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京都事変  作者: たま
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偏向報道

崇徳天皇の寝殿では、保元の乱で共に戦い死んでいった武者達も各々自由に過ごしている。

貴人と飲み語らう以外は、鍛錬に励んでいる。

もう戦うことは無いのに…

その中で源氏や平家の武者に混じりイマイチ下手で目立つ武者がいた。

少しつまらなそうにしてるので、市子が声を掛けた。

「退屈ですか?」

「あっ、いや、私は武者ではないので、どちらかと言えば苦手です。」

勉強ができる市子はピンときた。

「もしかして藤原家の方?」

「そうです!摂政家として崇徳天皇の元に馳せ参じましたが、なぜか娘を中宮に出しておきながら兄が寝返り

私は切り捨てられました。」すごく悔しそうだ。

「それはツラい思いをされましたね〜」

市子は、自分と似た境遇に同情する。

「本当は家督は私に継がそうと父は決めておりました。しかし、近衛天皇の崩御に際して呪詛をしたなどと噂を立てられて…弱った父が兄しか選べなくなりました。

あれは、絶対兄の陰謀なのです!」

「まあ…」聞けば聞くほど気の毒な話だ。

「私は兄は絶対崇徳天皇側に付くものと思って従ったのに、前日屋敷に兵を従えて行ったらもぬけの殻!

兄は、源氏と平家からも引き抜き従え後白河天皇側に寝返りました。」ガクッと膝をつく。

「まあ…ひどい話ですね〜」市子はビックリする。

そこまで卑怯な手を使うとは!

人の道に外れてるだろうと!

「お陰で体制を整える前に襲われ討ち死にました。」

自分の仲間を確認してないと戦う事も出来ない。

直前での寝返りは、戦わずして勝つ最も有効な手段

だが、後世まで恥知らずな行為だ。

市子は眉をひそめる。

「だから、崇徳天皇は藤原五摂家を皆殺しにされたのですね?」

「はい、兄の血筋の者を殺して下さって…やっと私も浮かばれます。」藤原頼長は涙を拭った。

歴史には、そんな話は残されてない。

当たり前だ。そんな話を勝ち組が残しておく訳が無い!

あくまで対戦形式で反目があったように後世には残す。

勝ったら偏向報道などやりたい放題だ。

弟を跡目直前で陥れた摂政家がまともに戦う理由は無いのに…

怨霊の噂が立つ時は、そこに報道できない卑怯な戦略があり人々はお上に逆らえない分を霊に託すのだ。

後白河天皇崩御、いや明治に入るまで京都に崇徳天皇の天満宮を作れなかったのは、どれだけ語れぬ卑怯なやり口で勝ったか?

藤原家が関わったか?

それを表わすのに…


残された史書で歴史を語る学者の愚かしさよ…

歴史こそミステリー。推理力と言葉の裏とプロファイルの先に真実があるのだ。



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