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京都事変  作者: たま
15/60

「諦めて寝ろ」アキラに促され仕方なくベッドに入った。

2人共疲れていたのかあっという間に寝てしまった。

仕方ない、人の死に目に2度も遭遇したのだから…

その夜、不思議な夢を見た。

ヒミコは若い男で従兄弟らしい少年と仲良くサッカーをしている。

遊び終わって長い回廊を2人で歩いていると初老だが位の低い男がヒミコと少年に頭を下げる。

軽く会釈するとその男が低い声で

「お前の全てを奪ってやる。」と囁いた。

気付くと辺りは真っ暗で手に持っていたボールが転がる。

追って拾うとそれは従兄弟の頭でヒミコは悲鳴をあげる。

後ろで高笑いする男の声が聞こえた。


告別式の朝

「最悪な夢だったわ〜」ヒミコはぐったり。

「俺は身体中痛い…もう絶対お前と寝ない!」アキラがさも被害者のように非難してきた。

「当たり前だ!」ヒミコは顔面パンチを入れた。


「ただいま〜帰りました〜」2人はグッタリしながら下宿に帰宅した。

「えっ、もう良いの?お母さん大丈夫なの?」有間が心配する。

「いや、もうお葬式と言うより同窓会みたいになっちゃって!

母の幼馴染が学生時代の仲間に声かけちゃって!

火葬終ったら、そのまま居酒屋行っちゃいましたよ〜ハハッ」

アキラもヒミコも皆に触られてボロボロだ。

「お年寄りの葬儀は意外に和やかだからね〜

ご夫婦で一緒に逝けるのは仲良し夫婦には幸せかもね〜」

塩をたっぷり掛けられてお清めされた。


見波の顔を見ると話す気は無かったが、今朝の夢の話しがしたくなった。

浄化されたかったのかも?

それぐらい年配の男の笑い声が禍々しかった。

「それは気持ち悪かったね〜アキラと雑魚寝は夢見が悪いのか…」ちょっとアキラに気を使いながら見波が同情してくれた。

有間はヒミコとアキラの顔を交互に見ながら、

「上下関係がある世界って、昔かもね〜

どんな服装だった?」と聞く。

「すごい昔な気がします。私と少年も従兄弟だけど

部下みたいで敬語で少年に話してたし…

その不気味なおじちゃんも敬語だったし…」

夢だからかなり記憶があやふやだがヒミコは断片的に記憶を探る。

「その人多分、中臣鎌足(なかとみのかまたり)だよ。

でヒミコ君は蘇我入鹿そがのいるか)、その少年は山背大兄王(やましろのおおえのおうじ)じゃないかなあ〜?」

有間が微笑みを浮かべながら淡々とすごい事を言う。

ガタンと音がしてアキラがスネを打った。

「イテテテテテ〜ッ!クソッ」


「もう、有間さんたら〜♪

いくら歴史学者だからって〜」あまりに突拍子なくてヒミコは笑う。

「そう?偶然だけどヒミコくんのお父さんは蘇我入鹿だろ?

住んでたのも暗峠なんだろ、元は?

蘇我氏の残党の子孫かもよ?」有間が冗談半分に言う。

「ああ〜そういう事ですか!蘇我って名前は村全員同じでしたね、確かに。

でも、山背大兄王は?」ヒミコが尋ねる。

「ゲホゲホッ!」アキラがなぜか落ち着かない、今度はむせてる。

「アキラの不思議な力は、山背大兄王に起因してると

昔霊媒師に言われた事あるんだよ〜☆」嘘である。

有間は嬉々として方便をかます。

「だから2人で寝たら、そんな共通の記憶が蘇ったんじゃない?」


「大化の改新なんて勝者の改ざんだからね。

アレがなかったら、先の功労者の聖徳太子の息子の山背大兄王が天皇になって〜

従兄弟の蘇我入鹿が摂政になってたんだよ。」有間が教科書と違う話をする。

「えっ、蘇我入鹿が山背大兄王を殺したのじゃ?

そう習いましたよ!」見波も驚く。

「だって聖徳太子の奥さんは蘇我蝦夷の妹だよ。

山背大兄王と蘇我入鹿は従兄弟同士だよ。

だいたい聖徳太子は蘇我氏の人だよ。」

「エエエエエエエ〜ッ!!!!」皆ビックリする!

「あれ?知らない?聖徳太子は若い時は物部氏を蘇我蝦夷と一緒に打ち倒したんだよ。」

「そんなの習ってない…」

「教えない方が都合が良い事は教えないよ…」有間がにごす。

「父の弟を天皇にして聖徳太子は天皇にならなかったのは、自由に動ける立場で居たかったため。

が叔父が亡くなってしまったので、叔母の推古天皇を擁立したんだよ。ちょうど父の前の天皇の奥さんだったしね。が、それがアダになった…」

「先先々王の孫や曾孫達が勢いづいてしまったんだよ。

推古天皇ではなく先先々王の他の妃との子孫だから蘇我の血が薄い。

多分中臣鎌足は、その頃から動き出してた。

推古天皇・聖徳太子が亡くなると急に次の天皇の席が空いてしまった。

山背大兄王はまだ幼い。

そこで蘇我の影響があまりない先先々王の孫を擁立したんだ。

実勢は蘇我氏が握ってる。

つまり山背大兄王が成長するまでの繋ぎは誰でも良かったんだよ。

中臣鎌足は、傀儡の天皇の子の中から行動力のある皇子をそそのかした…」

見波もヒミコも固唾を飲んで、教科書には載ってない話を聞く。

中臣鎌足は実際はかなり年寄りだった。

中大兄皇子と話が合うような年齢では無かった。

すでに息子の藤原不比等が暗躍していたのだろう。

藤原不比等は終生表舞台には立たなかった。

闇から闇へ暗躍した。

中大兄皇子が天皇となり思い通りに動かなくなると娘の持統天皇へと乗り換え天皇を消した。

自宅の庭で失踪したらしい。


「ヒミコくんが夢で見たのは中臣鎌足だろう。老獪な政治家だ。

若い蘇我入鹿や山背大兄王では太刀打ちできなかった。」

「えっ、でも入鹿が聖徳太子一族を皆殺しにしたって!」見波が教科書の話をする。

「聖徳太子は蘇我氏だよ。それを神格化することで

蘇我氏と切り離し歴史を改変したんだろ。

山背大兄王子を殺したから入鹿を成敗したんじゃない。

入鹿を成敗して山背大兄王子を殺したのさ。」

「!!!!」そんなトリックが成り立つのか?

3人は有間の説に驚く。

「中臣鎌足が何年も掛けて根回ししていたんだろ。

聖徳太子を神聖化して、蘇我氏を対立関係にあるように歴史を改変した。

中大兄皇子はただの傀儡だよ。本当の王は藤原氏だ。」

そう話しながら、有間は過去に思い馳せた。

聖徳太子の再来と噂され中大兄皇子と藤原不比等に目をつけられた過去を。







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