深夜
東大寺から遠くない奈良町に宿を取った。
部屋は二間あり片方にアキラと見波。
もう一間にヒミコの布団を敷いてあった。
「絶対入ってこないで!って言ったでしょ?」
携帯をのぞき見られてヒミコは文句を言う。
「お前がコソコソしてるのが悪いんだ!」
「コメント欄はちゃんと見とかないと!前の反省があるから仕方ないでしょ!」2人はテーブルのごちそうを挟んで睨み合う。
「まあまあ、すごい美味しそうだよ〜食べよ、ねっ?」見波が2人をとりなす。
食べながら、ふと気になった事をアキラに聞く。
「ココから電車で有間さんやアキラの実家そんなに遠くないって聞いたけど、
なんで宿にしたの?」
アキラがムシャムシャ食べながら、「探し物があるんだよ。それは、この近くにあるんだ。」と答えた。
「さっき聞いてた博物館なの?」ヒミコも聞く。
「まっ、分からんが、見つかるまで探すさ!」
アキラは食べるのに忙しそうだ。
「明日探すとしても、どうするの?展示してる訳ないし。保管されてるんじゃない?」ヒミコは、
全然具体的に話さないでスタスタ動くアキラに不信感を抱いてる。
「まあ〜じゃ、明日詳しく話すよ。
今夜はとにかく明日に備えて風呂入って寝ようぜ!」
「…」ヒミコはなんか引っかかるものを感じながらご馳走を食べた。
夜また夢を見た。
有間に言われたので古代なんだと意識していた。
色白で背が高いイケオジが沢山の役人に囲まれながら
政治の話をしている。
ヒミコは小さなあの従兄弟と部屋の外から様子を見てる。
もっと小さい時の記憶のようだ。
前回の不気味なおじさんもまだ若い時みたいだ。
役人の中に混じり、色白なイケオジと政治の話をしている。
目がキラキラしている。
あのすれ違った時の淀んだ鬱屈した様子はまだ無い。
そこにガタイの良い武骨な男がのしのしと入ってくる。
ヒミコの頭をクシャクシャと撫でながら、
「その年で政治の話が分かるのか?
やはり、お前は頭が良いなあ〜」と大声で笑う。
そして、ヒミコと従兄弟を抱き上げ部屋の真ん中へ
のしのしと入っていった。
「蘇我の者以外は出て行って貰いたい!
政治は蘇我の仕事だ!」
「私は広く意見を求めたい。落ち度がない政策を立てるためにも役人皆の意見が聞きたいんだ。」
イケオジが反論する。
あの不気味なおじさんも「私達も役人です。意見を求められれば太子とお話ししたいです!」
まるで太子を守るようにヒミコを抱き上げた男の前に立ちはだかる。
「ハッ、中臣か?お前が政治などと片腹痛いわ!
亀の甲羅で吉兆占いしか出来んくせに!」鼻で笑う。
「父はそうだが、私は太子様の仏教を中心に据えた律令国家の創案に賛成なんだ!
一緒に国創りがしたいんだ!」目がキラキラしてる。
振り向き太子を見る目が憧れと希望でいっぱいだ。
「太子の跡を継ぐのは、我が子入鹿だ!
山背大兄王を天皇に据えて摂政として国造りするのは
我が子蘇我入鹿なのだ!」
そう言うと従兄弟の皇子を太子に預け、入鹿を担いだまま中臣の頬を思いっきり叩いた。
「さあ、出てけ!蘇我以外、太子に近づくな!」
ビンタされ床に倒れた中臣がすごい顔で入鹿をにらんでる。




