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メイドのフラン






「はっ!!」

 目が覚めると目の前が黒かった。また、別の並行世界に行ったかと思ったが、横を見ると屋上の柵があったため、元の世界に帰ってきたらしい。

 なら、何故黒かったのか。少し思考しているとその答えがわかった。


「お疲れ様です。体が火照っていましたけど大丈夫でしたか?」

 優しく包み込むような声が聞こえる。


「大丈夫だよ。フランだね、おはよ」


「おはようございますレイ様」

 彼女は僕のお城に仕えるメイドのフラン。

 少し薄めな紫色の髪を靡かせた、ポニーテールの女の子。

 顔は可愛いというよりも綺麗系、学校で男子からかなりモテている。


「ありがとフラン」

 僕が別の世界に行っている間膝枕をしてくれていた。起きた時に目の前が黒かったのはフランの着ていた黒のカーディガン。胸が大きいから、ちょうど僕の顔を空から隠せていた。たぶんEカップぐらいありそう。それに、体も引き締まっていてスタイルはかなりいい。


「どうかしました?」


「なんでもないよ」

 あんまり話せないような少しやましいことを考えていたため、慌てて返事をした。


「それよりさ、いつぐらいからここにいたの?」

 起きあがって、ベンチに座ったまま問いかけた。


「そうですね、レイ様が屋上に入った時から近くにはいましたよ」

 淡々と当然のように言う。


「え、そんなずっといたの?」


「はい。レイ様のことは教室にいる時監視していますから」

 当たり前ですよ?と言うような表情をしている。


「そっか」

 フランは人気者でいつも周りに人がいるイメージだけど、僕がどこにいるか完璧に把握しているのか。

 でもそれってストーカー・・・。


「レイ様それよりも聞きたいことがあります」

 話題を変え聞いてくる。


「うん」


「今回もやはり大変でしたか?」

 フランは唯一僕の能力について知っている。だから、僕が今まで寝ているように見えて並行世界に何度か行ったことも把握している。


「かなり大変だった」


「今までの5回に比べてどうでした?」

 顔を少し傾けて聞いてくる。


「炎のマグマだらけの世界とか、自分が女だった世界とか、思いだしたくもないけど自分が虫だった世界とか、たくさん大変な思いをしたけど、今回の世界が1番大変・・・、というよりも1番辛かった」


「何故です?」


「今回が一番この世界に近かったから」


「近かった?」

 不思議そうな顔で言う。

 確かにどういう意味かわからないかも。


「うん。この世界を少し変えた感じ」

 今までの並行世界とは違い大体一緒。

 けど違うのは関係性。


「それで何故今までで1番辛かったんですか?」

 心配そうな顔で聞いてくる。


「ニーナと・・・」


「ニーナと?」

 なかなか言葉が出ない。

 あまり思い出したくもないことだからだろうか。


「婚約者じゃなかった」


「え、そんなの・・・、大変でしたね。よく頑張りました」

 驚いた表情のフラン。だけどその後は僕の複雑な気持ちを察してくれて、それ以上特に深く聞いてくることはなかった。

 そして軽く頭を撫でてくれた。


「授業に出た方がよろしいかと?」

 少し慌てて聞いてくる。


「今日はいいやー。なんていうかいろいろ考えたいことあるし」

 ニーナのことについて、ナルカ、シュルテンのことについてニーナと直接会うまでに考えたい。

 フランには悪いけど、今日は授業をサボる。

 家に帰ったら何か言われるかもしれないけど、いつものことだし、気にしない。


「フランは授業出てきていいよ」

 クラスの人気者っていうだけでなく、真面目で品行方正というのも評判の良さの一つだ。

 だから、あまり迷惑をかけたくない。

 授業に行ってほしい。


「そうですか。なら、私もサボります」


「え?なんで?」


「どうせサボるなら、1人よりも2人の方が良くないですか?」

 想定していなかった答えに驚いた。


「いや、ちょっと待ってよ。フラン、何言ってるかわかってるの?」

 絵に描いたような優等生がサボりなんて、していいことではない。


「はい。私は今日レイ様とサボります」

 本気と書いてあるような目をしている。


「そんなこと言っても、授業とかサボったことないでしょ?」


「そうですね。だから、レイ様が教えてください」

 少し微笑む。


「何を?」


「学校のサボり方っていうのを」

 普段はクールなフランが、テンション高く元気に言ってくる。

 これは、本気だ。

 僕には止めれない気がする。


「一応言っておくけど、僕を授業に出させるために言ってるなら無駄だよ?僕が唯一しようと思ったことを変えるイレギュラーはニーナだけだから」

 もしかしたら、僕がフランのことを心配してサボるのをやめるというアイデアかもしれない。

 そうだとしても、その手には乗らない。


「もちろん、存じていますよ。だから、授業に出ろなんて言いません」

 もう引き下がらなそうだ。

 これは何を言っても無駄だ。


「わかった。なら一緒にサボろっか」

 諦めた。


「はい!!」

 こんな高い声を出すフランは初めてだ。


「けど、サボりって言っても昼寝だよ。ただ寝るだけ」


「なるほど、了解しました」

 そう言って隣にいるフランは目を瞑った。

 静かに寝息を立てて、気持ちよさそう顔をしている。


「(フランってこんなにまつ毛長いんだなー)」

 あんまり、顔をジロジロと見たことがなかったため、その容姿の綺麗さに少し驚いた。


「(ニーナについて1人で考えたいんだけどな)」

 そんな思いとは裏腹に彼女は昼寝をして僕の隣にいる。

 フランは学年1.2を争う美女。

 こんなところをフランのことが好きな男子に見られたら大変だ。たぶん殺される。


「(めんどくさいことになったなー)」

 サボるって言った手前起こせないし、かと言って授業にも出たくない。けど、一緒にここで寝ていたことがバレたらたくさんの男子に恨まれる。

 しばらく考えたけど、考えるのがめんどくさくなり、このまま寝ようと思った。

 そんな時、肩に小さな衝撃が走った。


「フラン?」

 小動物のような小さな重みが肩に掛かった。

 小さい顔だけど体温が少しずつ伝わってくる。


「もう寝たの?」

 問いかけても返事がない。

 睡眠の質がかなり高いのか、それともただ疲れていただけなのか、彼女はもう夢の中に入っているみたいだ。

 

「少しだけ眠るか」

 肩に温もりを感じながらそっと瞼を閉じた。















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