20話 伝話
光月は聖者の一族について話し始める。
「聖者の一族、それは初代当主である聖月の血族であり、特別な力を持つ一族」
「どうして特別な力を持ってるの?」
僕は光月の言葉で気になったことを聞いた。光月は僕のその質問に少し困った顔をする。
「…それは、分かっていないんだ。聖月の墓に埋められたと言われる本に書いてあるって聞いたことはあるけど…」
「そっかぁ…流石に墓は掘り起こせないか…」
「あぁ…聖月の墓には結界が張ってあって、掘り起こそうにもできないんだ。過去に本を掘り起こそうとしたらしいけど、結界が破れなかったって話だし…」
「えっ…」
光月は腕を組んで考えている様子で答える。僕は墓を掘り起こそうとしたという話に驚きを隠せないでいた。
「…どうした太陽」
「墓を掘り起こそうとしたの…?」
「あぁ、掘り起こそうとしたのは墓ではあるけど、墓ではないんだよ」
「…どういう意味?」
僕のこの問いで言い伝えられている聖月の最後の話が始まった。
「聖月の墓のことを話すとなると聖月の最後の話をしないといけないから、そこから話させてもらうね」
光月は僕の目を見て言う。僕はその状況に緊張感が増して、静かに光月の言葉に耳を傾ける。
「聖月の最後は突如としてセレネの前から消えてしまった。当時のセレネは統率者である聖月を探した。だが、聖月自身を見つけることはできなかった。見つけることができたのは聖月の部屋に置いてあった1冊の本と1枚のメモ、そして、家の裏に作られていた石碑。本には『歴代当主』と表紙に書かれていて1ページ目には本の説明、次のページに聖月のことが書かれていた。それ以外のページは白紙であったと聞いている。本の白紙のページの意味を知ることになるのは2代目の永月の死後だった」
「当主が亡くなると勝手に追記される本だよね…」
知っていることが出てきて、僕は光月の言葉につい口を挟む。
「知ってたのか、太陽」
「うん、旅の前に…見つけてね…」
僕は本を見つけた時を思い出して、胸が痛む。
「そうか、じゃあ、次はメモの話をしよう。メモには一言だけ書いてあったという。その言葉は『石碑の下に一冊の本を埋めた』と書いてあったそうだ。そのメモを見て、石碑が探されて、聖月の家の裏に木の根に隠されるように作られたであろう石碑が見つかったそうだ。今はその石碑が行方不明になった聖月の墓としているんだ」
「だから墓であって、墓ではないんだね」
「あぁ、だけど、この話は言い伝えだから事実は不明なんだ。『歴代当主』の本があるのと石碑があるのは事実なんだけどね。まぁ、これが俺が知る聖月の話かな」
「そうなんだ…石碑かぁ…」
「…次は石碑の話をちょっとだけしようか」
光月のその言葉に僕は軽く頷き、石碑の話が始まった。




