か来る」


それにカルとマスターは身構えた。来るのは敵か味方か。扉の向こうから来る何かに集中する。タッタッタ…と走る音が異様にこの空間に響き渡る。


【こ、こちら反乱軍!緊急伝達!緊急伝達!】


ゼイガは耳元のヘッドフォンから聞こえた焦った声と雑音に耳を傾けながら扉から視線は外さない。


【緊急伝達!別行動をとっていた隊より緊急伝達!】


開け放たれた扉の向こうからこちらへ入って来たのは--ーー

書類?…液晶パネルに出てきた名前に前々作のキャラクターの名前を出しました。もし前々作も読んでくださった人がいたらありがとうございます。この後も前々作などのキャラクターの名前や単語が出てくるかもしれませんが基本的には作品となんら関係ありません。「作者が思いつかなかったんだろうなぁ」と思っておいてください。簡単に言ったら作者のお遊びです!!

長文失礼しました!

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