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Madeniter  作者: での
4/7

孤独の中の魔法使い(前編)

薄暗い森の中

獣道を歩いていく男が二人


「ディノス、道はあっているのか、さっきから草が凄いぞ・・・」

長い金色の髪をした青年が

黒髪の青年を睨み付けている


「うーん、地図ではあっている筈なんだけれど」

と言いながら地図を見ている


「・・・ずっと気になっていたんだが」

金髪の青年が少しイライラしている


「その地図っていつの時代のだ?」


「えっと、30年前のかな」

ディノスがそういい終わると

同時にディノスに向って鉄拳が飛ぶ

2〜3メートルほど転がっていった


「いたた、ウィルいきなり何を?」

ディノスが起き上がる

服に草がついている


「30年前の地図があてになるか!!」

ウィルが叫んだ


ゴウッ

風を切る音

林の間から聞こえてくる


凄いスピードで何かがこっちに来る

「きゃー、どいてどいて!!」


ドンっ

不意をつかれたのでかわす事が出来なかったのか

ウィルは遠くに飛ばされてしまった


「えっと、ごめんなさい」

ウィルにぶつかった少女が謝って来た

ツインテールの髪に、翡翠色の目をしている

黒いローブを着て、箒を持っている

典型的な魔法使いの格好だ


「あ〜、謝るんだったらウィルに謝ってあげて・・・ってウィルは何処だ??」

辺りを見回す、見つからない


「おい、こっちだ」

上の方からウィルの声がする

木の上を見上げると

ウィルの服が木の枝に引っかかっていた

ある意味お見事


どうやっておろそうか・・・


「私が行きます、ウィルさんにはぶつかってしまった責任がありますから」

そういって彼女は箒にまたがり

ウィルの引っかかっている場所へ飛んで行った

物凄いスピードで・・・



ドンっ

再び鈍い音

また、彼女とウィルがぶつかった


運良く(?)

