表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/71

源義経黄金伝説■第26回★平泉・秀衡屋敷で西行を待ち受ける藤原秀衡がいる。秀衡は四十年の旧交を温めようと西行を待ち望んでいたのだ。

源義経黄金伝説■第26回★

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

Manga Agency山田企画事務所

●http://www.yamada-kikaku.com/

yamadakikaku2009ーyoutube


西行はようやく平泉にたどり着いていた。

平泉全土の道路に1町(約108m)ごとに張り巡らされた黄金の阿弥陀

佛を描いた傘地蔵が、ここが、新しい仏教世界を思わせる。


この地が仏教の守られた平和郷である事をしめしている。長い奥州の祈念が読み取れるのだ。


「おお、ここだ。この峠を越えれば平泉は望下の元だ」


「では、西行様、我々はこれにて姿を消します」

東大寺闇法師、十蔵が告げた。

「何、お主は、私と同じ宿所に泊まらぬつもりなのですか」


「はい、私の面体にて、藤原秀衡様に変に疑いを生じせしめらば、東大寺

への勧進に影響ありましょう。私は沙金動かすときに現れます」


 十蔵は、西行の前から音もなく消え去る。

また十蔵につかづ張られずの、背後にいた結縁衆けちえんしゅうの気配も

同じように消えている。


今、西行の前に、平和なる黄金都市平泉の町並みが広がっていた。

西行の心がうごめいている。


平泉は京都とそっくりにつくられている。賀茂川にみたてられた北上川が、とう

とうと水をたたえ流れている。


東の山並み束稲山は比叡山である。

この桜を、西行との友情のため秀衡が植えてくれていた。


 平泉は当時人口十数万人を数え、この時期の日本では京都に次ぐ第二の

都市となっていた。清衡以来、わずか100年でこのように発展したのは、

この黄金の力による。


奥州王国は冶金国家であり、その基本は古来出雲から流れて来た製鉄民の集まりである。金売り吉次が重要な役割につけたのも、岡山のたたら師であった出自であったからだ。


 平泉・秀衡屋敷で西行を待ち受ける藤原秀衡は、この時六十七歳である。


「西行様、おおよくご無事で、この平泉にこられたました」

秀衡はまじまじと、西行の顔と姿を見る。

「秀衡様、お年を召されましたなあ」

西行も嘆息した。


「前にお会いした時から、さあもう四十年もたちましたか。西行殿、当地に来

られた本当の理由もわかっておりますが、私も年を取り過ぎました。息子たち、

あるいは義経様がおられましたら、法皇の念ずるがままに、この平泉の地を

法皇様の別の支配地に出来ようものを。残念です」


「季節はすぎております。お見せしたかった。おお、東稲山の桜は、きれい

に咲いておりまする。その美しさは、ふふ、四十年前と変わらぬではござい

ませぬか」


続く20210830改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

Manga Agency山田企画事務所

●http://www.yamada-kikaku.com/

yamadakikaku2009ーyoutube

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