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異世界戦争  作者: Riviy
第参部隊:反乱ト政府ノ作戦
23/126

第二十陣:キズ


「………ん」

「おー、起きたか」


マスターが目を開けると其処に広がっていたのは冷たいコンクリートの天井だった。マスターはゆっくりと近くの壁に手を当てながら立ち上がる。とビリッとした痛みが両腕に走った。


「無理しない方がいい。お前、両腕に怪我してるから」


その声にマスターは声のした方を見やる。其処にいたのは壁に背をつけて座っている青年だった。そしてマスターは彼を見た後、辺りを見回した。コンクリートで固められた牢屋のようで唯一の出口には鍵がかかっている。


「牢屋?どうなって…!あいつらは…」

「無理して動くなよ。お前の連れが何処にいるかは知らんが今は此処から出られん」


青年が冷静にマスターに言う。マスターが動くたびに痛みが走る両腕を動かして懐の本をフードの中であるか確認し、開く。そして情報を瞬時に読み取るがこの異世界の『災い』の影響か不可解な点が何個かある事に気づいた。マスターは本をしまい、彼らを心配しつつも両腕に巻かれた包帯を見た。白い包帯に紅い血が滲んでいる。きっと移動の最中に何者かに攻撃された傷だろう。そして攻撃されたことによって兄弟達の円が切れ、自分と彼らは違う場所に移動を完了したのだろうとマスターは瞬時に考えた。


黙りこくっているマスターを心配してか青年が言った。


「まっ、そのうち出れるけどな」

「どういうことだ?」


マスターが問うと青年はクスリと笑い、真剣な顔で告げた。


「今回は俺達、反乱軍の勝ちだ」


反乱軍…マスターはその言葉を聞いて青年が反乱軍のメンバーだと悟った。が何故捕まっているのだろう?自分は多分、倒れている所を発見されたようなものだろうが彼は?何故?


「…なんで君は此処に?」


マスターが問うと青年は口元に人差し指を立てて「シーッ」と言う。教えれないと云うことか。


「……俺はカル。暫くの間宜しく頼む」


ヒラッと手を振って青年が言った。

青年、カルは赤黒い色のショートに黒い瞳。首にチェーンのネックレスをしており、白のワイシャツでボタンを何個か外している。その上に黒のベストを羽織っている。下は青の長ズボン。靴は黒の少しヒールが高い革靴のようだ。


「嗚呼、宜しく。私の事は好きに呼んでくれて構わまい」

「本当に?自分の名前は言わない主義か?」

「まぁ…そうだとも言える。私は」


マスターはニッコリと見える口元だけで笑った。それにカルの背筋に寒気が…いや、恐怖が走った。


「心配症なのでね」


そう言うマスターの心中では何処かにいるであろう彼らの事が渦巻いていた。


**…


「!!マスター!……」


響はそう叫びながら勢いよく起き上がった。そして自分の額から流れ落ちる汗に少々驚くとそれを拭い去る。辺りはコンクリートだらけで部屋のようだ。自分も含めた兄弟6人がベッドの上に寝かされている。が大体は起きたようでベッドの上に座り込む。


「兄さん…大丈夫ですか?」

「え?」


響は夜征が心配そうに自分を見ているのに気づき、訝しげに彼の視線の先にある自分の頭を触った。そこには包帯が巻かれているようで怪我をしていた。夜征に大丈夫だと頷き返し、響はマスターを助けられなかった事に絶望した。俺はマスターを守るって決めたのに…マスターの力となるって決めたのに!!

自分の力の無さに響は俯き、顔を歪ませた。

それに気づいたのは夜征くらいだろう。三兄弟は三兄弟で怪我がないか確認をしている。


「…兄さん」

「早く、マスターを探さなきゃ。移動の時、攻撃された…移動した場所が異なるだけで何処かにいるはず。嗚呼、俺がちゃんとしてれば「兄さん!」…」


響は夜征の声に我に返る。夜征は響にニッコリと笑いかけながら優しく言う。


「落ち着いて下さい、兄さん。君が慌てたら私達はどうするんですか?兄さんのせいじゃありません。誰も予想出来なかったんですから。だから自分を責めるのはやめて下さい」

「そうだよ響兄ー!」

「僕らもいるし!」

「………大丈夫……だ」


それに続いて三兄弟が笑って言う。それに響は落ち着いたようでうんと頷く。

そうだ、俺が慌ててどうする。まずは自分だ。


「嗚呼、ありがとう」


ニッコリと笑う響。みんなも笑う。響は一向に何も言わない疾風が不安になり、疾風の方を見た。そして兄弟全員が恐怖した。


「疾風!」

「やめなさい疾風!」

「う、うあああああああ!!!」


兄2人がベッドから降り、疾風に近寄る。疾風は何かに怯えるように普段は服に隠されて見えない(紐を結んでつけている下辺り、喉仏辺り)首に巻かれた包帯を引っ掻いていた。手元がブルブルと震え、顔は真っ青だ。


「取って!早くこの手取ってよ兄さん!!」

「今取るから落ち着け、疾風!夜征」

「は、はい!」


「早く、早く!!」と包帯を取ってくれと疾風は怯えたように叫ぶ。夜征は疾風の背を優しくさすりながら「大丈夫大丈夫」と優しい声で繰り返す。響は暴れる疾風の手をなんとか止めながら包帯を外して行く。誰が包帯を巻いたのか、誰が手当てをしたのかは知らないがありがたいがいい迷惑だ。

響が外したきつく疾風の首に巻かれた包帯の下から出てきたのは赤黒く変色した手の跡だった。首を絞める形の手跡だ。疾風は包帯が取れたのを手で確認すると安心したのか涙を流した。それを夜征が背後から頭を優しく撫で、落ち着かせる。響は包帯を手に立ち上がり、自身の頭に巻かれている包帯も外す。と「もう大丈夫」と先程までこちらを心配そうに見ていた三兄弟に視線を向ける。それに三兄弟は胸を撫で下ろし、四季が夜征と疾風の所に行き、自身も疾風を安心させようとする。

その時だった。ドガンッ!とこの部屋唯一の扉であろう木製の扉を盛大に開けて入って来た人物がいた。


「何さっきの叫び声?!え、なんで包帯外しちゃってるの?!」

「ナリール…落ち着いて」


驚いたように叫ぶ少女とそんな少女と対照的に彼女を落ち着かせる少女だった。

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