夏のある1日
「おーい夕人。」
ん?誰か俺を呼んでるようだ。
「おーい、夕人。」
んーどうしたんだ。
「ちょっとー、起きてってばー。」
眠い、後五分寝かせて。
「起きてよー。」
眠い、後十分寝かせて。
「起きないと脇腹くすぐるよー。」
うわ、絶妙に嫌なやつだな。
「起きてよ、本当にしちゃうよー。」
寝返りを打って避けるような感じにしてみようか。
正面から横に寝返りを打ってみる。
「寝てそうだけど、やるよー。」
待て、そう思ったなら始めようとするな。
手が置いてあった床?からゆっくり俺の脇に近付いてくる予感がする。
わざとやられたらもしかしたら満足するかも。
程なくして布団に手が入ってきた感覚があり、脇腹をくすぐられる。
しかも激しく脇腹にやってくる質が悪いったらない。
くすぐったいが耐えないと負けな気がする。
くすぐったいが我慢しないと声が漏れてバレてしまったら隠している意味がなくってしまう。
バレたら面倒になる予感がする。
起きてたのに反応を見て、楽しんでると思われると負けだ。
まあ仕方ないな、起きるとしよう。
「んーおはよう。」
俺は欠伸をしながら起きた。
「おはよう、夕人。」
「おはよう、胡桃。」
こいつは、隣に住んで居る幼馴染みの猫谷崎胡桃 赤髪で華奢な奴。
最近までなんとも思ってなかったんだが、可愛くなってきて本当に困るんだよね。
何でここに居るんだ。
「いつも言ってるよね、忍び込むなって。」
あれ、言われてたかなー?
「今日は起こしに来たって行ったら夕人のお母さんがいいよって言ってくれたよー。」
何でだよ、プライバシー無いの。
「で、胡桃さん何の用。」
久しぶりに夕人にその呼び方された。
「珍しい呼び方するじゃん夕人。」
「あれ、そうだっけ?」
久しぶりに呼んでみたのは反応を見たかったのはあるけど絶対に言わんし、恥ずかしくて言えねぇよ。
「うん。」
「あのさー。」
「どうした胡桃。」
「あのさー。」
だからどうしたんだ?
「あのさー。」
用件を言ってくれ。
「あのさー。」
「それしか言わないのかー胡桃?」
「胡桃ー、内容を教えて!」
おい胡桃ー、これは多分忘れてる時のやつ。
「思いだせないよー。」
「ごめん、言いたいこと忘れちゃった。」
やっぱりだった。
「思い出してくれ。」
「思い出させてよー。」
嫌、分からないよ。
「胡桃が分からなければ誰も分からないと思うぞ。」
「教えてよー。」
「嫌、胡桃にしか分からないから。」
「思い出させないよー。」
逆に教えてくれよ。
「夏休みなんだからもっと寝たかったんだけど。」
「何に誘い来たのか思い出してくれ。」
「うーんなんだっけー?思い出せないよー。」
「夏だからかき氷食べに行こうって誘いに来たのかと思った。」
あれだよー、あれなんだよーねえ教えて夕人。
「うーん違うよ、でもかき氷は食べたいよー。」
嫌、食べたいのかよ。
「で、思い出せそう?」
「かき氷なら、一気に食べていつもキーンとするんだよねー。」
それを思い出せとは言ってないんだってばそうじゃないんだ。
「やっぱり、かき氷食べたくない?。」
「お願いしていいの?」
そういう食べたくないではなく、食べたいよね?の方なんだけどわかってやっているのだろうか天然かどっちだろうか。
「嫌、違うんじゃなかったのかよ。」
「違うよー。」
ならば先に言って。
「違うなら、どうして食べたかったのやら。」
「だって、美味しい物っていいよー。」
そうじゃないのよ。
「分かるけど。」
「でしょ!!!」