二人は草が沢山生えている所に落っこちていった

恐らく、草が良いクッションになっている事だろう


二人が落ちて言った場所に行って見ると

やはり、彼女が一生懸命謝っている

が、ウィルは気を失っているのか反応が無い


「おい、ウィル起きろ」

トントンっと肩を叩く


う〜んとうなって

ウィルが起きた


「あれ?一体何が起きたんだ??」

いまいち、状況がつかめないらしい


「木に引っかかっていたところを彼女が助けてくれたんだよ」

ぶつかったのが何かまでは気付いて無いらしい


「いて・・・」

木にぶつかった事と

落ちた衝撃で、腕や背中から血が出ている


「ごめんなさい・・・

傷を見せてもらって良いですか?」

彼女はそういってウィルに近づくと

詠唱を始めた・・・


暖かい光がウィルを包み

ウィルの怪我が回復していく

ウィルはただ驚いて見ているだけだった


「私、治癒魔法は得意だから」

彼女が優しく微笑んだ


「あ・・・ありがとう」

ウィルが照れくさそうに礼を言った


「珍しいね、治癒魔法が得意な魔法使いって」

ディノスが物珍しそうに聞いた


女の子が傷ついてしまったのか

しゅんとして下を向いてしまった


「私、それしかとり得が無いから・・・」

消え入りそうな声で言った


「ごめん、治癒魔法が使えるって凄いなって思ってつい・・・」

ディノスもしゅんとしてしまう


「治癒魔法を実際のものを見るのは初めてだが、使える事はそんなに凄いのか?」

ウィルが不思議そうに二人を見ている


「凄いし珍しいね、大体の魔法使いの人たちは、

破壊系統の魔法を覚えがちだし、そっちの方の素質が強いから」

「そのうえ、元々治癒系の力に特化している人自体が少ないからね

、それだけで凄い才能なんだ」

ディノスがそう話してくれた


「確かに、私にそう言ってくれた人がいた」

女の子は少し元気になったのか顔を上げた


「でも、皆いなくなった・・・」

急に女の子が泣き出した


「落ち着いて、なにがあったか話してくれる?」

ディノスが優しく語りかけた


「はい、私の住んでいる村では毎年16歳になったらチームを組んで、

森の中にある祠の中で試練を受けることになっているんです」

彼女は少し落ち着いてきたようだ


「今年も例年の用に行っていたんですが、祠に行った人達が帰ってこなかったんです・・・」


「それは、試練で何か問題が起きたのかな?」


「わからないです、それを調べに行った大人たちも同じように帰ってこなくて・・・」

「気がついたら村には誰もいなくなってて・・・」

女の子は目に涙を溜めている


「・・・うん、その祠は何処にあるの?」

ディノスが場所を聞いた


「この森の奥の方です・・・」

そう言って、女の子は森の奥を指した


「はぁ、僕らは君の村に予定があったのに・・・人はいないか」

「その祠僕らが行っても大丈夫?」

ディノスが女の子にたずねる


「はい、来て頂いた方が助かります、祠の試練は3人以上いないと受けれませんので」


「3人とは、また都合が良いな」

ウィルが不思議そうにしている


「紹介がまだだったね、僕はディノスよろしく」

「俺はウィルだ」


女の子が少し驚いた様子でこっちを見た

「私はレイです、よろしくお願いします」

レイは泣き顔から、すっかり笑顔に変わっていた


「しかし、何故3人以上なんだ?」

ウィルが不思議そうに訊ねる


「私も知らないの

 今年は3人以上ってだけで

 試練の内容は伏せられているし

 役に立てなくて御免なさい」

レイはしゅんとしてしまった


「其処まで気に病まなくても、

 まぁ、行って見たらわかるか・・・」


森を抜けると怪しげな祠が建っていた


「急遽拵えたような作りだな」

ウィルは一見するなりそう言った


「でも、魔力は感じるよ結構強い」

ディノスは気を引き締めている


「祠なんて、ただの飾りですから

 大事なのは、祠にある水晶玉です

 あれに触れると試練の間に飛ばされます」


皆で祠に近づく


レイがジーと祠を見ている


「でも、聞いていたのと少し違うような」

レイが首を傾げる


「とりあえず、試練の間まで行って見よう」

三人で水晶玉に触れる


眩い光が一面に広がった


光がゆっくりと静まっていく

3人は白い壁に囲まれた広間に立っていた


壁の上側から声が聴こえてくる


「ようこそ、魔法使いの皆さん

 今回は3人ですね」


「俺らはま・・・」

ウィルが魔法使いじゃないと言おうとするのを

ディノスが静止した


「どうも、今年の試練は何ですか?

 試験監さん?」

ディノスは声の方を向き一礼した


「試練はいたって簡単

 目の前に扉が3つありますから

 1人ずつに分かれて

 それぞれの扉に入ってください

 そこでは、部屋毎に試練が設定されていますので

 それを全員が攻略すれば、晴れて試練合格!!

