最高のモブキャラスキルで世界征服する Ep,9
前回のあらすじ
不遇な人生を送っていた安藤仁は、ある日トラックに引かれ異世界に転生してしまう。異世界で手にしたモブキャラスキルで荒れた世界を救うため、【魔王戦】に勝つ決意を固める!!
遠藤土(36歳)は、暗い森の中で必死に逃げていた。
「何で...何でこんな事に...!!」
<メインスキル>『大地』で、土の壁を作ってもその何かはどこまでも追いかけてくる。
遡ること数分。ムニャラとタコラが、戦闘を離脱してから猫犬のハクと敵を探し、森を歩き回っていた。
すると突然、後ろから声がし、木々が自分たちに近寄ってきた。そのまま数十分走って、今に至る。ハクは逃げている途中ではぐれてしまった。
『大地』のスキルは土、木、水など、周りにある自然のものを操作できる能力。だがこの木々にはスキルが通用しない。
そのまま逃げていると、何やら騒いでいる2人組を見つけた。
「目玉焼きにハムとか舐めてるニャ!?ベーコンニャろ!」
「そんなん何だっていいじゃないですか!塩かければ、どれも同じですよ!」
「※あくまで個人の意見です」
「気を使うな!バカ猫!」
この事態の中、何をやっているんだ...!そんな理不尽な怒りを込め、「さっさと逃げろ!」と言った。
すると背後でバン!という音と共に、木々が土台になり、何かが高所に登って行った。
「何ニャ!?あいつら!」
「逃げているのは、スライム隊の遠藤土ですが...遠くのアレは...何でしょう。名前が分かりません。」
ハカセには、スキル『解析』があるので大王の部下なら、名前は分かるはずだが、何故か出てこなかった。
───ということは...
「部外者1名と言ったところですね。」
「ちょうど使いたいスキルがあったんニャよ。」
どこから来るのか分からない余裕に気を取られていると、背後から鋭い木で刺された。
【遠藤土 脱落】
場のヒリつきを音子とハカセは肌で感じた。ひしひしと伝わる緊張感。目の前の敵への、不安感。
何かは、高所からスッと降り、顔を上げた。
フードを被っており、良く中は見えないが、爽やかと言うには、何か異質さを感じさせる顔のように思える。
フードの隙間からチラチラ見える、黒と白が反転した目が、胸を突き刺してくるようだった。
「久しぶりのこの大地だ。存分に楽しもう。」
そう言うと、足を1歩前に出した。その瞬間、膨大な悪意というものを感じた。
違和感、異質感、不安感、嫌悪感、倦怠感など、気分の悪くなるものが、一気に押し寄せた感覚だった。ハカセは、その気迫に耐えられず、膝をつき、嘔吐しだした。音子でさえも、動くこともままならない。
「悪意から苦しみが生まれ、苦しみから悪意が生まれる。」
真理を悟ったかのような鋭い目だった。
そんな目に気を取られていると、数秒後、地面がゴゴゴ!と鳴り、黒い魔法陣がでてきた。
「“死の元に鉄槌を。死の元に快感を。死の元に救済を”」
そう唱えると、2つの魔法陣から、同じ服を着た2人の人物が出てきた。
「全く。この程度に我らをつかわすとは。あの方も慎重だ。」
「俺は血が見れれば何でもいい。さあ、その肉体を!血を!」
巨体の男と、フードを被っていなく、右目に眼帯をつけている男が現れた。
眼帯男は、血だ!血だ!と狂ったように叫んでおり、鋭いナイフを味方に当たらないように、振り回している。
『魔の猫』
PPをほぼ使い果たして、攻撃しようとするも、眼帯男のスピードの方が段違いに早く、音子が走り出した瞬間、首だけが飛んだようにすら見えた。
【音子 脱落】
ここで説明だが、核は肉体の傷を感知する。そのため、核の動きから、脱落を判定するため、審査員は今のこの状況が見えていない。また、準備室の映像もどこを映すかは完全にランダムなので、ここを決まって映すことは無い。
「だりー。血出ねぇのかよ。」
眼帯男が気だるそうに呟く。
「馬鹿が。こいつらのリーダーの大王が来るぞ。あの方の命令を遂行できなくなる。」
先程から言っている、「あの方」と言うのも気になるが、今はそれどころじゃない。
正直に言うと、完全に舐めていた。巨体男と、眼帯男が来る前に、フードの男を殺すべきだった。
「...来たぞ。」
3人は斜め後ろ方向を向き、それぞれが攻撃態勢に入った。
が、全員の腕が一瞬にして吹き飛んだ。
「速い...!」
そこには、ロウナの姿があった。
「待たせたか。ハカセ。」
安心したのも束の間、フード男が叫んだ。
『悪!!』
低い声でそう言うと、ハカセが突然襲いかかってきた。
「俺の能力は『悪』。悪意を膨らませて、全てを殺し、壊す破壊兵器を作り出す能力だ。」
【魔王憲法第九条第三項】 対等な戦いを望むなば、能力の自己開示をするべし。
法律に基づいて、決まっている。【魔王戦】など、特別な場ではこの憲法は適応されないが、普段の戦いではこの法を守らない限り、軽い罰則が下る。まず、どんな悪でもこれを破るものはいない。
自己開示後、ハカセは落ち着きその場に倒れた。
「俺のスキルは『変身』。左手で触れたものに変身する。」
開示をすると、相手は驚いたような反応をしていた。最近は感覚が麻痺していたが、普通に考えればモブキャラスキルなので、この反応は当然と言える。
「そのスキルで大王か。相当な努力か才能だな...いや、どちらもか。」
今思えば、この世界を救うには魔王になるなんてものじゃ足りない。
「お前らみたいな悪も潰さないと、俺は世界を救えない。俺が救世主になる。おこがましい程の、自己中な救世主にな。」
また、決意を固めた。
人じゃないものを〇〇人などの書き方をしてしまう場合がありますが、ご了承ください。




