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撃滅せよの命受けし  作者: 日本新風特攻隊
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本土決戦

みなさんご存知の通り、第二次世界大戦で日本軍はアメリカなどの連合国軍に降伏しました。しかし、もしもその時に降伏せず本土決戦が行われていたら…、という題材で書きました。ぜひお読みください。

1941年の真珠湾攻撃から始まった「太平洋戦争」も、ついに末期を迎えていた。日本軍には、大きな決断の日が迫っていた。降伏か、本土決戦か、一億総玉砕が騒がれる中、決断の時が差し迫っていった。いや、もう何日も前から決断は下されていたのかもしれない。


8月6日、一通の連絡が入った。それは、誰もが恐れていた連絡だった。

―― 広島に、原爆が投下された ――

それ以上の連絡は一切なかった。

8月9日、またも悲痛な連絡が入った。

―― 今度は、長崎に原爆が投下された ――


翌日、決断は下された。

―― 本土決戦を行う ――


すぐに本土決戦の指針は発表された。

一、2500万人の特攻動員

一、全ての戦闘機を特攻に使用

一、全国民の武装、そして一億総玉砕(いちおくそうぎょくさい)

あまりにも無謀、そんなことは誰もが悟っていた。しかし、誰もそれを口に出すことはなかった。誰もが「死」を覚悟した。


陸空海軍は協力し、準備を急いだ。特攻機をできる限り生産し、基地に配備した。学校のグラウンドなんかも特攻機の発射場に使われた。また、唯一の望みともいえる「新型桜花」も大量生産された。


桜花とは、別名「人間ミサイル」とも呼ばれる特攻専用機だ。1.5トンの爆弾に操縦席を作り、パイロットもろとも敵艦に体当たりするという兵器だ。元々は、陸上攻撃機などにくくり付け、敵艦の近くまで運び、標的を定めてから発射していた。すなわち、離着陸の機能は何一つない。パイロットが死ぬことを前提とした兵器なのだ。ただ、桜花の破壊力は、尋常ではない。たった1発で空母を沈められる。しかし、それが成功する確率はかなり低い。普通はくくり付けられた戦闘機ごと追撃されてしまう。桜花を発射することだけですら、容易なことではない。


しかし、新型桜花は違う。基地から発射し、250キロほどなら飛行可能である。これを大量生産してしまえば、アメリカ軍の全空母を沈めることさえも可能である。


ただ、アメリカ軍も甘くなかった。8月18日、小倉の兵器工場を米軍に爆撃された。また、東京、福岡なども再度空襲を食らい、戦況はますます悪化していった。


日本軍は、15歳~60歳までの男子すべてに特攻の訓練を行った。また、1部の女性も訓練に加わり、戦闘機の操縦訓練を受けた。


元々出撃を予定していた「神風特別攻撃隊」の隊員たちは、いつでも特攻に行けるよう、準備を急いだ。やはり日本側の主力は、ずっと前から訓練を受けている兵士になると思われる。


日本軍はこれ以上本土空襲を受けないよう、日本本土を零式艦上戦闘機で完全包囲した。零式艦上戦闘機、通称ゼロ戦はアメリカ軍が恐れる唯一の戦闘機だった。


なんとか10日ほどアメリカ軍を食い止めたが、ついに本土決戦の日がやってきた。アメリカ軍の先発隊が一斉に日本本土に上陸した。


神風特攻隊は、すぐに500人の特攻兵を出撃させた。60機ほどが体当たり攻撃に成功し、アメリカ軍空母を28隻撃沈した。


戦況は一見すると日本側が優位な状況に見えるが、そうではなかった。各都市では、まともに訓練も受けてない民間人が次々と殺されていった。日本軍の地上部隊も徹底抗戦するが、大量のアメリカ軍兵を食い止めることはできなかった。


1日で本州の半分近くを占領された。死者は増える一方だった。


翌朝、空母40隻のアメリカ軍の援軍が到着した。空母に搭載しているのは、B29爆撃機だ。アメリカ軍は日本本土すべての地域に空襲を行い、全てを焼き払おうとしたのだ。


それを察した空軍は、すかさずゼロ戦500機を発射した。しかしB29の護衛機によって全機撃墜、空軍のゼロ戦は全滅した。


次に空軍は、空母の撃沈を試みた。ありったけの新型桜花を出撃させた。すると、作戦は大成功、空母を全機撃沈、おまけに200機ほどが帰還した。

さらに、地上部隊の砲撃隊によってB29を全機追撃、戦況は有利になっていった。


しかし、やはり有利な状況も長くは続かなかった。2日後、またもアメリカ軍の援軍が到着し、大量のアメリカ軍が日本本土に上陸した。1日もたたないうちに本州、四国、北海道は占領された。残るは九州のみだ。


九州最大の都市、福岡には大量の武装化民衆が待ち構えていた。


そして、日本軍はついに動いた。

「全国民総特攻を命じる!」


各航空基地では軍歌斉唱が行われた。

「♪無念の歯噛みこらえつつ 待ちに待ちたる決戦ぞ 今こそ敵を(ほふ)らんと 

奮い立ちたる若櫻 この一戦に勝たざれば 祖国の行く手いかならん 

撃滅せよの命受けし 神風特別攻撃隊」

そして、全ての特攻兵は飛び立っていった。

撃滅せよ、と命を受け、祖国のために飛び立っていった。

若櫻たちが、千尋の海に沈みつつとも、彼らは皇国の守り神となるであろう。大義の血潮が雲を染め、不滅の大戦果を上げてくれるであろう。

彼らはこの戦いの凱歌(がいか)をこの世で聞くことはできない。でも、きっとあの世で一緒に歌っている。




―― 永遠(とわ)に忘れじその名こそ、神風特別攻撃隊 ――


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