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京都事変  作者: たま
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崇徳天皇陵

「ラッキー! 全然観光客いないよ!」見波が辺りを見回す。

平日の午前中、あまり天気が良くないせいか?

全く人はいない。

近くの神社まではお遍路も寄るが、奥の陵墓までは来ないのかも知れない。

「あの地獄階段は萎えるからなあ〜」

見波もヘロヘロだ。

「よし、入るぞ」小声で唱えると柵を登りだす。

「えっ、大丈夫なの?」ヒミコが驚く。

「大丈夫。柵登ってから後ろ見てみろよ。」言われた通りにする。

後ろを見て驚く。

自分が立ってるのだ。陵墓を眺めて3人で何か話してる。

でも、柵の中にも3人居る…

「どういう状態なの?これは???」ヒミコがアキラに聞く。

「あれが本体だよ。今、俺らは霊体なんだよ。」

説明するのも面倒臭そうだ。

陵の中は木が鬱蒼と生えた小高い丘になっている。

その頂上に立つとアキラが見波とヒミコの額に軽く指を当てる。

反射的に目を閉じた。

走馬灯の様に仁和寺の妃や皇子達の言葉や表情が

流れ出す。

正妻が子供が出来ないので宮中に召された。

他にも女房が沢山いたが、崇徳天皇はことのほか私が気に入ったようだ。

毎日来る。

子供が生まれたら、いつの間にか帝の近く子供ごと移された。

噂では、子供とはもうすぐ離れ離れになるらしい。

私の仕事は、終わったらしい。

もう私の子供では無くなるらしい。

泣いてると帝が優しく「何とかしょう」と言って下さる。


優しい帝様…

しかし、黒雲が覆い子供とは離れ離れに。

讃岐での二人暮らし。


子を思い泣き、都が恋しくて泣き、2人で泣き暮らす。

やがて帝は気が触れて鬼の様に。そして亡くなられる。

京に戻り子供らに再会できた。子供らも泣いていた。

「私は、天皇にならなくて良かった。

ただ父と母と一緒に居たかっただけなのに…」我が子は泣いていた。

「ここに父が一緒に居てくれたら、それだけで良かったのに」

家族で亡き父を思い穏やかに暮らす日々

それは小さな家族の小さな希望だった…


小高い丘の地面の下へ…そのささやかな家族の愛と望みが流れ込んでいった。

 

いつの間にかヒミコと見波はまた泣いていた。

天皇の妻になるには、余りに普通の女性だった。

普通の母の普通の望み。

崇徳天皇はそれに流されて決断を間違えた。

仕方ないのかも…父に愛されなかった。

家族らしい家族の思い出を持たない自分自身の幼少期と被ったのだろう。

が、それは藤原聖子を傷付ける事になる。

それぞれが想いを抱え、人を傷付け自分を傷付けた。

それが生きると言う事なんだろう。

自分の中から、1人の女性の想いが消えていく。

「さよなら、兵衛佐局ひょうえのすけのつぼね)

1人のシンママが微笑みながら空へ帰った。

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