悲しい知らせ
近衛吉良が足元が悪いからと車を寄越してくれた。
昨夜から動画はLIVEで配信され続けてるが、途中から
二条家奥方の姿が無い。
休憩中も姿が無いので思わずヒミコは運転手に聞く。
「品子様は今朝方亡くなりました。
また朝の行の後に配信内で話があると思います。」
運転手は抑揚の無い声で淡々と告げる。
最期まで足掻くと微笑んでいた顔が浮かぶ。
「私があんな事言ったせいで無理しすぎて…」ヒミコが顔を突っ伏した。
「そんな事ないよ。病でベッドで横になって死を待つより充実した時間を過ごせたと思うよ。」見波は、祖母が癌で亡くなってるのでそう言ってくれるが。
アキラがそっとヒミコの肩に手を乗せる。
するとあの二条家夫人の声が聞こえた。
「ありがとうございました。娘に自慢しに行ってきます。さようなら」と明るい晴れ晴れとした声だった。
ふとアキラを見る。
静かに何かに耐えるように目を閉じている。
「ありがとう。アキラの力を何となく恐いと思ってたけど、こんな風にも使えるんだね。
やっぱりスゴいよ。」と礼を言ったが苦笑いする。
「全然スゴくないな。俺は人と霊に特化してしか能力ない。
自然に働きかけるとか、そんな事は出来ない。」
かなり自信喪失してるようだ。
「やっぱりアンタは勘違いしてる。
それが普通だから!
自然なんて人間の思い通りにならないから!
崇徳天皇は怨霊だからね!人間やめて、もう霊ですらないから!」アキラの両頬を両手ではさむ。
いつもならすぐ振りほどくのにされるままだ。
「お前はさあ〜何の力もないのに怖くないのか?なんで、そんな自信満々なの?」アキラが聞いてくる。
「それいつも市子にも言われてた!
根拠って聞かれてビックリしたよ。考えた事無かった。」ヒミコはジッと考えてみた。
「あのさ、怖いのはきっと成功させようとしてるからじゃないかな?
私、自慢じゃないけど本当に小さい時から、成功体験ないんだよね。
いつも失敗するの。
たまに偶然うまくいくと驚くくらい。
だから、今日も実は崇徳天皇封じられるのか?
半分以上疑ってるんだ…ごめん。
アキラが目を見開く。
コイツはやっぱりスゴい!
今日も成功しなきゃ!なんて気負いが無いのか?
うまくいくわけ無い!と端から思っているのだ。
「でもせっかく近衛吉良さんがここまで頑張ったんだから、うまく行くと良いよね!」ヒミコが周りを見ながら言う。
「どんどん台風近づいてるけどね〜
どうなるんだろ?」見波が心配そうに窓から外を見た。