 となります」


白い壁に木製の扉が3つ浮び上がった


「それでは、皆さん御機嫌よう」

そう言って声は収束していった


「さて、早速いくか・・・」

ウィルが扉に向って歩き出す


「ちょっと待って下さい」

レイがウィルの服をギュッと握る


「どうした?」


「おかしいんです

 聞いていた内容と全く違う・・・」

レイが深刻な顔になっている


「聞いていた内容?」

ウィルが聞き返す


「はい

 今年の試練は

 チームワークを主として作成している

 って聞いていたんです

 3人が分かれてって

 これだと、逆です」

レイの顔が青ざめている


「罠か・・・」

ディノスが目を瞑り

何か考え事をしている


「逆だとしたら 

 罠だと気付いて

 逃げ出してる奴もいるだろうに」

ウィルが不満顔をしている


「それは、無理そうだ」

ディノスが溜息と共に目を開けた


「初めは

 幻術の系統かと思っていたけど

 此処は実際に存在している場所で

 僕達は水晶玉の力で

 此処まで飛ばされてきたみたいだ

 魔力を打消しても意味が無かった

 そして、ルートは目の前の扉しかない」


「だったら、もう捕まってしまったて事ですか?」

レイが泣きそうな顔になっている


「気になるのが

 何故3手に分かれさせるのか・・・」

ディノスが困った顔をしながら頭を掻いている


「丁度良い、俺達を此処に呼んだことを後悔させてやろう」

ウィルが俄然ヤル気になっている


「二人ともちょっといいか?」

ディノスが手招きをしている


「何でしょうか?」

「何だ?」

二人がディノスに近寄る


「あからさまな罠って言うのは

 作った本人が大して意識していないのか

 罠自体をフェイクにしもう一つの罠をはっているか

 絶対に引掛ける自身があるか・・・なんだ」


「幾つか事態を想定して

 その対処法も考えたから

 その方法と必要な物を渡すよ」

ディノスはウィル達に対処法と幾つかの物を渡した


「さて、何が出てくることやら」


「虎穴にいらずんば虎子を獲ず・・・か」


「皆さん、また後で会いましょうね」


3人がそれぞれの扉に入っていった


-◇-


ウィルが入っていた部屋の中は

また真っ白な壁で囲まれていた

部屋の奥にはまた木でできた扉


「ようこそ、試練の間へ」

上空から声がする


「この部屋試練は、いたってシンプル」

「無事に奥の扉へ行く、ただそれだけです」

「では、ご武運を・・・」

声が遠くなっていく


バタッ


一瞬で白塗りの壁に穴があいた

穴からは銀色の矢が覗いている


石を取り出して

前方に投げる


ヒュッ

風を切る音と共に

石が落ちた場所に複数本の矢が刺さった


床を良く見ると

扉までマスで碁盤目状に区切られていた


「間違った場所を踏むと、矢が飛んでくるって寸法か」


レイの用に空を飛べるのならば簡単にこなせそうだ

残念ながら

空も飛べないし

どのマスが正解かもわからない


ただ、一つ解っている事は

矢の飛んでくる速度が

剣を振る速度よりも遅いって事だけだ


「めんどうだし、さっさと終らせるか」


扉に向って走り出す

石を投げた時とは

比べ物にならない数の矢がウィルを狙っていた


「心眼流 一の型 『風陣』」

左手に剣を構え一回転する

風が巻き起こり

矢は上空に進路を変えた


難なく

扉の前に着く


ガタン


大きな音がして

床が凹む

迂闊にも足を捕られてしまった


「最後の罠か!!」


銀の矢が

全ての穴から飛んで来た


-◇-


ディノスが入った部屋は

前に入っていた部屋と違い真っ暗だった


「何も見えないな・・・」

ふぅ・・・

と溜息をつく

眼前に見えるものは闇ばかり

何をしていい物か・・・


闇の中からひっそりとした声が聴こえてくる


「ようこそ、試練の間へ」


「この部屋試練は、いたってシンプル」

「闇の中にある扉を探しだす、ただそれだけです」

「では、ご武運を・・・」

声が闇の中へ消えていった


「シンプル・・・ねぇ」

確かに怪しさだけは単純だ

明かりを点けられる魔法があれば簡単なのだが


カサカサッ

物音がする


音をたてずに音のした方に行く

何やら小さいもの

動いているように感じる


スゥッと水をすくう様に其れを持った

暗い上に

すくったモノも黒くてよく見えない


黒い

虫の様な形

金属のような独特の光沢

尻尾らしき場所に鋭い針

掌でカサカサ動いている


『アウァオリ』

と呼ばれる虫だ

確か図鑑で見たことがある

尻尾には猛毒には像もイチコロな程の毒があるとか


「危ない!!」

咄嗟に投げ捨てる


カサカサッ

音は辺り一面中にしている


暗黒は虫の姿を消し去っている

・・・これは早く扉を見つけないとまずいな


-◇-


レイが入った部屋は塔の様になっていた

円柱状の建物に

螺旋状の階段


天井ははるか遠くに見えている


「ようこそ、試練の間へ」


「この部屋試練は、いたってシンプル」

「塔の最上階にある扉を目指す、ただそれだけです」

「では、ご武運を・・・」

声が闇の中へ消えていった


階段を態々上らなくてもいいよね

箒を手に取る


箒に重力制御の魔法をかけ

空を飛ぶ


この魔法の魔力の制御は苦手

いつも、凄い速さになってしまう


最上階に着くのに1分とかからなかった

魔法を解き最上階の扉の前に下りる


「案外あっけなかった・・・」

少し気が抜けた

ウィルとディノスはもう着いてるかな?


扉を開ける


開けた扉の先にの部屋は

ガランとしていた


スゥッと影から男が現れた


「ウィル?それとも、ディノス??」


どっちでもなかった

何故なら、男は見知らぬ仮面を被っていたから


「ふむ、あなたで最後ですね」


見知らぬ男はそう言って

コツッコツッと

足音を立てながら

ゆっくりこっちに歩いてきた


最後?何を言っているのかしら??

ウィルとディノスが先に試練終ったのかな


「ウィルとディノスは何処?」


「貴方の他に、入ってきた異分子の二人ですか・・・」


「今頃、遠い空にの向うにでも行っているんじゃないですか」

仮面の男が笑っている様に見えた


空の向う・・・?

まさか死!!

「試練は失敗する事はあっても

死人が出ることは無いはずだよ」


「この試練は、私があなた方魔法使いを

捕らえるために作成したフェイクです」


「それに、異分子は抹殺する様に作成しております」

男との距離が段々近づいてくる


「こないで、それ以上近づくと!!」

杖を男に向ける


攻撃系統の魔法は苦手だけど

足止め程度にはなるだろう


あの二人が死んだなんて絶対に信じない

時間さえ稼げば


「近づくとなんですか??」

スゥッと音も立てずに男が近づいてきた

一気に距離が縮まった

魔法を詠唱する暇さえなかった

ダメだどうし様も無い・・・


「痛っ、しくじった」

部屋の奥から金髪の男が姿を現した

ウィルだ!!

