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京都事変  作者: たま
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孫は可愛がるな

今夜は誰も帰ってこないらしい。

久々の1人の夜、有間は10年以上前の秋津島の事件を

思いだしていた。

崇徳天皇と父の鳥羽上皇の関係は、秋津家と似てる気がする。

そして、終わり方も。

祖母はなぜ自分の息子、長男に相続させなかったのか?

次男の子、孫のそれも女の子の莉夏に全てを相続させた。

その為、あの惨劇が起きた!

祖母は、分かってて我が子を殺す為に仕向けた気もする…

そんな事は一言も口にしなかったが…


祖母は静かな女性だった。

だが、家長の父親の横暴で妹は死に自分が産んだ初孫を

跡継ぎだ長男だと甘やかし放題、片時も離さず可愛がっている。

孫と言うのは可愛くて仕方が無いものらしい。

それも男の子となると余計に可愛がるものらしい。

祖母が母として子供を叱るのにまで口を出して甘やかしてしまった。

子供は、家族の上下関係に敏感だ。

そして、自分のバックの祖父がこの家で頂点だと分かれば…

母の注意も聞かずバカにしだす。

祖父に告げ口して叱ってもらう。

叔母から祖母が我が子に長男に祖父に命令されて土下座させられているのを見たと聞いた。

我が子が愛せなくなってしまった?

もしかすると祖母はわざと我が子同士で殺し合わすために遺書を書いたのかも…と。


田舎の旧家には、昔から良くある話らしい。

祖父が家長として権限を持ちすぎると、孫を可愛がりすぎて

母子や父子の関係が希薄になり、やがて憎しみ合うようになると。

祖父に可愛がられ、わずか3歳で天皇となった崇徳天皇。

天皇の座を息子に譲らされた父鳥羽上皇は、当時まだ20代の若者だった。


ふと、忙しい両親に代わり育ててくれた優しい祖母が、息子達には全く目も合わさなかったし話しかける姿も見なかったのを思い出した。

結局、息子達は殺し合い死んだ…

「鳥羽上皇は、息子達が殺し合うように仕組んだのか?まさかな?」

思わず優しかった祖母が、恐ろしい般若のように感じて背筋が寒くなる。


崇徳天皇の母は三男坊を稚児のうちに仏門に入れ離れて暮らしたらしい。

本当は手元に置きたかったろうに。

だが、未来に恐ろしい惨劇が、この家で起こることに気付いていたのかもしれない。

「まあ、叔父さん達が全滅してくれたお陰で僕はやっと再生者の呪いから解放されたんだけどね♪」

有間が1人ほくそ笑んだ。


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