22話 伝わる言葉
石碑に向かって歩いていた僕は、何もないところでまるで、壁に阻まれたように前に進めなくなった。
「太陽!?」
光月が後ろから大きな声で僕を呼んだ。僕はその声に我に返り、光月の方に振り返る。
「…えっ?」
僕が振り返ると光月が驚いた顔をしていた。
「…どうしたの?光月」
「いや、結界に触れたら弾かれるはずだから…。太陽が弾かれないのにびっくりして…」
光月の言葉に僕も驚いた顔になって、見つめ合う。
「「ふっ、ハハッ、アハハハハハッ」」
驚いた顔で見合ってた僕らは、その状態が何故か面白く感じて、2人で大笑いをした。
僕らは2人でしばらく笑い合った。
「結界に弾かれないとかすげーな、太陽」
「そう言われても、僕にはどれだけすごいか分からないよ」
光月は僕の背中を思ったよりも強く叩きながら言って、僕はそれにびっくりしたが、それがどうでも良くなるほど、光月とのその時間が心地よかった。
「うーん、人によっては体が浮くほど、弾かれたりするかな。しかも、今までに弾かれたことがないって話は聞いたことないし…」
「へぇー、そう言われると、確かにすごいかも」
「そうだよ。太陽はすごいんだよ」
僕は光月のその言葉につい、にやけてしまう。その顔を隠すように、僕は石碑の方に向いた。
石碑を見た僕は、今までなぜ気づかなかったのかと思うぐらい、驚きのことがあった。
石碑に書かれている文字は日本語だ。
『歴代当主』を読んだ時は、この世界に来たばかりで、召喚の影響で文字が日本語に見えるようになっているだけだと思っていた。
文字が彫られている石碑だから、気づくことができた気がする。文字は深く彫られていて、立体感がある。
僕のイメージで、文字が日本語に翻訳されて見えるようになった場合は、元々ある文字の上に日本語が浮かび上がっているものだと思っていた。
自分のイメージが合っている場合、石碑の文字に立体感があるのは、この世界の文字が日本語だということになる。
そして、思い返してみると、日本語が浮かび上がっていた場合、その下に元の文字があるはずだが、『歴代当主』の本にそんなものがあったようには見えなかった。
「ねぇ、光月。使われてる文字は、何語?」
「ん?文字も今話している言葉もセレネ語だよ。…でも、確かどっちも聖月がセレネに教えて、それがセレネの言葉になったってのを昔、聞いたことがある。あと、聖月がこの言葉を何語かを教えなかったから、今はセレネ語って言われてるって、話もあった気がする」
光月の話で僕の思っていた異世界とは全く違った。多分、聖月は日本人でこの世界に来た人だと思う。それと、言葉と文字は異世界召喚の特典で翻訳されているわけではないかもしれない。
僕はまだ慣れていない異世界で、困惑することしかできなかった。