ウィルは肩や足から血を流している


「ウィル、大丈夫か??」

ディノスの声もする


やっぱり

二人共無事だったんだ

嬉しくて、泣きそうになった


「バカな!!何故無事此処にいる!!!」

仮面の男が急に声を荒げた


「あんなチンケな罠で

仕留められると思うな」

ウィルは左手に剣を構え臨戦態勢をとっている


「企業秘密って事で」

ディノスも右手に黒い槍を構えている


「きさまは何者だ

敵であるなら問答無用で叩き切るが」


「何者と申されましてもねぇ

とりあえずは敵・・・になりますね」

クククッと仮面の男が笑っている


「それに、私達の目標は

もう達成される

あの村の最後の一人を捕まえたのだから」

仮面の男がレイの腕を掴む


「ちょっと、離してください」

レイがジタバタと暴れる


「だとしても、逃げ道は無いよ」

ディノスが既に仮面の男の後ろに回り込んでいる


「逃げ道・・・用意しているに決まっているじゃないですか」

仮面の男に向って突いた槍が空を切る


「ディノス上だ!!」

ウィルが叫ぶ


上空に仮面の男とレイが浮いていた


「私の仕掛けた罠を通過して来た事には敬意を評しますよ」

「2度と会うことは無いでしょうけれど」

フッと立ち上った煙の様に

仮面の男とレイが消えていった


それは

想定していたなかでも可能性の高かった結果だった


「予想通り、テレポート系統の魔法が使えたか」

水晶に転送の魔法をかけれる程の腕前だ

其れ位の事は朝飯前だろう


「しかし、ディノスらしくも無い作戦を立てたな」

ウィルが頭を掻いている


「仕方が無いよ、他に良い手が思いつかなかったから」

ディノスが溜息をつく

やはり、本心ではやりたくなかったに違いない


扉に入る前に3人で話した作戦の中の一つ


レイを囮にして

魔法使いを捕らえている本拠地を暴き

其処を叩く


「レイは『任せてください!!』って言っていたけれど」

ディノスの溜息がどんどん深くなる


「落ち込んでる場合か!!早く行くぞ!!」

ウィルが左手に透き通った琥珀色の石を取り出した

転移石だ


転移石は簡単なテレポート系の魔法を封じ込めた石で

種類によっては

同系統の石を持った者の居場所に転移できる


もちろん、レイにも渡してある

「そうだね、急ごう!!」

転移石から眩い光が発生し

ディノスとウィルを包んだ


収束されていく光の先

ディノスとウィルは外に出ていた


「ここは、何処だ??」

ウィルが辺りを見回している


「ディノスまさか失敗したんじゃ無いだろうな!!」

ウィルがディノスを睨み付けている


「うーん、失敗って訳じゃないよ

目の前にあるあの怪しい城っぽいもの

あれがレイ達が捕らえられている場所だよ」

ディノスが城に近づく


「何故そんなことが解るんだ??」


ディノスが城の入り口に手を掲げる


バチッ

青白い閃光が奔った

ディノスの手が弾かれる


「いたた、やっぱり結界が張ってあるか

これのせいで中には入れなかったみたい」


「まぁ、この程度のモノは

結界と言っても所詮魔力の塊」

ディノスが槍を構えた


「魔力を無効化するこの槍には無意味」

結界の張ってある場所を突く

一瞬で結界は解けた


「相変わらず反則だな、その槍は」

ウィルは感嘆している


早速二人で城に入っていった


城の中に入ると

早速上下へ続く階段があった


「とりあえず、二手に分かれようか」

ディノスがそう提案した


「そうだな、じゃあ俺は上の階に行く」

そうだけ言い残して、ウィルが階段を上っていった


「罠には気をつけろよ〜」

階段に向って叫んだが

ウィルに届いているかどうか・・・


-◇-


青白いレンガに囲まれた壁

鉄格子

硬いベッド


レイは牢屋の様な場所に一人捕らえられていた


少しだけほっとしていた

町の他の人たちと一緒にならなかったから


孤独を感じるのならば

一人で牢屋に居る方がまだ耐えられるから


それに

ウィルやディノスが助けに来てくれる


でも、待っているだけじゃいや

ウィル達の手助けがしたい

ウィル達が来る前に私ができる事が無いかしら


・・・考える


まずは此処から出ないと始まらない


鉄格子には勿論、鍵が掛かっている


「鉄って事は、高温で熔けるよね

熱を発生させる事ができる魔法・・・」

不安だった

元々、攻撃系統の魔法は苦手

魔力を制御するための杖が無い

この状態で魔法が使えるのか


でも、やって見るしかない


詠唱を始める

空中を舞っている波に

魔力を乗せるイメージで


『バーンブラスト』


・・・・不発

本来ならば鉄格子に火柱が上がって

鉄格子が熔ける予定だったのに


「やっぱり、私じゃ無理なのかな・・・」

溜息をついてベットに横になる


「レイ、ここにいたのか」

聞いた事のある声


ベットから起きる


「そのまま、その場所にいた方がいい

今から、鉄格子を切るから危ないぞ」


ヒュン

と風を切る音がした


ガラガラ

と鉄が崩れ落ちる音がした


鉄屑になった鉄格子の向こう側に

ウィルがいた


「ウィル来てくれたんだ」


「仲間だろう、当たり前だ」

ウィルは少し照れくさそうにしている


「仲間・・・」

凄く嬉しい響だった


「ディノスはどうしたの?」

ウィルは居るけれど

ディノスが居ない?


