最高のモブキャラスキルで世界征服する Ep,5
前回のあらすじ
不遇な人生を送っていた安藤仁は、ある日トラックに引かれ異世界に転生してしまう。異世界で手にしたモブキャラスキルでトラブルに巻き込まれながらも、前を向いて歩いていく。荒れた世界を救うため、が今【魔王戦】が始まる!!
【魔王戦】に出たい。そう思い立ってからは、すぐだった。
数時間前
「大王決定決勝会場」と、でかでかと書かれた看板の横で、100人近くの人が列に並んでいる。
そう、この「大王決定」には、予選があった。予選は、魔力とレベルを計り魔力は500、レベルは3を超えていれば、予選突破となる。また、この大王決定は、【魔王戦】に出ることを希望しているチームの、リーダーしか出ることが出来ない。
そして、肝心な「大王決定決勝」だが、これは、ビッグオークを倒すだけらしい。倒し方、秒数などが計られる。
そして、前に並んでいる者が終わりようやく自分の番になった。
「はっきり言って余裕だぞ?」
会場は、野球部場のように、中心が戦場、周りは観客席になっている。観客席にはパラパラと審査員が座っており、その中の1人がビッグオークを檻から解放するスイッチを持っている。
「ハジメェッ!」
という声とともにビッグオークが解放された。が、それを律儀に待つ必要は無い。1ヶ月で鍛えた脚力を使い、一気にビッグオークに近づく。
攻撃が届かないであろう、30m地点からジャンプをし、正確に首を刈り取る。ここで、一つ断言しておくが、魔物とは核から体が構成されているため、血液は通わず、血は出ない。
だが、切った首からは、血液が大量に吹き出した。
「おい!審査員共!どういうことだ!なぜ血が出る!」
大声で聞いても、審査員は無視して下を向くばかりだ。
だが、1人スイッチを持つ審査員がこちらを向いて言った。
「人間さ。何の変哲もない。」
「おい、シン。あの会場は一体なんなんだ。」
シンは、あの一件があってから、一方的にバチバチな関係になっているので、話し方は適当だ。
「あそこは、色々闇が深いんだよ。」
「知ってたのか!?」
「ああ、知ってた。とうの昔からね。」
思わず怒鳴りそうになったが、寸前で留まった。シンが今まで見たことがないほどに、真顔だった。微かな怒りを含みながら。
次の日、城のポストには【魔王戦】出場決定の通知が届いていた。
───まああのレベルなら妥当だろ
そんな甘えたことを考えつつも、期待に胸を膨らませていた。
そして当日。会場についた。会場には、何と森、海が丸ごと入っていて、およそ、半径1kmあるらしい。
扉に近づくと、右の方で市民に絡んでる奴がいた。
「あいつは…ギルド大王か…」
───前にライガが言っていた大王とは、こいつの事か。
少し拍子抜けしたが、こちらが見ていると、あちらの方から近づいてきた。
「死ねぇっっ」
一瞬思考が停止した。大王は【魔王戦】前に、バトル禁止でまず、常識的に大王が、大王に攻撃するなんてことは有り得ない。
思考は止まったものの、大きく振りかぶっって来たギルド大王は隙だらけで、少ししゃがんで、背負い投げ出来た。
「おっと…ギルド大王何のつもりだ?」
「邪魔だから殺そうと思ったが…テメェ後で覚えとけよ?」
そう言うとギルド大王は、憤慨して扉を壊すようにしてこじ開けた。
「さ、俺らも入るか。」
この一件は、この【魔王戦】の勝敗に大きく関わることとなる。
ついに、この時が来た───。
今の俺の頭を表現するなら、8割の不安と、2割の期待だろう。
会場に出ると共に、試合開始のゴングが鳴り響いた。場所は「森」。空を使って周りを見渡すもよし、地面を掘って籠るのもよし。と言ったところだ。
俺たちの作戦は、円形になっている会場の右から、弧を描くように音子とハカセが進み、左をライガが進む。俺とタカシはというと、中心に行ってからタカシが巨大化し、中心を更地にするというものだ。
「タカシ、結構今は順調だけど、あとはタカシのスキルにかかってるぞ。」
タカシのメインスキルは、『完璧主義猫』。タカシの思う完璧な猫になることができる。実際はニャーパールーパーということには触れないでくれ。
「ついた。恐らくここが中心だろう。行くぞ!タカシ!」
「おうよ!任せなァ!」
そう言うとタカシは、みるみるうちに巨大化していき、ビッグオークの半分ほどの大きさになった。
この会場は、横幅は大きくても縦はおよそビッグオーク2体分しか(それでも100m)ない。
上から見るとハカセチームと、ライガの様子がよく見える。
「ハカセ達は…スライム大王の部下達とってとこか…」
スライム大王は完全なスライムだが、性格は温厚で、部下からの信頼も暑い。
その中でもハカセ達があったのは、深い忠誠を誓うオークの戦士「グルガ」と、犬のロボット「ワンコロ」だった。
<音子が戦闘役になって、ハカセはスキルを伝えたら逃げる感じの方がいいな。>
試合直前に全員で覚えた〔サブスキル〕の、『テレパシー』があるので、意思疎通は案外簡単に出来る。
<嫌です!>
ハカセが、物事を断るなんて、結構意外だった。
<ここで男を見せなくて、それを強いと言えますか!>
確かにそうだ。ハカセは常にサポート役で、前線に出ることがない。
<分かった。だが気をつけろよ>
「…心配いりませんよ。なんせ私は、大王の部下なんですから」
まさかハカセで締めくくる事になるとは…




