15年戦争
長い間人間と魔族との戦争は殆ど無かった
あったとしても近隣の領土での小競り合い程度
仲が良かったという事ではなく
戦争が無かったは
他の種族に構っている暇など無かったから
つまり
人は人同士
魔族は魔族同士で戦争をしていた・・・
しかし
とある魔族の男が来てから
魔族は変わった
数百年前に行方不明なり
ずっと語り継がれてきた男
『魔王グライス・ヴェルン』
が現れたのだ、幼い息子たちを連れて
もちろん、
本人を知る者は殆どおらず
同じく行方不明となっていた
代々、王のみが所有できるローブを羽織っていた事で
魔王と言う事が証明された
グライスは王座に座ると
終始、魔族同士の戦争を終らせる事に取り組んだ
結果10年で魔族同士の戦争は殆どなくなっていた
戦争への始まりは突然であった
『魔王グライス・ヴェルン』が何者かに暗殺された。
即位したのは息子のディノ・ヴェルン
当時42歳 人間の年齢にすると8歳ぐらいらしい
幼すぎるため
5賢帝の一人で幼い頃から
ディノの世話をしてきた
スルト・ヴェドガムを補佐として置いた
幼き魔王も
その補佐であるスルトも
急に前魔王が亡くなったための
内部統制等に追われ
殆ど外(人間側)の情報を得ていなかった
外では戦争へのカウントダウンが始まっていた
人間側で城主など主要人物数人が次々と暗殺されると言った事件が起きていた
特に殺された人物に関連は無かったが
殺され方は同じで
全員首の頚動脈を切られていた
各国は初め敵対国の暗殺者かと思っていたが
敵対しあっていた両国の用心が暗殺されたので
無差別殺人と言う事になった
放っておくと、各国に大きな損害がでる
いがみ合っていた国同士さえ
犯人を捕まえるために一時的に協力関係になっていた
用心暗殺が始まってから1週間
犯人が捕まった
犯人は魔族だった
リファレウス王を暗殺しようとしていた所を
ルード・リファレウスが素早い動きで之を捕らえた
ルードが動機を聞くと
「魔王様の命令だよ!!」
そういい残して魔族は自決した
首には変な模様が浮んでいた
ディノが魔王に即位してから2週間後のことであった
各国の要人を暗殺され
その差し金は魔王だった
その話は、各国に知れ渡り
各国が魔族との戦争の準備を始めた
ディノがその事を知るのは
最も人間の領土に近い街
シーダタウンが人間の軍に占領されてからであった
戦争の当初は強襲を仕掛けた人間側が押していた
僅か2年半で魔族の領土の4分の1を攻め落としていた
しかし、戦局は一変する事となる
戦争が始まって3年
魔王ディノ・ヴェルンが戦線に出て来た
ディノが10年間で落とした城や街は32ヶ所
殺した人間の数は数万を超えていた・・・
戦争が始まって12年目
5賢帝でありディノの補佐についていた
スルト・ヴェドガムが北方にて行方不明になる
その1年後
ディノとギナム・オルランドの一騎打ちでの闘いが起こる
勝負は互角であった
が、途中邪魔が入ったため決着はつかなかった
この闘いでディノは重症を負い
行方不明となった
魔王が行方不明となった事で
再び人間の軍が勢いづくこととなった
しかし、唯一魔王と互角に渡り合った
ギナム・オルランドが魔族討伐に乗り出す事は一度も無かった
戦争が始まって15年
ディノは行方不明になってから2年で魔王城へ帰ってきた
そして、人間・魔族間の停戦をうったえかけた
人間側もギナム・オルランドがディノに同調し停戦をうったえた
元々、お互いに利など無い戦争であった
疲弊しつくした両軍は一触触発の雰囲気を残しつつ停戦をした
15年間続いていた戦争が終了した
15年戦争から30年がたった
再び魔王が行方不明になった