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結婚の理由







「それでさ、この後どうしよっか?」


「私はレイ様に任せます」 

 とりあえず、ニーナに今日いつ会えるか連絡した。

 それまで、考えることはなくなったし、昼寝も終わり授業に出てもいいんだが・・・。

 やっぱり、今日はもう授業に出たくなくなった。


「レイ様!!」

 突然大きい声を出した。


「どうしたの?」


「私サボったことないって言ったじゃないですか?」

 テンション高めに言ってくるフラン。


「うん、言ったね」


「だから昼寝以外のサボり方を教えて欲しいです」

 目を輝かせて言われた。

 そんなことをまさかフランに言われるなんて思ってもみなかった。


「そうだね。サボりって言うなら、ゲーセンとかボーリングとか?」

 ゲーセンやボーリングは大好きな場所だ。


「ゲーセンとボーリング!!!」

 さっきよりも目を輝かせて言われた。

 僕が大好きな場所を楽しみそうに言ってくれるのは嬉しい。


「行ってみたい?」


「はい!今まで、行ってみたいけどいったことなかったんです!!」

 想像以上のテンションの高さは行ったことがなかったからだった。

 行ったことがないのは意外だなと思ったけど、女子高生ならあんまりそういうところは行かないものなのか。


「放課後とか、友達と遊ぶ時、どういうところ行ってたの?」

 少し気になり聞いてみる。

 

「そうですね。カラオケとか、カフェとか。あとはスイーツ食べに行ったりしてましたね」

 スイーツ。

 凄く女子っていう感じだ。

 ニーナとのデートでも何回かそういうところに行ったけど、やっぱりカラオケやカフェとは違って女の子ばっかで、少し気まずかった。


「カラオケとかカフェなら行くけど、スイーツはあんまり食べに行ったりしないな」


「なら、今度一緒に食べに行きませんか?オススメのところあるんです」

 スイーツの話ということでまた一段階彼女のギアがあがる。

 返答をどうしようかと思ったけど、スイーツは美味しいし別に断る理由はない。


「うん。行ってみたい」

 そう言うと、彼女は今日一番の笑顔になり、自分の手帳に書き込んだ。


「約束ですよ」

 彼女が小指を前に出してきたため、僕も小指を出し絡めた。


「うん、約束」

 彼女と約束をして小指を離したが、そもそもの話は終わっていない。


「それで、今日はゲーセンとボーリングに行くってことで良いんだよね?」

 彼女は忘れていたようで、慌てて頷く。


「なら行こっか」

 2つとも久々に行くからテンションが上がる。


「でも大丈夫ですか?ニーナ様と会う約束があるのでは」


「うん。そうだけどニーナは授業中だし、返事があったらすぐ帰ればいいだけだから」

 今はフランのことで気になることがある。


「それにさ、さっき言ってたフランの運命の相手の人について聞けるかもしれないし」

 問いかけると彼女は笑顔になり、口を開いた。


「教えるなんて言ってませんよ」

 また、揶揄うように言ってきた。

 今日は、彼女の見たことない一面がよく見える。


「じゃあ、行こっか」

 2人で学校を抜け出し町へ向かった。



 まだ、朝だけど大いに賑わっていた。

 焼きたてのパンのいい香り。焼き菓子の甘くて誘うような匂い。小さい子供が走り回り、市場を駆け巡る。

 朝ならではの楽しさがあり良いなと思う。


「凄い賑やかですね」

 町の雰囲気を見て言う。


「うん、とっても元気だ」

 笑顔が溢れかえり、和気あいあいと喋るたくさんの人達。

 こういった日常を王として守っていかなければいけないんだよな。

 王子としての覚悟を持つなら必要なことだよな。


「ニーナ様から返信ありました?」

 別の話題を問いかけられた。


「うん。今日は少し予定があるから午後に会おうって」

 予定がなんなのか特に聞かされていないけど、気にすることでもないのだろう。


「良かったです。これならサボりを続けられそうです」

 サボることにずっとワクワクしている彼女。


「そんなに楽しみにしてたの?」

 

