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京都事変  作者: たま
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何度でも

ヒミコの人生の教訓も近衛吉良の何重にも立てられた大仏開眼イベントへのプロジェクトもアキラを楽にしてくれた。

一発で決めようとするから緊張するのだ。

勝つまで辞めなければ良いだけ!今回は生き残れば良いだけなのだ。


アキラにとっては、ヒミコと自分と見波さへ生き残れば、何度でも挑めるのだ。

後は何人死のうが知ったことではない。

そう思うと気楽になった。

崇徳天皇と力の差があっても、アキラのやる事は3人にプラス近衛吉良を守るだけ。

変に気負う必要は無いのだ。

だけに今、ヒミコと近衛吉良が座る席の前のステージの亡霊武者は気掛かりだ。

多分、崇徳天皇から送られた武者だろう。

次々と遺物の入った箱に触れようと開けょうとするが

僧侶100人の読経の力で皆消されて行く。


多分その様は、アキラにしか見えていないが、箱はガタガタと揺れだしてはいる。

ただ、まだ読経の音圧による振動だと思われている。

アキラは近衛吉良とヒミコの前の結界を強めた。

「その武者達、何人いるの?」見波が小声で聞く。

「2.30人かな?消えても、またすぐに供給されるんだ。」アキラが結界を強めながら説明する。

やがて大仏の腹の扉が開く。元々そんなものは無かったが、新しく作られたのだろう。その扉が開いた。

中は…ビッシリと経文が書かれていた。

外の変化より中が鉄骨で作り直され宇宙船と同じチタンで内側から補強され、そこに経文が隙間なく書かれているのだ。

「まっ、まぶしい!」思わず見波が目を細める。

チタンは白銀に輝くので外光が入ると眩しいほどなのだ。

いつの間にか大仏は宇宙船に改造されていた。

お経を唱えながら屈強な僧が10人ほどで箱を担ぐ。

が、やはり半分が一瞬で倒れた。

が、後ろに控えていた僧が唱えながら代わりに担ぐ。

倒れても倒れても代わりの僧が箱を担ぐ。

いつの間にか近衛吉良が扉の前で箱を誘導する。

「アキラ大丈夫?」見波が心配する。

「あのじーさん、ちゃんと大僧正の修行してるみたいだな。俺の結界なしで大丈夫だ。いつのまにか。」

アキラも驚く。

下宿に来た時は、普通の人間だったのに。

だが、念の為に軽く結界を近衛吉良の周りに掛ける。

と近衛吉良がアキラの方を見た。

「ちよっと〜気付いてない?あれは?」見波がビビる。

「だな。もしかしたら、箱の周りの武者を見えていたかもしれないな。」アキラが笑う。


とうとう空がゴロゴロ言いだした。

次の瞬間、ピカッと光ったと思ったらドーンと言う音が響いた。

奈良公園内の木に雷が落ちたのだ。

「ふっ、無駄じゃ!この建物には最新の落雷抑制システムを施してある。

外のドームも通路もじゃ!」

近衛吉良が笑う。

が矢継ぎ早に雷は落ち続ける。

空には閃光が瞬き続け、まるで花火大会のように。

イベント施設以外の建物に雷が落ちサイレンが街に鳴り響く。

と急に電源が落ちた。

街全体が、明かりが消えた。

「停電だな…鉄塔に落ちたな、コレは。」

境内や仮設のドームもざわつく。

「第2電源に切り替えろ。」と近衛吉良が言うと一瞬で施設の電気類が復活した。

「フフッ、想定内じゃ!四国、東海、東北の電力会社から引き込めるように準備してる。近畿圏全てが落ちてもココと鉄道だけは電気が供給される。」

近衛吉良が不適に笑った。

アキラは感心した。

失敗する事を想定して計画が立てられているのだ。

失敗しても立ち上がれるように考えられてる。


1人で何でもやってきたアキラには、不思議な感覚に囚われる。

「組織の力を見せつけてくれるねえ〜」見波も感心する。

「さあ、時間がない!箱を入れてくれ。」近衛吉良が命令するとアッと言う間に箱が入れられ扉が閉められた。

そして、仏師達と左官工が扉を埋めて彫り直し漆を塗り扉は跡形もなく消えた。

倒れた僧侶達の補充も速攻で済み、お経の声はより大きく境内に響くようになった。

「人海戦術だね。1人1人の力が無くても数の力で強敵に向かう方法だね。」見波とアキラは感動した。

ミツバチ達がスズメバチに襲撃されると何百匹ものミツバチがスズメバチに取り付きその数でスズメバチを閉じ込め密集することで発生する熱でスズメバチを殺すと聞いたことがある。

この東大寺を中心に信じられない数の人間と物資が供給準備をして外で構えているのだ。

後白河天皇も源頼朝も私財だけでは足りず、勧進帳で寄進を日本中の人々に頼んで東大寺を再建したのだ。

今回もきっと近衛吉良が同じ事をしたのだろう。

「崇徳天皇も今後悔してるだろうなあ〜

なんで年寄りを残してしまったのか?藤原五摂家を

絶滅するなら1人も残しちゃいけなかった。」アキラが呟く。

とうとう後白河天皇と同じく籠が用意され、大仏の目を描く準備が始まる。

後白河天皇は、突然自分が描くと籠に飛び乗り吊り上げて貰って大仏の目を描いてしまったのだ。


近衛吉良は席に戻りヒミコに頼む。

「もし私が失敗したら、貴女が目を描いてほしい。」

手を取り頼んだ。

突然の話にビックリする。

「エ〜ッ、私ですか?

でも私も失敗したら?」ヒミコは失敗癖があるので自分も信用できないのだ。

「ココに居る全ての者が死ぬまで描くだけですよ。

まだ外にも控えておりますが。

皆に言ってあります。」ニコッと微笑んだ。

「じゃあ、安心ですね。」ヒミコも安堵した。

そしてアキラを一瞥して近衛吉良は籠に乗った。


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