答えを言ってくれ。
「でしょじゃないんだよ、お願いだから教えて。」
「プールに誘いに来たとか?」
「うーん、行きたいけど違うかな。」
「一番好きな泳ぎ方は?」
「平泳ぎー。」
「やっぱり、プール行きたいだろ。」
絶対に泳ぎ行きたいんじゃないかなー。
「えーやっぱり、かき氷食べたいよー。」
「待て、まだ拘るか。」
「嫌、話してたらブルーハワイのかき氷が食べたくなっちゃったんだよー。」
「食べたくなったのね、また今度な。」
「今、行きたいよー。」
直ぐには行けないからね。
「嫌ーね、それより来た目的を前に思いだして。」
「うーん、なんだった分からないよー。」
「思い出してくれー。」
「もう、なんだか分からなくてもいいよー。」
「言いわけがないだろ。」
「いいよー。」
良くないんだよ。
「どうしてそう思った。」
「何かもういいよー。」
「不貞腐れるよな。」
慰められないからねそれ。
「そんなことないよー。」
「なら、思い出して欲しいんだけどもね。」
「うーん、教えて。」
「俺が教えて欲しいんだけどねそれを。」
「思いだせないよー。」
水には入りたそう。
「海は違うのか?」
「海はどうだろー、分かんないーよ。」
「じゃなきゃ、花火じゃないか?」
「うーん、絶対に花火じゃないよー。」
綺麗だし、胡桃と見てみたいんだけど違うのかー。
「他は、なんだろうなー。」
「蚊取り線香?」
「それは、場所にもよるよー。」
俺の家は、するけどね。
「違う感じだなー。」
「なんだろうなー、扇風機は絶対違うからな。」
「それはないよー。」
忘れてるやつが言うな。
「ねぇ、今失礼なこと思ったよね?」
あ!、ヤベー顔に出たみたい。
「嫌、そんなことないって。」
棒読みになった気がする。
「本当かなー夕人ー。」
「嘘は言わないから。」
「良く言うよー。」
「何がだよ。」
「だって、一緒に一度も嘘つかない人はそうそう居ないよー。」
「それはそう。」
「まあ嘘ではないよー。」
「棒読みで言われても説得力ないよ。」
「棒読み?気のせいだよ。」
「夕人、そういうことにしとくよ。」
「スイカ割りは違うのか?」
「それは違うよー。」
「じゃあ流しそうめん?」
美味しかったよー
「それは昨日したよー。」
「胡桃と昨日流しそうめんをした覚えないけど。」
「そりゃそうだよ。」
「何故、得意気?」
「だって昨日私の家でしたってだけだから。」
「それを教えられても困るよ胡桃ー。」
「夕人ならそれ位分かるかなって。」
「分かる訳ないから。」
(滅茶苦茶ドヤ顔してるちょっとムカつくでも悔しいけど少しカワイイ。)
「じゃあ流しそうめんは違うってことだね。」
「していいよー。」
「わかったー来週までにはしよっか。」
「やったーでも流しそうめんに誘いには来てないよ。」
「おい。」
焦らしてるのか知らないけど、早く教えてー。
(うーん本当になんだっけでも楽しいー。夕人と話すの楽しいからいっかな。)
(なんか胡桃が楽しそうな、顔してる何を考えてるんだろ。)
「楽しいなー。」
「どうした、胡桃急に。」
(あれ、今の聞こえたんだ恥ずかしいよー。)
「えっとー、焼きとうもろこしは好き?」
(露骨に話題変えてくるじゃん。)
「え、まあ好きだけど」
「なら今度作るねー。」
え、マジか作ってくれるとは思ってなかった。
「あ、うん。」
「流しそうめんは違うみたいだけど金魚すくい?」
「金魚すくっても、来年まで上手く育てられないよー
。」
食べる人もいるらしいけど、食べないんだよね?
