策略
下宿に戻ると有間にすぐ実家に戻るように言われた。
祖父と祖母が突然亡くなったと。
急いでタクシーを呼んだ。
アキラを置いて1人で出ようとしたが、アキラがギリギリで飛び乗ってきた。
「大丈夫だよ!流石にこれは市子じゃないよ…」
言いながら断定もできない。
「さっきの事故、お前も狙われてたの分からないか?いや、お前を殺す巻き添えかもしれないぞ?」
アキラが1番恐れてる事を言う。
「聞きたくない!」思わず耳をふさぐ。
「あの状況なら必ずお前が飛び出して来ると読まれてたんだ。
その為に殺した…」「いや!聞きたくない!」
「今もお前が下宿から飛び出して実家戻るのを読まれてるんだ。
母親が心配で。家族思いなお前の性格計算してんだ。」
アキラが聞きたくない言葉を並べる。
「お願い!何も言わないで!
聞きたくないの!市子がここまでするなんて!
思いたくないのよ〜」
ヒミコがタクシーの後部座席で赤子のように丸まってる。
「いいか、油断するな!
怨霊は心を攻撃してくるんだ!後白河天皇もことごとく愛する者を奪われた。
弱った心は入り込みやすいからな。
心を強くもて!絶対ソレを受け入れるな!
キバをとげ!戦うんだ!」
そう言いながらヒミコを抱き締めた。
「おじいちゃん〜おばあちゃん〜ゴメンね〜ゴメンね〜」と赤子のように泣いた。
ずっとヒミコ家族を心配し優しく見守っていてくれた。
あんな優しいおじいちゃんおばあちゃんを!
私を弱らすためだけに!
そんなつまらない事のために!
許さない!絶対、地獄へ叩き落とす!
そして、おじいちゃんおばあちゃんに謝らせてやる!
ギリギリと奥歯を噛み締めた。
「あまり事故が続くと不自然だな。近衛家は疫病にしょう。
息子や娘らが留学してるので話が早い。」
崇徳天皇はまるでカルタ遊びするように手札を決め
呪文で現れた人型に置いてゆく。
姉の人型の上に置いた札はなぜかはじかれる。
「そばに術師が居るな。何度置いても祓われる。
…これはむずかしいな。
何とか術師と離せないものか?」市子に相談する。
少し考えて、「実家で事があれば姉はすぐ帰ってくると思います。」と提案する。
「そうか?では、母君も病に…」帝が札を置こうとすると市子が止める。
「それではダメです。アキラくんと離れません。
母を孤立させれば、姉はすぐ自宅に戻ると思います。」
市子が提案する。
「おおっ、そなたは頭が良いなあ〜
そなたのような女御があの時おれば、何か変わったかもなあ〜」帝に褒められて市子は無上の喜びを感じる。
「では…」と帝は祖母と祖父に死の札を置いた。
「あっ…」一瞬、心が痛んだが、もうココに居ると京都の事が現実では無いように感じる。
「十分長生きされた。痛みも苦しみもないようにしておいた。
これで母君は一人になる。そなたの姉は気ががりであろうな。ホッホッホ」
泉の眼下に広がる京都の街並み。
まるでジオラマのようだ。
そんな世界の事、どうでも良いような気がする。