「今は二手に分かれてて、

ディノスは下の階に行っている」


「私達も下の階へ?」


「いや、まだこの階を調べつくしていないから

この階の探索が先だな」


急だった

転移石を使った時の様に

眩い光が二人を包んだ


光が収束し

二人が移動した場所は

白いドーム型の広場の中だった


「何だ此処は??」

ウィルが辺りを見回している


周りは壁で囲まれていて

天井にはお皿のようなモノがくっ付いている

壁の上の方にガラス張りの部屋が見える


其処には人が2〜3人いた

なにか、話しているように見えるけど

流石に内容まではわからない


-◇-


「二人いる?聞いた話だと一人のはずじゃ」

白衣を着た男がガラス越しにドームの中を見ている


「気にすることは無いんじゃないか、

多いにこした事は無いんだから」

眼鏡をかけた男が白衣の男に話かける


「そうだな、それに今日はこれでお仕舞いだし

さっさと終らせるか」

魔力収集装置のスイッチを押す


ドームの天井にあるアンテナから

ドーム内にいる生き物の魔力を吸い取る装置だ


それを使い毎日

魔法使い達の魔力を集めている


何故

集めているのかは解らないが

上からの命令だし仕方が無い


こうしないと

我々の研究費も貰えない


ドォン・・・

凄い音と共に凄い揺れ


「どうした!!」


「ブロックEで爆発!!魔力収集装置のシステムがダウンしました!!」


ブロックE・・・

さっきまで

転送されてきた二人がいた場所だ

しかし、何故??


「早く、予備に切り替えろ!!」


ガシャン

窓から

下に居た二人が入ってきた


-◇-


ドン


「ガッ・・・」


みね打ちで部屋に居た白衣の男を気絶させる


「ありがとうレイ、助かった」


しかし、危なかった

あの部屋に入って直ぐ

恐ろしい脱力感が襲ってきた


魔力を吸い取られている

とレイが言っていた


魔力が殆ど無い俺は

危うく意識を失うところだった


地響きがして

魔力を吸い取っている装置が止まった


レイが咄嗟に箒を取り出し

俺を引っ張り


ガラス張りの部屋に突っ込んでいった


「いえ、私にはこれ位しかできないですから」

レイが下を向いた

少し頬が紅くなっている様に見える


「さて、此処が何処か答えてもらおう」

もう一人

気絶をさせなかった男に剣先を突き付けた


「予想外だよ、この場所に来るとはね

此処はブローニン研究所の3階で

さっき体験しただろうけど

対象の魔力を抽出している」

男は観念したのか

この場所について話し出した


「そして、あんた達の墓場だ」

男が手から丸い金属を取り出した


金属が爆発し

目の前が真っ白になった

閃光弾だっ!!


視界が戻った時には

目の前の男は消えていた


「う・・・うそでしょ」

レイが震えている

どうしたんだ?


レイの視線の先には

髪を結んだ男が立っていた

となりには逃げた男が


「なんで、レヴァンが此処にいるの!!」


レヴァン?あの容姿・・・

レヴァン・ナインボルトか


レヴァン・ナインボルト

髪の色から

別名『深緑の魔術師』

高名な魔法使いだが

森に囲まれた村にいて

滅多に表に出ることが無いが・・


森に囲まれた村

面識があるみたいだし

レイのいる村がそうなのか?


でも

レイのあの脅えよう


「レイ・・・大丈夫か?」

レイに近づく


「ウィル!!危ない!!!」


レヴァンのいる方向から

巨大な火球が飛んでくる


詠唱せずに之だけの魔法を撃てるのか

完全に不意を突かれた

避けきれない!!


レイが前に立つ


「レイ、危ない、何やって」


青白い光が舞った

跳んできていたはずの火球が

跡形も無く消えていた


何が起きたんだ??


「ウィル、大丈夫だった?」

レイがこっちを向く

足はまだ震えている


「あぁ、でも何をしたんだ?」


「魔法に対するシールドの魔法を張ったの

防壁系の魔法は得意だから

杖が無くてもなんとか」


「成る程、

レイはレヴァンと知り合いなのか?」


「はい、唯一、村で優しくしてくれる人でした」


「でも、何で急に襲って来たんだ??」


「わからないです

ただ、見た感じ様子が変なの

あんな表情見た事が無くて

・・・怖いの」


確かにレヴァンの目は据わっている

まるで、意識が無いかのように


・・・洗脳か?


