表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
京都事変  作者: たま
44/60

穢れ

「これはどういうことなの?」市子がおびえる。

寝殿の泉が、透明なこんこんと湧き出る泉がにごり出す。

白い乳液をぶち撒けたように…

「帝様…これは…」市子が帝に質問するが顔が強張っている。

その白い乳液の中に1人の女房と少年達が映る。

「お前達!なぜ!」崇徳天皇が泉に身を乗り出す。

「危のうございます!」支えようとしたが払われた。

「!」市子は驚く。

いつも優しく市子を見つめる崇徳天皇が!

一瞥もくれず泉の中の女性と子供達に語りかける。

何か話していて帝には聞こえるらしく、

「おおっ、そうであったか!

私が亡くなった後は皆で仁和寺で暮らしていたのか!

良かった良かった〜

おおっ、立派な僧侶になったなあ〜和歌の撰者にもなったのか!」会話している。

その間にも泉の濁りはどんどん進み、寝殿の奥から悲鳴が聞こえる。

心配になって奥へ行くと、女房達の着物がボロボロになり肌は干からびてどす黒くなり、皆痩せこけている。

「これは!一体どういうことなの?」市子が茫然としてると着物の裾を掴む亡霊?いや女房が話す。

「帝様が、愛に心奪われて恨みや憎しみが弱まっています。

早く早く泉の穢れを消して頂いて下さい!

でないと皆、元の亡霊に戻ってしまいます!」女房が裸の餓鬼となりのたうち回りだす。

どんどん寝殿までもどす黒く汚れて、まるであばら家のように!

武士たちも年老いて皆そこらへんにへたり込み、苦しそうにもがいている。

大急ぎで崇徳天皇の元へ走る。

帝はニコニコと泉と話している。

市子は鏡を泉に投げる。

すると女房と少年達の姿が消えた。

「何をするのだ!」崇徳天皇が今まで見せたことない顔で市子をにらむ。

悲しくなったが、言わなければならない。

「泉の穢れを早く消して下さい!

寝殿の女房や武士が苦しんでおります!寝殿自体も

あばら家に!」屋敷の方を指さした。

「ああ〜何ということだ!そうか、私の怨みが弱まったからだな。

申し訳ない!」崇徳天皇が怯えたように袖で顔を覆う。

泉の波紋が消えるとまたあの女房と少年達の姿が泉に浮かび上がる。

寝殿からは、女房や武士の悲鳴やうめき声が聞こえる。

思わず香炉を泉に投げようとすると帝が市子を止めた。

「やめてくれ!私の妻と子供たちなのだ。

まさか会えるとは思ってなかった!

怨霊となった私は成仏した者とは会えないのだよ。

ずっとずっと気懸かりであった…皆、無事であったとは…」崇徳天皇が泣いている!

と共に皮膚がただれ中の骨が見えている。

「ダメです!帝様!嬉し涙を流されたら、貴方は朽ち果てます!」市子が帝に鏡を渡す。

「ああ〜ッ、そうだな。この寝殿では、愛は毒だ!

極楽浄土にある物が、ここにあってはならない!

消さなければ…」

崇徳天皇が泉を見つめながら膝をついた。

「すまぬ。私には出来ない…」「帝様!しっかりなさって下さい!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