最高のモブキャラスキルで世界征服する Ep,8
大した展開の動きはありません。
【タコラ、ムニャラ、ギルド 脱落】
「ギルド隊、ここで敗退!!惜しくも魔王とはなれず!」
司会者の説明が、フィールド全体に伝わる。
「ほんと、惜しい所まで行ったよ。ギルド隊は。」
『幻』をかけたのが自分でなければ、リーダーがやられ、ロウナ隊は負けていただろう。
「でもタカシ。安心はしてられない。ハカセ達の元に向かってくれ。」
「おうよ!」
タカシの背中に乗ると、イノシシのように一直線にハカセのいる方向に走っていった。
正直、軽い鬱状態だった。ライガはいなくなり、嫌なことを思い出し、まだ、2隊残っている。こんな状況で冷静でいる方が難しい。
「む?」
『創造』
タカシが急ブレーキをかけたかのように、止まった。いや、止められた。
想定しうる中での最悪が起こった。いちばん警戒すべきな大王、【カユウ】と会ってしまった。
カユウは、レベルは23と、低く身体能力は優れていないものの、スキルと、PPが、爆発的に多い。
パワーポイントと言うのは、スキルを使用する際に消費する力のことである。
一般男性は50、大王にもなると500、自分は850ある。だが、カユウは違う。何と、10000ある。シンが40000なので、歴代最強魔王の1/4ということになる。
1度のスキルに使うPPは10から1000なので、小さいものなど、PP消費が小さいものなら、一度に1000個の物を『創造』できる。
「カユウ…まずいな…」
今作ったのは、ダイアモンドの盾。『創造』というスキルは、3秒頭で考えたものを実際に作り出す能力。集中が必要だが、成功すれば隕石だって落とせる。
『創造』
2度目の詠唱。この隙を見逃さなかった。タカシから飛び降り、一時的に〔サブスキル〕『強化』を使用して、脚力を常人離れさせる。
『部分的時差変身』
部分的変身と、時差変身の併用技。腕だけをファイアケルベロスにし、腹を殴る。この間、約2.5秒。次の詠唱が始まる前に、トドメをさそうとすると、上から巨大な杭が3つ落ちてきた。1秒ほど経つと、杭と杭の間に水色の線が通り、地面が明るくなった。
『水素爆発』
氷のように冷たい声でカユウは言い放ち、半径30m程が吹き飛んだ。
咄嗟にビッグオークに変身したが、ビッグオークの頭ごと吹き飛ばされ、カユウの前に倒れ込んだ。ダメージ以前に、もうPPがなかった。
「PP切れか…惜しかったな。」
『創ぞ…』
言いかけたところで止まった。後ろから迫り来る殺気に、集中など出来なかった。
『完璧主義猫』
スラッとした体型に合わないほどの、巨大な手と、金色に輝く眼が、怪物を彷彿とさせた。
「ニャーパールーパー…!?」
スキルを持っていても、ここまで使いこなす動物は、人間やオーク、エルフなど、意志を持つ人型が多く、ニャーパールーパーなど論外だった。
その隙を見逃さず、タカシは木の間から腹部に突っ込んだ。が、途中でタカシは液体になった。
『猫は液体』
液体となったタカシは、カユウの脇から肩にかけ、巻き付いた。暴れ回るカユウをよそに、元の姿に戻って、尻からコケさせた。
「終わりだぜ。カユウ大王。」
タカシの低い声が鼓膜を突き刺す。が、
『創造』
発動後詠唱。スキルが発動した後にスキルを詠唱すると発動するが、威力は低まる。
だが、カユウのPPでは、威力は変わりなかった。ギロチン型の刃が、タカシの腹を真っ二つにする。
「愚かよ。カユウ大王。」
睨みつけながらそう言うと、自分に触れ、「PP付与」と言った。
【タカシ 脱落】
タカシは脱落したものの、自分はフルパワーとして、復活を果たした。
「PPが300もありゃ、お前ぐらいは倒せる。」
そう言い、走っていった。とっくに立ち上がっていた、カユウはまた、
『創造』
と詠唱した。
カユウの集中力は凄まじく、おそらく倒さない限りは意味が無い。
倒さない限りは。
「3秒で決着をつける。」
<1秒>
『変身!!』と唱え、『時差変身』を発動させる。
<2秒>
巨大化タカシに変身した後、カユウを襲う。
<2.5秒>
木々を吹き飛ばしながら、腕がカユウに近づく。
<2.9999999秒>
カユウの首が、盛大に吹き飛ぶ。が、
『創造』
この【魔王戦】では、前に言った通り核は別場所に保管されているため、肉体が死んでも本体が死ぬことはない。核を入れれば、元通りになる。
そう、もう一度言おう。本体は死ぬことはない。首が飛ぼうが、話すことは出来る。
『創造』で作られたのは───
「隕石───!」
ゴオオオオオ!!という音と共に、上空から超巨大な隕石が落ちてくる。今は視認できる程度だが、数分もすれば、会場ごと無くなるだろう。
脱落した後準備室に戻ると、そこにはシンの姿があった。
「ん…シンか。ちっ、このままじゃ1人もやられねえな。」
「ふふっ。大丈夫。1人やられるから。」
「...?」
不穏なことを言い残し、シンはまた準備室の試合の様子が流れる映像を見始めた。
ちなみに、シンは歴代最強の魔法使いです。




