第八十肆陣:唯一の双子月
本当は金曜に投稿しようと思ってたんですけど(←言い訳)
そして突然の(ある意味)展開
マスターは流れ落ちた涙を拭うと黒い闇の中心へと消えて行く夕月夜を心配そうに見る宗近達に視線を向けた。
「………私なら、止められるんだろう?」
『?!』
その言葉に、決意がこもった言葉に誰もが息を飲んだ。長光がゆっくりと、「そうだ」と頷く。
「だが、夕月夜の心が無でない以上、‘滅亡’しはないだろうが‘創造’とも限らない。それに………最悪の場合、死ぬぞ」
「マスター!ねぇ考え直して!」
長光の説明にマスターの元に集まっていた兄弟達が我先にと彼女を引き止めようと叫ぶ。その間にも夕月夜を黒い闇は包んで行き、着々と‘滅亡’か‘創造’かもわからない、〈力〉を発動させて行く。
「マスターが無理にやる必要はないんだよ?!」
「そうだよ!考え直して!」
「……俺達は、貴女がいるから、意味を持つのに…いなくなったら…」
「別の方法だってもしかしたらあるかもしれませんよ?!ですからご自身を犠牲になど…?!」
「そんなのやめてよ!バラバラになるのは、嫌だ!」
兄弟達がその顔に様々な感情を宿し、口々に声を上げる。
行かないで、行かないで。
ひしひしと兄弟達から伝わってくるのがマスターは分かった。でも、でもね、私にだって考えがあるんだ。
マスターは彼らを落ち着かせようと声をかける。
「お前達、落ち着い「さっき、頼れって俺言ったよね。なんで、そんな冷静に言うんだ?俺達は頼りない?」…だから頼りたいんだ」
マスターの言葉を遮り、低い声で怒ったように響が言う。それに一瞬、マスターはビクリと肩を揺らしたが自分の考えを伝えるために力強い声を出した。それに兄弟達は一瞬、どういう事だと首を傾げてマスターを見た。
「私はね、お前達に会えて嬉しいよ。何か別の方法があるのならそちらを選びたい。けれど、それでは私の意志に反してしまうんだ」
『っ』
「私はお前達を救いたい。宗近達を救いたい。異世界を救いたい。私の…兄を救いたい…例え、私が消えてしまっても」
嗚呼、彼女の意志は強い。真剣な眼差しがもう戻れない事を物語る。
マスターはにっこりと笑って兄弟達に声をかける。
「四季、海、左眼丸。お前達は3人で転生した。私はお前達の友人や兄弟がお前達が独りで寂しくないようにそうしたんだと思っているよ。それにお前達には一人一人、意味を授けた。そこにちゃんといるんだよ」
「「「マスター…」」」
四季、海、左眼丸が少し悲しそうな、嬉しそうな顔をする。その感情は複雑だ。
「夜征、疾風。バラバラになんてならないよ、大丈夫。それにね、私は自分を犠牲にするんじゃない。自分の意志でなら、犠牲ではないだろう?さっきも言った通り、お前達を救いたいんだ。お前達の存在のために、ね」
「「…………………」」
夜征と疾風も三兄弟のように複雑な表情だ。
「絶対に戻ってくる」
でも、わかってる。彼女の意志なんて。痛いほどわかってるから。止められないのもわかってるから。最後の足掻き、のようなもので。
嗚呼、やっぱり、貴女に忠誠を誓ってとても良かった。
スッと兄弟達が誰と言うわけもなくマスターの前に跪き、こうべを垂れる。
その言葉、自身の忠誠に誓います。
そう言ってるようにマスターには思えた。ただ、一人立ったままの響。マスターが彼に声をかけようと口を開いた。
「ひびk」
マスターの言葉は目の前に広がった響によって掻き消された。響は右腕にさらなるヒビ割れが入るのも気にせずにマスターを抱き締める。
「行かないで。惨めだと思うかもしれないけれど俺はまだ君に何も返せてない」
「………響、絶対に、戻ってくるから」
「もし、君が死んでしまったら?」
「私は死なないよ。お前達を残して死ねるもんか」
マスターが響を見上げると彼は今にも泣き出しそうだった。今まで見たことがない表情が、決意が出来たからこそ一層愛おしい。
「………………独りは、嫌だ」
「大丈夫、お前にはあの子達がいる。私の分も頼むよ」
響の瞳から一雫だけ零れ落ちた涙をマスターが指先で拭う。マスターが響に大丈夫だと微笑みかける。がその笑みは少し歪で、悲しそうだった。
嗚呼、もう、お願いだから
響はマスターから少し離れるとその唇に口付けした。マスターが驚いた顔で固まったがすぐに何かを悟ったようで歪で悲しそうな笑みが消える。こうべを垂れる兄弟達と宗近達の息を飲む声と黒い闇の音がやけに大きく響いた。
短い間のあと、彼女の唇から離れ、響はもう一度マスターを抱きしめて言った。
「今、言うけど、一人の女性として愛してる。君が帰って来るのをずっと待ってる。絶対帰って来い、十六夜」
「!」
嗚呼、懐かしい名前。お前にだけに教えた私の名前。
マスターはこんな状況なのに嬉しそうに笑って言った。
「私も響を一人の男性として愛してるよ。約束しよう、私は絶対帰って来る。だから、それまで待っていて愛しい人」
マスターは響をぎゅっと抱き締めた。それに響も負けじと、離したくないと言う意味も込めて抱き締めた。
暫くして、響はマスターから離れると他の兄弟達と同じように跪き、こうべを垂れた。それを見てマスターは力強く頷いた。それが見えたのか分からない。兄弟達が立ち上がる。最後、とでも言うようにマスターは彼らの傷を治し、黒い闇に包まれて見えなくなった夕月夜を振り返る。宗近達に視線を送った後、マスターは、十六夜は夕月夜がいた場所に向かって大きく跳躍した。
テンプレだと思いますけど!十六夜と響ってこんな状況じゃないと自分の想い言わなそうじゃないですか!!そしてこうなった。でもウチは満足です。やっとこいつらの両片想い(?)が終わった…終わった…?
まぁいいか←