洗脳されていようがいまいが

現時点ではレヴァンが襲ってきているのは事実だ


兎に角

動きを止めないと


迂闊に近づくと

やつの魔法が来る


・・・一か八か!!!


レイに転移石を貰う


「どうするの?」


「之を使って

一気にレヴァンの懐に飛び込む」


「え・・・危ないよ」

レイが心配そうに言った


「だが、このままレイに

シールドを張ってもらっていても

レイに負担がかかるだけだ

魔力も無限では無い」


レヴァンの足元に転移石を投げる


直ぐにもう一つ

転移石を取り出し

使用する


光と共に

ウィルはレヴァンの脇に転移した


「悪いが、気絶してもらう」


剣を振るう

重く鈍い手応えがした


剣の先には緑色の光が収束している

レヴァンが一瞬でシールドを張っていた


しくじった!!


間髪いれず目の前に火球が


咄嗟に後ろに飛んだが


手足に火傷を負ってしまった


魔法を同時に扱えるのは

想定外だった


魔法は制御が難しいらしい

同系列でない魔法を同時に制御するというのは

右手で文字を書きながら

左手で絵を描く様なものだと

ディノスが言っていた


攻守が両立できているとなると

どう攻めるべきか


ディノスがいれば楽なのだが


「ウィル大丈夫!!」

レイが走って来て

回復魔法を唱えてくれた


「すまない・・・」


何か手は無いか

良い手を思いつかない悔しさに

思わず地面を殴った


レイが吃驚していた


「御免、少し気が立ってた」

つい頭を抱えてしまう


急にレイが何かを決意したかの様に

レヴァンの方向を向いた


「私、レヴァンを説得してみます」


-◇-


螺旋状の階段を


下る


降る


階段から下を覗き込む


漆黒の闇が拡がっていて


一向に底が見えない


底が見えない・・・?


階段を削り


削った石を暗闇の中に投げ込む


・・・5秒・・・10秒


音はしない


「・・・そういう事か」


ディノスは階段から飛び降り


漆黒の闇の中へ消えていった


漆黒の闇のその先


レンガで造られた部屋に

ふわっと着地した


部屋の椅子の上に

仮面の男が腰をかけている


「あの階段の仕掛けに

気付く人間がいるとはな」

すくっと男が立ち上がる


「そもそも

結界を張ってあるこの研究所に

何故入ってこれたのか」

男は含み笑いをしている様に見える


「あの程度の結界なら

楽に破る方法があるからね」


「そうか、其れは実に興味深い」

仮面の男が近寄ってくる


「何故、ウィドタウンの村の魔法使い達を誘拐した」

ディノスが男と距離をとりながら質問した


「答える必要は無いでしょう・・・

貴方も、此処で捕まるのですから

それとも、力ずくで聞いて見ますか」

クックック

と男が笑っている


「魔王からの質問でもか?」


「魔王、証拠はあるのですか??」


「これでは、不満か?」


ディノスが白を基調としたローブを取り出した

代々魔王を選定する為のモノだ


クックック

仮面の男の笑いがさっきより強くなった


「これは滑稽!!

あの方の言っていたとうりだ!!!

本当に魔王が城を空けているとは!!!」


「それに、私が魔王からの質問だからと言って

答えなければいけないと言う事も無いでしょう」


「それも、そうだね」

過信してしまった

しかし、あの方とは何者だ??

恐らく、指示をしている者だろうが


「まぁ、この場所に気付いた事を賞しまして

少しだけ話しましょうか」


「実際の処、あの方が魔力を集めて何をするかは

私にも分かりません」


「あの方の事ですから

何か面白いことをするのでしょうが」


「あの方とは、一体誰だ??」


「クックックック、其れは言えませんね

言った所で知っているとは思えませんが」


「まぁ、人間・魔族以外の第3勢力が居るとでも思っていて下さい」

第3勢力?

