最高のモブキャラスキルで世界征服する Ep,2
前回のあらすじ
不遇な人生を送っていた安藤仁は、ある日トラックに引かれ異世界に転生してしまう。だが異世界で手にした能力もモブキャラスキルだった!?荒れた世界を征服するためのド定番な戦いが今始まる!!
俺のスキルを告げられてから、憂鬱な気分でいっぱいだった。誰もが黙りこくって、下を向いている。
───『変身』か…まだ発動したこともないな…
俺のコントロールが悪いのか、それとも偶然発動していないのか。考えれば考える程、不安要素が溜まっていき、もっと憂鬱になる。
城に向かう途中、坂道に遭遇した。王様は慣れているようで、スイスイ登っていくが、俺たちは周りの家の壁に、手をかけながらじゃないと、上がれなかった。
その時、フゥッという音と共に、突然目の前が真っ暗になった。
「どうした!」という王様の声が聞こえる。ハカセが何かを説明してはいるが、パニックで耳に入ってこない。聞こえてきたのは少しだけ。
───リラックスしてください
リラックスすれば何かあるのか?と疑いつつもリラックスをすると、元に戻った。
「なんだったんだ?今の?」
俺が聞くと、ハカセがすぐに答えてくれた。
「おそらく『変身』が発動されたのでしょう。能力で先程触れたレンガになり、その影響で小さくなり。服で前が見えなかったという訳です。」
「触れただけで変身か…となると少し強いかもしれないな。それに、初めての『変身』で形を崩さず、そのままの姿になれる者は中々居ないぞ。」
王様が褒めてくれた事も嬉しいが、変身を使用できたことが、何よりも嬉しかった。
「ですが、常に変身する状態では不便でしょう。こちらの制御手袋をつけますか?」
と言ってハカセはポケットから薄い白と黒の手袋を出してきた。
「ちゃんと左手の手袋を用意してるのか。じゃあ貰うぞ。」
手袋をつけると、無意識のうちに出ていたオーラ的なものが、引っ込んだ感覚があった。
「なんか言語化しにくいけど、凄いなこれ」
ハカセの自慢の品だったらしく、ニヤリとしながらメガネをクイッと上げた。
そんなこともありつつ、ようやく城に着いた。
「ここが城だ。事情は説明してあるので堂々と中に入っていい。」
そんなことを言ってはいたものの、やはり城の迫力にビビり、門番に少し怪しまれた。
「ニャんだここ!」
「ああ、居たんですね。セリフがないから気づきませんでした。」
「ああん?なんだゴラァ?別に語尾の「ニャ」とか外して話せるんだぞ?」
「はいィィィキャラ崩壊ですねェェェ!!」
城の中でこいつらは何をやっているというのだ。
城はまさに城だった。いや、頭悪い訳じゃないぞ。内装から外装に至るまで、まさにアニメに出てくるような城だった。違う点と言えばボロかった。自身の城ですら節約しているらしい。
「そこの椅子にでも座ってくれ。今お茶を出して貰う。」
簡単なノリで言った椅子だが、豪華という一言で片付けられるものではなかった。触れただけで職人の魂というものを感じた。
「さて、お茶が来るまでにささっと本題を話そう。と、その前に城まで来てもらった事には理由がある。民衆の人に聞かれるとまずかったのでな。」
隣では、椅子をガタガタさせて遊んでいる音子をハカセがチョップする。音子は落ち着くということを知らないのか。
「さて、本題だ。今度の事だが、大王から魔王を決める戦い、【魔王戦】が行われる。」
「【魔王戦】が!?」
ハカセが食い気味に叫ぶ。市民はそのことを知らないらしい。
「ああ、そこでだ。大王になるため【魔王戦】までの1ヶ月間、修行をして欲しい。修行と言っても俄羅俄羅で1ヶ月を過ごしてもらうだけだ。そうすればLv,50程にはなるはずだ。」
『がらがら』とは?とても気になるが、ハカセがノーコメントなのでおそらく大丈夫だろう。
「分かった。が、そのがらがらってのはどこにあるんだ?」
「おそらく転生直後に草原から、巨大な怪物が見えなかったか?そこだ。」
───ん?今なんて言った?怪物が見える場所?
「そこで1ヶ月を過ごしてもらう。頼んだぞ。俺は仕事があるので行かせてもらう。ありがとな。」
そういうと、王様はスタスタと城の奥に行ってしまった。
「じゃあ…行きましょうか…」
ハカセが自信なさげに言う。
数十分後、俄羅俄羅に着いた。人が入れば3秒で死にそうな森だ。だが、対策は考えてある。そう、あの怪物に触れるのだ。そして暴れ回れば、大抵の強い魔物はいなくなるだろう。
「気合い入れるぞ!」
今の俺のレベルは1。ここから1ヶ月で50Lvまで、上げれるのかは、俺次第だ。
ド定番過ぎておそらくここまで見る人は居ない。




