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京都事変  作者: たま
24/60

覚醒

「櫛と香炉だな、多分」有間が解説する。

もうボロボロでほぼ原型を留めていなかったが、欠けた部分を想像するとそうらしい。

透明な袋で密閉されケースに仕舞われていた。

奈良公園内と言う特殊な環境のため春日大社の原始林に逃げ込んだおかげで逃げるのに成功した。

追手は奈良の人間ではなかったのだろう。

お水取りや万灯会や成人式と春日大社近くは、地元の人間は夜も歩く事が多いので慣れているのだが。

奈良町の宿に戻り翌朝京都に戻ってきた。

「その博物館の団体が気になるな。何者だ…」

有間が首をひねる。

「ぶつかった奴の霊体からは、追えなかった。

彼らも誰かに指示されただけで、なぜそれを持ち出すのか?

分かってないみたいだ。」アキラも眉間にシワを寄せてる。

「組織と言う事ね。調べる人、持ち出す人、命令する人…全部バラバラなんだと思う。」ヒミコが解説する。

「なんかさあ〜ヒミコ、奈良行ってから冴えてない?」見波が不思議そうに聞く。

「うん、また変な夢見てからさあ〜覚醒した感じ?」

ヒミコが得意げに鼻を鳴らす。

「また見たの?やっぱりアキラのせいかな?」有間の言葉にアキラがギクッとした顔をする。


「今回はメンバー増えましたよ。

細面の色白のイケオジ出てきました。何十人と言う役人と同時に話してましたよ、全部頭に入るみたい!

私と遊んでた従兄弟のお父さんみたい。」ヒミコが夢を説明する。

「あ〜それは聖徳太子だわ!」有間が腕組んで即答する。

「やっぱり!そんな気はしたんですよ〜

途中からゴツいオッサン出てきて、我が息子〜とか抱っこされたし。」ヒミコがちょっと嫌そうに話す。

「蝦夷かあ〜

物部との戦いでは活躍したんだけどね〜政治家は向いてなかったみたい。」

「前回の気持ちの悪いオヤジを引っ叩いてましたからね〜人前で」ヒミコもヤバイなって顔をする。

「自尊心を傷付ける行為は恨まれるからなあ〜

鎌足が後々思い切った判断したのは、蝦夷とかなりこじれてたんだろな。」

有間が話す。

「蘇我氏も1枚岩では無かったからね。

蝦夷が兄弟と仲悪かったのは有名だし。

入鹿を偏愛して弟達も蚊帳の外だったみたいだ。

弟達はどうも中大兄皇子と中臣鎌足側に付いたみたいだしね。」

「そうなんですか?!」見波もヒミコも驚く。

「そうだよ〜蝦夷と入鹿以外は大化の改新後も重用されてた。

中大兄皇子と藤原不比等の奥さんは、両方弟の倉麻呂の娘だ。」

「ええ〜っ、それって!」3人共驚く。

「まあ、良くある話しなんだけど、事を丸く収めるには大事なんだよ。

蘇我氏のお家騒動みたいなもんだね。兄と甥っ子を売ったと言うかあ…」有間がちょっと苦虫みたいな顔になる。

「無理すんなよ、有間」アキラが心配する。

「まあ、だから蘇我氏は結局天皇家と藤原氏に吸収されていったんだ。

あっ、後の持統天皇はその倉麻呂の娘の子だよ!

とにかく利発で気が強くてね…」とヒミコを見る。

「なんですか?」「いや、隔世遺伝かなって」有間が下を向いて独り言みたいに呟いた。

「じゃあ、藤原家って蘇我氏と中臣家のミックスみたいなもんなんですね〜」見波が言う。

「そうそう、徳川家も色んな敵対した武将から嫁貰ってたしね。早く平和にする近道なんだよ。」

有間がしたり顔でうなづいた。


「あっ、でも覚醒したのはその後の藤原家の後継者争いかな?」ヒミコが鬱っぽい顔になる。

「あ〜っ、それ噂で聞いたことある!」有間も眉間にシワが寄る。

「何?どんな夢見たの?」見波が心配そうにヒミコを見る。

「中臣鎌足らしい人が、不比等と他の子供で殺し合いさせて負けた弟達の奥さんも子供もその場で皆斬り殺したんだよ…」

皆、息を飲んで黙ってしまった。

「何、それ?」

見波が特に拒絶反応強かったのか?

本気で怒ってる。

「仕方ないんだよ。鎌足はそこまで腹括って摂政になる夢を叶えたんだよ…」

有間が本当に悲しそうに話す。

「あっ、鎌足さん、本当に聖徳太子に憧れて一緒に政治したくてキラキラしてた!

そう言えば!」ヒミコが思い出す。

「自分が蝦夷の弟達を抱き込んで大化の改新を成功させたからね。

また次の世代に我が子は1人で良い。兄弟は残せなかったんだ。自分と同じ事する奴に抱き込まれたら藤原氏が滅ぶから。

だから、皆結婚して妻や子供が出来た段階で決闘で決めたらしいと…噂で。

藤原家から大量の亡骸が運び出されたと…」有間も言葉をにごす。


「つまり、それが藤原氏の力の源なんだな。

そりゃ、山背大兄王や蘇我入鹿みたいな甘ちゃんじゃ太刀打ちできないわ!ハッ!」アキラが足でダイニングの椅子を蹴った。

胸糞が悪くなるような話しだった。

「あれ見て、父が自殺した頃思い出して。

父は行政と銀行に殺されたようなもんだし…

世界中が敵だった頃、思い出しましたよ!

この頃、ちょっとモチベ落ちてたの復活したわ!」

ヒミコは反対にキラキラとしだした。


「やっぱり蘇我の女なんだね〜ヒミコくんは。

持統天皇も血縁の血の海の中ほど、冴え冴えとしてたからね〜」有間がため息をついた。

「もう、やだ〜!本当に有間さんは見てたみたいに話すから〜♪」ヒミコが笑った。



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