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京都事変  作者: たま
54/60

対策

着くと東大寺前はすっかり様変わりしてた。

あの正月のような風景から、最新のアウトレットモールみたいに!

駅から東大寺までは透明なドーム状の通路になり一方通行で行きと帰りで2本のドームトンネルが続いている。

セントラルヒーティングでドーム内はプロジェクションマッピングで彩られ歩くだけで楽しく工夫されてる。

境内をライブ中継している内に嵐で人出が少なくなったのを見計らって仮設してしまったらしい。

足にはタイヤが付いてるので、元々別の場所で作って準備してたようだ。

「ホッホッホ、天気が悪いのなど1番に考えましたわ!

今は令和ですぞ!

これは高速道路や新幹線の擁壁に使われるポリカ樹脂ですわ。

トレーラーハウスですが、足場は風が入らないように囲いました。

これで突風の浮力で浮き上がる可能性もありません。

日本の技術をなめないでいただきたい!」

迎えた近衛吉良が高笑いする。

南大門からの大広場は、東京ドームのようになっていた。

「トレーラー100台を連結してドームテントを張り仮設東京ドームを作りました。

両脇はラーメンやおでん等が好きなだけ食べれて、真ん中は有名アーティストが次々ライブを繰り広げております。

皆さん、どうぞお越し下さい!」近衛じいが動画配信した後は各テレビ局レポーターが体験レポしている。

いつもはすぐ止まる電車もダイヤル無視して稼働させ続けている。

絶対止める気は無いようだ。

さすが藤原家である。


「風はスゴいのですが、太平洋からのように水分が多くないのでゲリラ豪雨のような雨は降らないのですわ。これは助かりました。」

外はスゴい風だがドーム内は全くお祭り騒ぎだ。

「反対に群衆が増えすぎて圧死などの心配をしておりましたが、

程良き動員数で助かりました。」

そのため最初は設営をしない方向に傾いていたらしい。

台風が急遽来たことで使用する決断したのだ。

駅からのドーム通路から常に東大寺前の東京ドームには人が吐き出され続け、

東大寺内へ順次流されていく。

大仏を拝んだ人々は、祭りを楽しみ出口ドームへまた流れていく。

見波は屋台やステージが気になるようだったが、通り過ぎて大仏前のステージ脇の関係者席に通された。

「ヒミコさんは、品子の代わりに隣に座っていただけますかな?」近衛吉良が誘う。

「いえ、先ほど二条さんとお話ししたので、まだ近くから見てる気がします。席は空けておきましょう。」ヒミコは自然に言ったつもりだが、吉良は目をみはる。

しまった!と思って色々言い訳したが、近衛吉良はアキラと見波が気になりだしたらしい。

「隣座れよ。俺と見波は末席行くから。」アキラがコソッと耳打ちする。

「大丈夫?」いつも自信満々だったアキラの凹みが気になったが、親指を立てて後ろの席へ行った。

座るなり席全体に結界を張る。

末席が、近衛吉良の視線に入らない所が良いのだ。

「ただの友達ではなさそうですな?」近衛が耳打ちする。

「え〜っ、彼氏とかじゃないですよ〜!

ボディーガードで雇ったのです。大学内も安全ではなくて。」ヒミコがわざと外す。

「ホッホッ、そうですか?」近衛もそれ以上は詮索しなかった。

今はそれどころではない。

「身体は大丈夫ですか?昨晩からほとんど寝てないでしょう?」気遣うが、

「これが終われば生きていなくても良いのですよ。

沢山部下も失いました。

早く私も逝ってやらねば!」並々ならぬ気概がその身体から溢れてる。

既にステージ上には、ヒミコの下宿に持ってきたあの経文がみっしり書き込まれた核燃料でも運べそうな箱が置かれている。

中には、崇徳天皇の生前の持ち物が入っている。


アキラはその箱を後ろの席から見ながら、眉間にシワを寄せた。

「どうしたの?スゲ〜険しい顔して。」見波が小声で聞く。

アキラの目には、その箱の周りを武者が覆い開けようとしてるのが見える。

唱えられているお経でどんどん消えていくが、また新しい武者が開けようと群れている。


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