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京都事変  作者: たま
20/60

憧れ

宿に着くとヒミコはショートだが配信を2.3日休むのでコメ欄などを

久々チェックしてた。

前に失敗したので必ず見るようにしてる。

だいたいハンドルネーム仮名なのだが、年配者はたまにフルネームもいる。

その中に近衛吉良なる名前が…

「あれ?この人もしかして近衛家のおじいちゃん?」

どうしてヒミコの動画に?

「もしかしたら九条家の事件で?

でも市子が消えてるから、私の動画が利用された事しかわからないはず…」理由が分からない。

コメントを見ると、可愛いとか他愛もない。

「???」

いつからだろう?と調べたら、やはり近衛家が絶滅した頃だ。

近衛家の絶滅ストーリーは市子だろうなと予想は着くが、存在が消えてる。

「なぜ?この人は私に接近してるんだ?」


「どうした?」アキラが後ろから覗いてる。

「やめてよ!もう」ヒミコが画面を隠した。

「お前さあ〜狙われてるんだから、動画とかヤメてくんない?何回も言うが。」

アキラがため息まじりに言う。

「分かってるわよ!だから、場所が特定されるような背景は出してないし、外では撮らないし、部屋は白背景だし、基本に戻ってメイクとファッションとダンスと歌しかやってないし!」

ヒミコが反論する。

分かってるが、何か入鹿の言葉が気になるのだ。

『好きな事を続けろ!』

好きか嫌いかで始めた訳じゃないが。

お金儲けだが、それだけなのか?と聞かれると違う気がする。

まだ分からないが、何か辞める気にもならないのだ。


リサーチスタッフを組んで亡くなった親族の携帯履歴も申し訳ないが調べあげた。

九条公彦がかなりこのヒミコと言う女に熱をあげてたのが分かった。

そして、その後に九条家の悲劇が始まった。

二条家の娘も好きだったようでかなり課金してるのも分かった。

近衛吉良の孫もかなり見ていた。

藤原家の若い孫世代は、ヒミコを必ず見ていた。

なぜだ?

親族の携帯で共通点があったのはヒミコだけだった。

それから近衛吉良は、ヒミコの動画を見るようになった。

気づけば自分ものめり込んでるのが分かった。

「なぜだ?若い娘がありきたりな事を言い、ありきたりな行動をしているだけなのに?」

いつの間にかコメントまでしてる自分に驚く。

「孫達は、ヒミコに憧れていた。わしでも分かる。

なんだ?この感情は?

嫉妬憧れ羨望?」

近衛吉良は戸惑っていた。

孫が日本に帰り挨拶に来た時、「将来何に成りたいんだ?」と聞いたら「動画配信者♪」と言ってたのを思い出した。

「今なら、その気持ちが分からないでもない。

自分の言葉で自分の気持ちを世界中に発信するのだ。

間に人は介さない。

自分の気持ちを届けられるのだ。」

自慢じゃないが近衛吉良は権力を持った人間だ。

誰もが頭を下げて吉良の言う事命令を聞く。

だが、その心根は分からない。

本当の所、ワシをどう思っているのか?

いや、ワシはそんなものに興味はない!部下の気持ちなど…取るに足らない!

だが、心からワシの考えや意見に賛同されたなら…

それは何と心地良い事だろう…

「もしかすると、これは大きな転換期なのかもなあ〜」

息子が海外の仕事に就き、孫はネットへ。

常に日本の権力の中枢を暗躍した藤原氏が無意味になっていった。

そしてその孫達が好きなネットの中には、この娘が居た。


権力とはまた違うカテゴリーで、光り輝く娘。

孫達はそれに憧れていた。

ふとデジャブを感じる。

昔々、藤原氏もその光り輝く誰かに憧れて始まっていなかったか?

部下を呼ぶ。

「この配信者を特定し探れ。」

「通信会社などに手を回しますが、何かあるんですか?」部下は訝しげな顔をする。

「九条家の崩壊に関わった動画はすでに本人によって

削除されています。

それに加工したのは外部のものだと。自殺された九条厳正様の息子さんも

訴えを取り下げましたが?」

終わった案件だと言わんばかりの様子だ。

権力を手に入れても、結局はああしろこうしろと言われながら

自分の考えとの折衷案を見つけていかなければいけない。

「孫達の通信の共通点がこの女なのだ。

何者なのか?特定したい。」結局こういう話を伝えなければならない。

「はい、了解しました。」部下は引き下がった。

機材をイジりながら動画の中で好き勝手にやってる娘が羨ましい。

そして直接語りかける、世界へ向けて。

「息子は世界へ。孫はネットで全世界へ。

誰もワシには憧れないはずだ。」ため息混じりに苦笑した。



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