聞いたことが無い人物・・・


「私達は、余り表に出ない様にしていますから

気付いているものは殆ど居ないでしょうね

魔王と出会ったのは少しだけ、運が悪いのか・・・」

仮面の男が扇子をこっちに向けてきた


「それとも、運が良いのか!!!」

紫色の光が柱となって四方を囲む

この方陣は『封魔結界』

魔力を封じるだけではなく

魔力を吸収する方陣だった


「ふふ、魔王を名乗るほどの者の魔力です

さぞ、大量に採取できるのでしょうねぇ・・・」


「っつ!!」

方陣の発動には魔力を必要とするが

方陣自体は魔力でできている物ではない


魔力を無効化するヴェアフルでは意味が無い

一気に奴の懐まで飛び込まないと


右手に持っている槍が形状を変える

非常にシンプルな形に真っ黒い塗装


『ten mask of lance(十の仮面を持つ槍)』

の一つ黒槍

持ち主の体を羽のように軽くなる付加属性を持つ


「な・・・早い」

一気に差を詰める

槍の柄で仮面の男のボディを突く


「ぐ・・」

男の体がくの字に折れる


「普通だったら、

あの方陣で魔力を吸われて動けないはずなのに」


「あの程度の吸収量だと

まぁ、3日はかけないと吸収しきれないだろうね」


「っ化物め」


すかさず

2撃目を仮面に入れる


仮面は薄い音をたてて

真っ二つに砕けた


「!!!!!!!っ!!!」

仮面の男が必死に

割れた仮面を抑え

狂気にも似た叫び声をあげた


「きさま!!仮面を!!!許さんぞ!!!!」

凄い殺気だ


「次にあった時が最後だと思え」

そう言い残して、男は消えて行った


「しまった、逃げられた」

仮面を割られたぐらいで

あっさり退くとは思っていなかった


第3の勢力

あの方

気になる事はあるが

今は捕らわれている人たちを助けるのが先だ


出口は何処だろう??


仮面の男がいた部屋には多くの扉があり

どれが出口に繋がっているのか解らない


「適当に入っていくしかないか・・・!!」

地震と勘違いするほどの凄い揺れ


暫らくした後

少し離れた場所で

強い魔力のぶつかり合い


何が起きている??

しかも片方の人物の魔力は本当にヤバイ


急に

ウィルやレイは大丈夫か心配になった


-◇-


ウィルには大丈夫っていったけど

私なんかにレヴァンを説得できるかしら


でも、まだ信じられない

あのレヴァンが操られているなんて


普段はのほほんとしているけど

凄い魔法使いの筈なのに


連続して来る火球

息をつく間も無いほど

『バースト』の魔法を連発してくる


本来ならば

野球ボール位の大きさの火球が飛ぶ程度の魔法だけど

魔力の高いレヴァンが使うと

その大きさは何十倍にもなる


『シールド』の魔法は殆ど詠唱無しで

張る事ができるけれど

流石にこの数だと隙が無い

常に最高状態にしておかないと破られる


「レヴァン、もうやめて!!」

反応が無い

虚ろな目のままこっちを見ている


魔力を吸収された影響からか

一瞬眩暈がした


「しまった、シールドが」

間に合わない

目を瞑った


爆発音がする


腕の辺りが少し熱い

直撃はしていないみたい


そっと、目を開ける

目の前にはウィルが立っていた


「まったく、危なっかしい

ずっと火球を見ていたから、

ある程度そらす方法は考え付いた、

今度はこっちが盾になるから、

説得に集中しろ」

ウィルが澄ました態度をとった

両手を火傷している

ダメージはそんなに小さくないはずなのに


「でも・・・その両手」


「気にするな、

コツは掴んだ、

次はもっと上手くやる」

ウィルは少し溜息を突いて

優しく言った


「仲間を信じろ」


仲間を信じろ・・・

長い間

孤独に生きてきた私には

凄く嬉しい言葉だった


「ヴェルン

貴方が昔私に言ってくれていた通り

私にも大切な仲間ができたよ

それを貴方に伝えたい

だから、目を覚まして

私の仲間を傷つけないで」


大きな声で叫ぶ


喉が痛む

今までこれだけ大きな声を

だした事が無かった


ウィルは本当に

コツを掴んだみたいで


どうやっているのか

わからないけど

飛んで来る火球を次々と消している


私に火の粉が振りかかって来る事は無かった


火球がピタッと止まる


レヴァンが頭を抱えて苦しんでいた


-◇-


痛っ

頭が重い

見えない力で押さえ込まれているようだ


それに此処は何処だ?


白い壁?

見たことも無い機械?

見覚えの無い人物?

聞き覚えのある声?

全てがぼうっとしていてハッキリしない


頭が回らない

苦しい

思い出さなければ


何をしようとしていたのか

何が起きたのか

何故ここに居るのか


確か今年の試練の準備をしてた筈だ

そして、準備が終った後に

何者かが来たんだ


そいつは、仮面をつけて居たから

顔は解らなかったが


記憶はその人物を見たところで止まっている

気絶でもさせられたのか?


遠く・・・はるか遠くから声が聞こえる

さっきから聴こえている聞き覚えの気がするある声

ただ、遠くにぼんやりと聞こえてくる


いや、おそらく近くにいるんだろう

ただ、意識が朦朧として幻聴の如く響いている


少し、視界が鮮明になる

翡翠色の髪をした少女が目の前で涙を流している


「レヴァンしっかりして!!」


-◇-


「レイ・・・か?」


「よかった、ヴェルンが正気に戻った」

レイはぎゅっと

ヴェルンを抱きしめた


「正気に?私は何をしていたんだ??」

ヴェルンは頭をおさえている


「俺の両手をこんがりと焼いてくれたよ」

ウィルが研究員を縛り上げている

両手は火傷して少し紫がかっている


「そうだった、急いで治療しないと」

レイはサッとヴェルンから離れて

ウィルの方へ走っていった


「君は誰だ?

