コント「我こそが魔王……」
ツッコミ「お前さぁ、前に異世界転生したことあるって言ってたじゃん?」
ボケ「あぁ、言ったっけ?そりゃあるけど」
ツッコミ「なんか面白い話ないの?」
ボケ「まぁ、あるけど。そうだなぁ。
あれは、最初の世界で2回目の転生の時」
ツッコミ「ちょっと待って!2回目の転生?転生ってそんな何度もあるものなの?」
ボケ「他の人は知らないけど、俺は30回ぐらいは。隣のクラスの竜崎もしたことあるって言ってた」
ツッコミ「へー、最近急に不思議キャラになったあの竜崎が?俺も転生したいなぁ。あっ!ごめん続けて」
ボケ「あの時、俺は教師として子供達に魔王様と勇者の話を教えていたんだ」
ツッコミ「おっ!魔王と勇者!まさにファンタジーだね!聞きたい。聞きたい」
ボケ「よしっじゃあ、話すぞ、ちゃんと聞いてろよ」
ツッコミ「おうっ!よろしく」
ボケ「昔々、勇者は魔王を改心させるために単身魔王城へ踏み入ったのだ」
ツッコミ「最初っからクライマックス!勇者の冒険とかは何処いったのよ」
ボケ「知らないから、端折った。続けるよ。
『お前が魔王だな?大陸全土に魔物を広げ人々を混乱へ陥れたその悪行、俺が食い止めて見せるっ!』
『そうだ!我こそが魔王!スライム、ゴブリン、コボルト、オーク、オーガ、スケルトン、ゾンビ……」
ツッコミ「ちょっと待って今何の時間?」
ボケ「魔王様の名乗り」
ツッコミ「だよね。よかったぁ、急にモンスターの羅列が始まったのかと思った」
ボケ「そんなわけないじゃん。続けるよ。
『ドラゴンッ!』
『ヴァーン!プァイアァー!』
『サキュヴァス……ふふっ』」
ツッコミ「待った!」
ボケ「何だよ、今1番盛り上がるところだろ!?」
ツッコミ「はっ?何でそこで盛り上がると思った!?クセ強いし!さっきから何も情報無いし!」
ボケ「子供達が遊戯会で1人ずつ発表するんだ。これで盛り上がらない親が何処にいる!?」
ツッコミ「あー、うん。なるほどね。
小学校でやった1人一行つづ読んでくあれだ。
最初の方の子はスライムとかゴブリンとかの弱いモンスターだからすらすら言ったんだろうけど、強いモンスターの役の子が張り切っちゃったんだね」
ボケ「そういう事。続けるよ」
ツッコミ「オッケー!理解は出来た」
ボケ「『ランヴァイル・プルグウィンギル・ゴゲリフウィルンドロブル・ランティシリオゴゴゴホ』」
ツッコミ「世界一長い駅名!」
ボケ「『正解!』」
ツッコミ「いやっ、何で?何で急に世界一長い駅名なの?しかも正解って?クイズなの?クイズでも始まったの?」
ボケ「一々、俺の話を途切らせないでくれる?
俺、名乗りのシーンの途中で遮られることにトラウマあるんだよね」
ツッコミ「何その局所的なトラウマ!
現代人が我こそはなんとかって名乗るシーンなんて運動会ぐらいしか無いと思うけど。いやっ!ごめんて、そんなに睨まないで、続けて下さい」
ボケ「『パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピアー』」
ツッコミ「ピカソの本名!」
ボケ「『正解!』」
ツッコミ「よっしゃ!
なんか急にクイズ始まったけどよっしゃ!」
ボケ「なんかよく分からないけどおめでとう。
『日本で初めて南極へ行った人物は?』」
ツッコミ「白瀬矗!」
ボケ「『ですが、その時乗っていた船の名前は?』」
ツッコミ「ごめん分からん。
答えは?」
ボケ「いや、知らんよ。今、魔王様の名乗りのシーンだから。遮らないで」
ツッコミ「だよね!今クイズじゃ無いんだよね。
完全にですが問題だったけど、クイズはしてないんだよね!」
ボケ「さっきからそう言ってるじゃん。遮らないで」
ツッコミ「ごめん。そんなに怒んないで。続けて」
ボケ「『天上天下唯我どぉくぅ……。ガハッ!』」
ツッコミ「どうしたの魔王様!?なんか急に刺されたような声出たけど?」
ボケ「あのにっくきクソ勇者は俺がまだ名乗りをあげていると言うのに対魔王の聖剣で俺の腹を一閃したんだ」
ツッコミ「あぁ、意味もなく長い名乗りをあげてる魔王にも非があるとはいえ、変身中に攻撃するのは絶対NGだよな」
ボケ「その時から俺は自分の名乗りを途中で遮られるのがトラウマになったんだ」
ツッコミ「いやっ!お前が魔王かよ!」