「それはもう。かなり楽しみにしてましたよ」

 とてもウキウキに話していた。


「ニーナ様怒っていなかったですか?」


「ちょっと怒ってたかも。最近授業少しサボり気味だったから」

 昼寝をするために授業をサボっていたため、ニーナに心配されていた。

 けど今回に関していえば、遊ぶために町に行ったってことも怒っている理由の一つだろうけど。


「でも、お土産持ってたら許してくれるって」


「それは良かったです」


「けど、大変なのはどっちかって言うとフランみたい。サボってることについてみんな驚きと共に、怒りよりもかなり心配してるって」

 楽しそうな笑顔をしていた彼女も、素の顔に戻る。


「それは、みんなに申し訳ないです」

 少しへこんだ顔をする。


「大丈夫だよ。もし怒られるとしても僕が君を連れ出したと言う。そうすれば僕が怒られるだけで済む」

 簡単な話だ。日常的に僕はサボり怒られている。  

 だから、僕のせいになればフランは怒られない。

 もし疑われたとしても、フランが僕の城で働いているメイドだと言うことは多くの人が知っているから、僕に無理矢理連れていかれたという信憑性も高まるし、多分信じてもらえる。


「そんなのダメですよ。こんなことで、レイ様の評判が落ちたら・・・」

 心配する彼女。


「そんなことなんないよ。そもそもさ、怒られたりするのはめんどくさいけど、"これぐらい"できなきゃ王子じゃないでしょ」

 王子としての自覚。

 それは、ニーナのためにもフランのためにも、それ以外の人のためにも持たなければいけないことなんだ。


「ありがとうございます」

 彼女は軽く頭を下げた。


「うん。大丈夫、大丈夫。こういうのには慣れてるから」

 この前ニーナに"自然の王子様"って言われたけど、学校のみんなには"昼寝の王子様"、"サボりの王子様"って言われてるぐらいだ。


「流石、"昼寝の王子様"ですね」

 急に言われ、一瞬心を読まれたのかと思った。


「フランもそのあだ名知ってるんだ」


「学校中で有名ですもの当然です」

 昼寝が好きな王子。確かに、覚えられやすい気がする。


「だから、あんまり王子として見られてない。その点ではあの2人に負けてるかもしれませんね」

 なかなか、痛いところをつく。


「けど、生徒からの人気でいうならレイ様が1番です」


「僕が?」


「はい。優しいですし、みんなの話もよく聞いてくれるお方ですから」

 そうなのか。でもそれはほとんど僕のためで・・・。


「そういった王子様らしくないところも、レイ様の良いところです」

 別に自分では長所だと思ってもいなかったことだけど、そう言われると嬉しいな。


「でも、今度はあの2人を力でも越したい」

 今まではそんなこと興味なかったけど、状況は変わった。


「何か具体的な方法はあるんですか?」


「それは、、、まだないんだ。けど、絶対にぶっ倒す」


「何か良い方法があるといいんですけど・・・」


「そういえばさ、聞きたいことがあったんだ」

 彼女がこっちを見る。


「なんで、ニーナはナルカとシュルテン2人と結婚することになってるの?」

 そもそもの原因を作ったやつら。

 なぜこいつらがニーナと関係性ができてるのか。

 彼女なら何か知ってるかもしれない。


「レイ様はそれを誰から聞いたんですか?」


「本人達から聞いたんだ」


「なるほど、、」

 彼女は迷っているような表情をしている。

 まるで、何か知ってはいるけど言えない。

 そんなように感じた。


「ニーナはただのお見合いって言ってたんだけど、あの2人の発言を聞く限りは何かもっと裏がありそうなんだ」

 けど、僕もニーナのためなら引き下がるわけにはいかない。


「なんか2人とも結婚することを確信してるって感じだった」

 お見合いだけではそんな風にならないと思う。


「だから、もしなにか少しでも知ってることがあったら教えてほしい」

 なんでもいいから情報を知りたい。

 その思いを察してくれたのか、言おうかどうか悩んていた彼女が静かに微笑み口を開いた。


「わかりました。私が知っていることは言います」

 

「ありがとフラン」

 これで前に進める。















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