見かけない顔だが

それに此処は?」


「少し待ってて

ウィルの手を治療してから

色々話すことがあるから」


レイはウィルの手に回復魔法をかけ

その後、レヴァンに

村の人達が誘拐された事

ウィル達に協力をしてもらって助けに来た事

レヴァンが洗脳されていた事を話した


「そうか・・・」

レヴァンはそうとだけ言って

目を瞑った


「後は、こいつを締め上げて

捕えられている人たちの居場所を聞くだけか」

ウィルが研究員を睨み付けた


「ハッ、それ位自分で探せ」

研究員が嘲笑する


「ほほう、貴様は立場と言うものがわかっていないようだな」

ウィルが指を鳴らしている

背後には仁王像の様な物が見える気がする


「ウィル、暴力はダメだよ

それに、無理に聞かなくても大丈夫よ」

レイがウィルをなだめている


「おそらく此処から300メート程ル離れた場所

幾つもある部屋の中に6,7人ずつ捕えられていますね」

レヴァンが目を開き、研究員を見る

研究員の顔から冷や汗が滴り落ちた


「後、誰かこちらに向って来てますね

先ほど話しで聞いたディノスって方でしょうが・・・」

レヴァンはそこで話す事をやめた

口に手をあてて

真剣な表情をしている


「レヴァンどうしたの?まだ頭が痛いとか??」

レイが心配そうに見つめる


「いえ、大丈夫です・・・」

ディノスの気配に

少し、ほんの微量な程度に

懐かしい気配が混じっている気がした


-◇-


「ウィル、レイ無事か!!」

部屋の中にウィルとレイの影がチラッと見えた

よりによって

強い魔力のぶつかり合いがあった部屋だった

部屋に入るなりそう叫んでいた


「助けに来たんだとしたら・・・遅い」

ウィルがデイノスのいる方向を向いて

軽い溜息をつく


「これでも、急いで来たんだけど」

ディノスが肩を落す


「でも、丁度良かったね

ディノスと合流できたから」


「・・・後は村の皆を助けるだけかな?」

レイが少し間を開けて言った

目は遠くを見ている気がした


その様子を見ていたウィルが

言うべきかを少し悩んでレイに聞いた

「レイ、もしかして村の人たちと会うのが嫌なのか?」


「いえ、特にそんな事はないですよ」

レイはギクリとして

一瞬思考が止まった

必死に頭を巡らせて出てきた否定の言葉はそれだけだった


何かを感じ取ったのか

ウィルもその話題には触れない様に話を変えた


「ディノス、下の階には何があった?」


「村の人たちを捕えていた、

仮面の男がいたよ

残念ながら逃げられたけれど」


「すっかり存在を忘れてた・・・

ディノスがとり逃すのは珍しいな」


ディノスは地下の階のやり取り

(魔王とばれそうな部分を除く)

をウィル達に話した


「第3の勢力・・・確かに気になりますね」

後ろに深緑の髪をした男が立っていた

気配も立てずに其処に居たので

かなり驚いた


「吃驚した

その髪の色に

強い魔力

もしかして、

レヴァン・ナインボルトさんですか?」


「ふむ、

私を知っているようだね珍しい」


「・・・珍しいって

別名がつくほどの魔法使いを

知らない方が珍しい気がしますが」


レヴァンはディノスの顔をじっと見て

ふむ、とだけ言った


「色々と気にはなりますが

今は村の人を救出するのが先決ですね

ディノスさんのお陰で

今、この建物で動き回れるのは

私達だけみたいですし

早く行きますか」


「驚きました

何も言っていないのに警備員や研究員を

気絶させている事に気付くとは」

ディノスが頭を抱える


「無駄に、魔力や気配の探知は得意ですからね」

レヴァンが軽く笑った


「そうだ、祠の入り口までなら、

魔法で転送できますから

レイとウィル君は先に村に戻っててください」


「えっ、でも」

レイが心配そうにレヴァンを見つめる


「心配しなくても大丈夫ですよ

こっちはディノスさんと二人で十分です

なので、帰ってお客さんの泊まる場所の準備をしておいてください

私の家でいいので

では、ウィル君道中のボディーガードは頼みましたよ」

そう言って二人に転送魔法をかけた


青白い光が舞い

光に包まれたウィルとレイの姿は消えていた


「さて、村の人たちを助けに行く道すがら

幾つか聞きたい事があるけれどいいかな?

ディノス・ヴェルンさん」

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