9話 消えた絆と繋がる手
半月はしばらく本を見つめていた。
半月は本を開くの躊躇していた。
「半月、無理しなくていいよ」
僕はそう言って、みんなを落ち着かせる。
「すみません、太陽さん。もう一つこの本のことで話しておかなければならないことが…」
そうして、半月は本を机に置き、話が再開した。
「この本は10年前の襲撃の時に消失したはずなんです」
半月は本を見ながら言う。
「えっ、それなのになんでここにあるの」
その言葉を聞いて、僕は驚いた。
「私にもわかりません」
僕はみんながこの本を見て、驚いていた理由がわかった。
「そりゃ、驚いて当然だね」
僕は重い空気をなんとかしようと明るく振る舞った。
それでも、重い空気は続いた。
みんなはずっと静かにしていた。
そんな時、満月が立ち上がって言った。
「半月、私が確かめるから」
満月が半月の目を見て、言った。
今までの満月からは想像できないほど真剣な顔つきだった。
「…お願い、お姉ちゃん」
この時の半月は幼く感じた。
半月は満月に本を渡した。
満月は意を決して、本を開いた。 「………」
少しの間、沈黙が続いた。
みんなは満月の方を静かに見ていた。
「…お父さんは…」
満月は本を閉じて、俯きながら言った。
「もういない…」
満月なりに言葉を選んだのだろう、泣きそうなのを抑えながらみんなに伝えた。
その言葉を聞いた3人は俯いていた。
新月は静かに泣いていた。
三日月は半月に抱きついて泣いていた。
半月は三日月の頭を撫でながら泣いていた。
満月は本を置いて、新月の頭を撫でながら泣くのを我慢していた。
満月は妹たちのために強くあろうとしていた。
そんな姿を見て、僕は何も言わずに満月と半月の頭を撫でた。
そうしたら、満月も泣き出した。
しばらく、そんな時間が続いた。
そして、日が昇り始める頃、みんなは泣きつかれたみたいでそのまま寝てしまった。
僕は部屋から布団を持ってきてみんなにかけた。
「ありがとう、太陽。おやすみ」
「おやすみ、満月」
満月が起きていたみたいで僕にお礼をした。
でも、今の僕にはこれしかできることがなかった。
自分の力のなさを痛感した。
「…太陽、起きて」
僕は寝落ちしていたみたいだ。
満月が起こしてくれた。
他の3人はまだ眠っていた。
「ありがとね、太陽」
満月が僕の手を握りながら言った。
「何もしてやれなくてごめん…」
僕は俯きながら言った。
「ううん、太陽はそばにいてくれた。この手で私を撫でてくれた。それだけで私は救われたよ」
満月は僕の顔を覗き込みながら言った。
「そんなことしかできてないよ」
「私はそれで十分だよ」
僕はその言葉に救われた気がした。
「私はまだ眠いから、もう少し寝るね。みんなが起きたら起こして」
そうして、満月は布団に入っていった。