第二十壱陣:反乱軍の思考対戦
「怪我してるのに…」
「……余計なお世話だよ」
ポツリと疾風が涙目で少女に言う。が少女には聞こえていないようだ。疾風は涙を拭い去ると首辺りの服の留め金をつける。するとあの手の跡は見えなくなった。
「手当ては感謝するけど、要らない」
「?なんで?怪我人はちゃんと治療しなきゃダメじゃん?!」
響がそう言って包帯を投げ渡すとそれを少女がキャッチし、驚愕するが落ち着いた様子の少女が言った。
「人には人の理由があるんだから」
「うぅ…分かった」
納得した様子の少女は彼らを見渡し、今だに震えている疾風を心配そうに見る。夜征は今だ疾風の背を優しくさすっている。四季はそんな疾風の真ん前で軽口を喋っている。それに疾風が小さく笑いながら何かを言っている。
「そちらの者の気に触ったようでごめんなさいね」
「まぁ、手当てはありがとう」
「いいえ!」
海が言うと少女が元気に言う。それをもう一人の少女が制すると一歩前に出て言った。
「紹介が遅れたわね。此処は反乱軍の基地の一つ。貴方達はこの子」
もう一人の少女は明るく笑う少女を手で示す。
「が発見し、此処まで連れて来、治療を施した。貴方達が無事のようで何より」
「…………どうも………」
左眼丸が小さく呟く。海が左眼丸の隣に行き、立つ。それが仲が良さそうだと思った静かな少女は優しく微笑んだ。
「私達は反乱軍の独立部隊・滅竜。貴方達を保護し、隔離します」
少女の言葉に彼らは驚愕した。隔離?!なんでだ?
「どうして?!オレ達は此処から出て行かなきゃいけないのに!」
四季が反論する。それにビクリと疾風が怯えたようにはねた。四季がそんな疾風に気づき、慌てたように「ごめん疾風兄〜!」と彼の目の前で謝る。
「貴方達の意見はご最も。しかし、此処は反乱軍。貴方達のような政府に属する者かこちらに属する者か分からない以上、容易に活動させる事は許されない」
「人の命がかかってるんだ!!」
響が叫ぶ。その瞳に宿るは焦りか何か。響が少女を睨む。が少女は臆することなく、立つ。隣の少女は臆しているが。
「それでも、許されない。こちらにも任務がある」
少女はそう淡々と告げた。それに響は悔しそうに顔を歪ませる。が次の瞬間にはニヤリと嗤った。
「俺達だって許されない任務だ」
少女は響に近寄り、彼の何かを宿す瞳を見据える。そしてクスリと笑うと踵を返す。
「面白いわね。行きましょうナリール」
「え、あ…待ってよアリネ!」
そう言って2人の少女は出て行った。出て行った後、響は兄弟達を見回し、真剣な面持ちで告げた。
「分かってるよね?」
「ええ、承知していますよ。兄さん」
夜征が全員の答えを代表して言うと響は頷いた。
「任務を、始めよう」
**…
2人の少女はコンクリートの廊下を歩いていた。一人は黒い、小さな箱に向かって何かを喋っており、もう一人は廊下の先を見据えている。
「だぁーかぁーらぁー!隔離したって言ったでしょ?!」
【そうは言っても相手は不明の…】
「あーもう分かった分かった!切るね!」
【なっ!ちょっ…待て!ナリ-ブチ-】
そう無理矢理、電源を切り、少女はポケットに箱、衛星電話を捻じり入れた。
「もぉー!」
「話は終わったの?」
「んーまぁね。あの人達、なんか起こしそうだね」
「そうね。それほど強い思いと云う事よ」
少女はそう言って響の瞳に宿った感情を思い出す。あれは以前も自分が見た感情だ。
少女は髪を耳にかけると言う。
「そういえば貴方の想い人から連絡があっt「想い人とかやめてよ!…あってるけど」…続けていい?」
突然、言葉を遮られたので許可を取るともう一人は照れながらも頷いた。
「作戦は明日の夜、20時ぴったしに開始よ。敵のアジトに侵入した2人は30分前から行動を開始するそうよ」
「うん分かった…大丈夫かな…」
「貴方の彼氏は大丈夫でしょうよ」
「そうだけどさー!…自分から作戦のために捕まっちゃって大丈夫かな…」
「それは大丈夫そうだぞ」
廊下の先から聞こえた声に2人の少女は顔を向けた。




