盛者必衰
アキラとヒミコを送り出した後、有間は居間でテレビを見ながら今日白峯神宮で起きた話を見波から聞いた。
二条家の娘さんと偶然会ったが、目の前で事故に遭ったと…
「結婚して姓変わってもダメなのかなあ〜?」見波が涙ぐんでる。
「怨霊の気持ち1つだろうね〜法則性がある訳じゃないんだろね。」
テレビでは、九条家の妾腹の娘が九条コンツェルンを
引き継ぐ事になったが、会社のパーキングで射殺されていたと。
稲穂会の仕業だと。
施設に入ってた祖母が事情聴取されることになったらしい。
九条家の血より自分の血が入ってない者に継がれるのが我慢ならなかったのか?
九条公彦のヤリサーを見過ごしていた結末が、九条家の崩壊に繋がったとコメンテーターはしたり顔で話していた。
二条家の娘は名前が変わっていた事で反対に目立たず、まだ藤原五摂家だとマスコミは気付いてないみたいだ。
「後は、近衛家のみかあ〜
僕は中大兄皇子の摂政・藤原不比等の計略にハメられて処刑されたからね〜
やっと藤原氏が絶えたと思うとホッとする部分はあるね〜申し訳ないが。」
有間は複雑な顔をしてる。
「そうか!有間さんは藤原氏が蘇我氏から摂政の地位を奪った頃の人なんですよね?
やっと1300年で終わるのかあ〜そう思うと、その蘇我市子さん?が崇徳天皇と組んで藤原氏を滅ぼしてるのも
なんか不思議な縁ですね。」
鼻水を啜りながら見波が気付く。
「そうだね〜」見波は市子の父が蘇我入鹿の再生者だとは知らない。
市子は父の復讐を果たした事になる。
市子が存在していれば…の話だが。
『僕や入鹿さん、山背兄さんも再生を繰りかえしたのは〜
もしかしたら…藤原氏があるから?
もし藤原氏が滅びたら、僕らも再生しないのかも?』
あらぬ予想を考えるが、儚い願望かもなあ〜とも思う。
近衛家は東京に住んでいる。
もう子も孫も海外だ。
東京の最長老・近衛吉良は、二条家や九条家とも連絡を取っていた。
もう両者とも奥方しか残ってなかったが…
二条家はガンで入院。九条家はもう歩けないが、
頭はしゃんとしてる。
鷹司家の忘れ形見の1人娘を九条家に嫁入りさせたのも近衛吉良だった。
「九条の奥方は、妾腹の娘が引き継ぐのが許せなかったみたいだなあ〜1番父親の厳正に似てたのに、残念だ。」
藤原五摂家ももう家じまいを各々考えていた。
特に二条家は自分も先が長くないので嫁がせて良かったと安堵してたのに。
九条家は祖父の九条厳正が貿易の才があり会社を大きくしてしまったが、
やはり子供は1人しか生まれない。
どの家も子も孫も1人…
九条厳正は長く続く藤原氏として責任を感じて、
妾に産ませていたのだが。
九条家に嫁がせた鷹司家の娘が3人も生んでるのがイレギュラーだったのだ。だからすぐに調べたのだろうなあ〜厳正の息子は。
そしてやはり我が子では無かった。
が長男が居る限りは表沙汰にする気は無かったのだろう。
が殺されてしまった。
妾でも作れば良かったのに…昭和の男の発想か?
「やはり言い伝えは本当だったのかもしれない。」子供の頃の大人達の話を思い出す。
宮内庁の要職をまだ五摂家は担っていて、顔を合わせれば怯えていた。
『いつの日か崇徳天皇が我々を滅ぼすと。』
「その時がとうとう来たのかもなあ〜」そう言って
深く背もたれに身を預けた。