「育てられるかは聞いてないんだけど。」
「金魚すくいは違うと思うよー。」
「最初からそう言ってくれ。」
「言おうとしたよー。」
本当なのかな。
「違うってことか。 」
「違うよー。」
「じゃあ、あれだ!焼きそば。」
「それは、今日昼に食べたよー。」
「聞いてないけど。」
「美味しかったよー。」
「胡桃、それはもっと聞いてない。」
「後、夏祭りの屋台のやつじゃないよー。」
屋台のやつまだ可能性あるから出そうと思ったけど違うのかーもっと分からなくなってきた。
「じゃあ、焼き肉の毎年の焼き肉のお誘い?」
「それは今年も美味しいお肉買ってもらうよー。」
「おう、楽しみにしてるって違うってだから正解は?」
「また、今年も楽しみだよー。」
「そうだなー。」
「美味しいお肉はいいよー。」
「そうだけども、一ついい。」
「いいよー。」
「お肉の宣伝の人?」
「安いよ、安いよー。」
(なんか乗ってきた。)
「お値段、いくらくらいですか?」
「今日は特別にお高い焼き肉用のお肉もー五百均一だよー寄って行ってよー。」
「待って、何処で覚えたのそれ。」
「それ、ってなんのこと?」
「売り文句?のやつ。」
「昔、ごっこ遊びで覚えたよー。 」
「凄い、独特なごっこ遊びしてるね。」
「覚えてないなら、もういいよー。」
「え、いつやった?」
「覚えておいてよー。」
「いつのことだっけ。」
「あれはね、夕人と保育園の時にごっこ遊びしてた時だよー。」
「うん、続きをどうぞ。」
「その時に夕人がお父さん役で、私がお母さん役でしててー。」
「それで、それで。」
「一緒に買い物に行くって、ごっこ遊びでなったんだよー。」
した覚えがないな。
「妙にリアルだね。」
「そこで夕人が安いよー、安いよーって。」
「そんなことしたっけ。」
「したんだよー。」
(何で、夕人覚えてないかなー私は覚えてるのにー。)
(何で覚えてるんだろ胡桃は、その時の事もしかしたら俺みたいにさそういう関係になりたいとか思ってるのかなこのことは絶対にまだ言えないけど。)
「何でかは覚えてないけど、思い出したよー。」
「ありがとうでいいのかな。」
「いいのかなが要らないよー。」
なんで、俺は恥ずかしめられてるんだ。
「じゃあ、ありがとう。」
「じゃあも要らないよー。」
「ありがとう胡桃。」
(ありがとうってなんとなく恥ずかしいな。)
「あー、思い出したよー。」
「この話をしてて、何を思い出したの?」
「あ、今どうせどうでもいいことだと思ったでしょー。」
「絶賛思ってる途中だけど。」
「ひどい、じゃあ教えてないよー。」
「嫌、教えてくれないと話を進まないんだけど。」
「仕方ないから、教えてあげるよー。」
何故、上からなんだよ。
「仕方なくはないけどね?」
「そういう言い方するなら教えてあげないよー。」
「教えて下さい、お願いします。」
「そんなに言うなら教えるよー。」
(お!なんだろ。)
「海だよー、水着選んでよー。」
「いつも胡桃の水着選んでるみたいに言わないで。」
「でも、選んでみたいでしよー。」
(絶対カワイイから選んではみたいけども、水着売り場には行きたくないなー。)
「今、選んでみたいって思ってたでしょー。」
(え、顔に出てたかな?)
「い、嫌そんなことはないよー。」
「本当かよー夕人。」
(何で口調が男友達みたいなの?ちょっとカワイイけどもさ。)
「後、水着売り場恥ずかしいって思ったでしょー。」
(やっぱり顔に出てたのかな。)
「そんなに恥ずかしい所じゃないよー。」
(それは胡桃が女性だからだよ男なら誰でも恥ずかしいんじゃないかな?絶対何で男がここに来てるのって思われるってまあ言ったことなんかないから知らなし、分からない。 )
「大丈夫だよ夕人、女性怖くないよー。」
(胡桃そうじゃなくてねー女性の視線が痛くて無理なんだって。)
「他の女性なんて、マネキンみたいなものだよー。」
(それを思えたらいいんだろうけどさ、無理だって女性用水着売り場になんて近づける気もしないって。)
「簡単に言うなって。」
「思ったってことだよね?ねえ、ねえ、教えてよー。」
(確かに胡桃の水着姿はカワイイんだろうから見てみたいと言ったら嘘にはなるし、気になってる子のカワイイ姿は見てみたいけども明日行くーとか言わないね?)
「ねえ、明日水着買いに行こうよー。」
(なんで綺麗にフラグ回収するんだよフラグ立てたの他でもない俺だけどー。)
「全然大丈夫だってジョ、セイ、コワク、ナイヨー。」
「声が棒読みで言われても、説得力ないんだけど。」
「大丈夫、カボチャみたいなものだよー。」
「そうだったらいいんだけど、絶対無理だよ。」
「じゃあ明日ね、また連絡するよー。」
「おい・・・・・・まー。」
「結局行かされるのかよー。」
もし面白いと思いましたら他の短編と連載しているものがありますのでその作品達も見ていただけると作者喜びます