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最高のモブキャラスキルで世界征服する Ep,7

結構今回は鬱要素的なの多めなので、苦手な方はお控えください。

 背中を走ってきたギルドにパンチをお見舞いする。

───今のは効いた

 そう思って、構えのポーズをしようとすると、吹き飛ばされたフリをしたギルドが、回転蹴りを腹に勢いよくされ、吹き飛ばされた。

「扉の近くでやった時はこんなんじゃなかったって思ってるだろ?あんなん演技に決まってんだろ。」

 ギルドは嘲笑うかのように言った。悪戯に成功した子どもなどではなく、獲物の狩りに成功した狼の笑いだった。

「お前こそ大したことねぇな。こんなんで魔王になれるのか?」

 ギルドは、凶暴に見えて超冷静だった。挑発には乗らず、ブラフをかける程、心理を理解していた。

「なれっからここに来てんだろうが。」

 そう言うと、こちらに向かってきた。変身ができるように構える。

 だが、『爆発』が可能な距離に近づいても、攻撃をしない。

───「ブラフ」

 先程の自分の脳内での言葉を思い出した。

 ギルドは肘の裏で、首を掴もうとしたきたが、間一髪のところで足を曲げ、リンボーのような体勢になることで、避けることが出来た。

 その勢いで地面に手を付き、逆からかかとで顎に蹴りを入れた。

「うぐっ…」

 この隙を見逃さなかった。ギルドに対して走っていき、触れた。

『変身!!』

 身長が少し伸び、髪は茶色の中に、黒髪が混ざるようになった。

 大王同士は一応スキルは伝えられていない。とはいえ、ギルドは有名なのでスキルは当然知られている。

 こちらのスキルを知らないギルド大王は、目の前の自分に困惑しつつも、冷静沈着を保っていた。

極限状態の集中───

 チャンスと思い、突っ込んでしまった。が、ギルドは冷静な判断をした。

『大爆発!!』

 下に向かって打たれた爆発は、爆風となって戦場全体に広がり、視界は最悪になった。そんな中、煙を通って伝わるギルド大王の声。

「今だ!!!!」

 サブスキル『大声(ビッグボイス)』により、ギルド隊の耳に届いた声は、すぐにひとつの意志となった。

───ロウナ大王を殺る。

 ムニャラによる幻影攻撃は通用せず、タコラの超巨大たこ焼きは、1口サイズに切り刻まれ、やがては灰よりも小さくなった。

 ロウナは、このフィールドで最強だった。それでも連携は途切れなかった。

「僕が全PP(パワーポイント)を使って、ロウナに夢を見せる!だから1秒でもいいから隙を作ってくれ!」

 ムニャラの優しい口調が残った煙の中を、つんざく。

『幻!!』



 雪が降る夜だった。夜遅くまで仕事をしていた霧竺 幸也(きりじく こうや)は疲弊しながらも、家路を辿っていた。一つの誕生日ケーキを持って。白い息を吐きながら向かうのは、息子の誕生日会。毎年プレゼントを挙げているが、今年は少し遅れてしまう。決まらなかったらしい。家に着くと、インターホンを鳴らしてから、胸を踊らせて待っていた。

───息子はどんな反応をするだろう。

 が、扉はどれだけ待っても開くことは無い。ただ、静かに何かを待っているように。痺れを切らし鍵で扉を開けると、ピチャと足元から音がした。

 赤黒かった。誰が見てもわかる、死体だった。2人分。証拠隠滅の為に、顔を焼かれ血まみれになって倒れている。

 妻と息子程の身長だった。だが、それ以前に分かっていた。もう何も考える必要は無い。



  殺す



殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す



 妻と息子を殺したから、俺もお前を殺す。



 着いていた会社は倒産した。金の発生源はなくなった。もう、生活は出来ない。もう、46歳だった。父親は病気で死に、妻と息子は殺された。



偽る───

 それが自分の答えだった。人も、戸籍も、神も、自分も。全てを欺き、全てを偽り生きていく。

 自分のために、他人のために。俺は悪魔(嘘つき)になる。



 年齢 32歳

 就職経験無し

 〇✕大学卒

 名前は───



「安藤仁」

 幻が解けたロウナは、一体の煙を取っ払い、怪物のような見た目にどんどん変貌していった。

 ムニャラの『幻』というスキルは、過去の記憶を思い出させ、精神を破壊するスキル。だが、安藤仁という男は、そんな簡単な人間ではなかった。

「過去も、今も、未来も。俺が本物として生きることは無い。」

 この世界で得たスキルで、犯人を殺してやる。俺はあの日そう誓った。転生して、喋るニャーパールーパーを見て、メガネの野郎を見て、この世界を知ったあの日から。

───いつ、あの世界に戻れるという確証なんて得た?

 一瞬そんな考えが頭をよぎり、フリーズした。この世界に期待して、楽しんで、心から笑ったんじゃないのか。

 偽りなら何故、ハカセと、音子(ねこ)が死んだ時悲しんだ?



───俺は今なぜ生きている?



 妻と息子への思いが小さかったわけがない。どれほど考えが変わろうともそれは無い。

 だが───

「この世界も、悪くない。」

 フリーズした隙を狙ってきた、3人の敵の首を吹き飛ばした。

「俺は、オクル・ロウナだ。」

ロウナの過去編はいずれ詳しくやろうと思っています。番外編みたいな感じで。

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― 新着の感想 ―
 なんか主人公の感情が薄っぺらい感じに思えていたのはこんな理由があった故だったんですね。  そりゃあ壊れたものをさらに壊そうとするんだから難しいのも納得。  それよりも彼、現実逃避の末の虚構という歪さ…
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