5話 月を無くす者
「私たちが太陽を召喚した理由は『無月』っていう組織を倒してほしいの」
満月の説明はそれだけで終わった。
「えっ、終わり。もう少し詳しく教えてくれない」
僕はつい言ってしまった。
「ごめんなさい、太陽さん。姉さんに説明させたばかりに」
そう言って半月が説明することになった。
「まずは、太陽さんに倒してほしい『無月』という組織は私たちセレネを滅ぼそうとしている存在です」
僕は困惑していた。
「なぜ、セレネを滅ぼそうとしているんですか?」
「すみませんがそこまではわかりません…」
半月が少し落ち込んだように言った。
「…半姉、話の続きをしよ…」
三日月が話したことで僕は視線を半月から周りに移す。
4人とも落ち込んでいるようだった。
「そうですね。まだ話さないといけない事があるので続きを話しますね」
そう言って半月が続きを話し始めた。
「無月には私たちがわかっている中で3人の幹部がいます。無月の番人『暁月』、無月の知将『偽月』、無月の指揮官『虚月』の3人です」
僕は何を言っていいか分からず、黙って聴く。
「幹部に関しては他に2人いたのですがその2人は10年ほど前に村を襲ってきた時にたくさんの犠牲を出しながらも倒しました」
「倒したの!?」
つい気になって聞いてしまった。
「はい、幹部の『幽月』と『妖月』は倒しました。幽月はセレネの戦士たちが、妖月は私たちの従兄弟の光月が一騎打ちにて倒しました」
僕は情報を頭の中で整理しながら静かに聴き続ける。
「その時に前の村を捨てて今の場所に逃げてきた感じです。ここに来れたのは子供達とその子達の母親だけです」
「10年前か、ちなみに今って何歳?」
空気が重くなっていたからどうにかしようとして聞いてしまった。
「私は19だよー」
満月が答えた。
「ハンが18、ミカが17でシンが16だよ。太陽は?」
「僕は満月と同じ19歳だよ」
みんなが僕を黙って見る。
そんな中、三日月が独り言のようにぼそっと言う。
「もう少し年上だと思ってた」
その言葉にみんなが首を縦に振った。
僕は話を変えようとして気になったことを聞く。
「襲撃の時に残った人たちはどうなったの?」
その言葉でまた空気が重くなってしまった。
「そうですね、まだ話さないといけない事があるので話を戻しましょう」
半月のその言葉にみんなが頷く。
「まずは、太陽さんの質問に答えさせていただきます」
半月は一呼吸おいて話し始める。
「残った人たちはこの場所を知らないのです。ここは逃げている時にたどり着いた場所なので」
そうして、重い空気のまま話は続く…。